呪いを解く者
フランシス・ハーディング
Amazon本の概要
【英国SF協会賞YA部門受賞】
呪いを解く力をもつ少年と、
かつて呪いにかけられていた少女
呪いを、謎を解きながら旅をする
『嘘の木』の著者が描く唯一無二の世界
〈原野(ワイルズ)〉と呼ばれる沼の森を抱える国ラディスでは、〈小さな仲間〉という生き物がもたらす呪いが人々に大きな影響を与えていた。15歳の少年ケレンは、呪いの糸をほどいて取り除くほどき屋だ。ケレンの相棒は同じく15歳のネトル。彼女はまま母に呪いをかけられ鳥にかえられていたが、ケレンに助けられて以来彼を手伝っている。二人は呪いに悩む人々の依頼を解決し、さまざまな謎を解き明かしながら、原野に分け入り旅をするが……。
英国SF協会賞YA部門受賞。『嘘の木』の著者が唯一無二の世界を描く傑作ファンタジイ。
★★★★★
呪いをかけられた人が人の意識を保ったまま、人ではないものに変えられて苦しみ続ける。呪いを解かれても人でないものであった記憶が残ったまま人として生きていく。それぞれがそれを抱えたまま生きていく。
呪われるほど自分を憎んでいる人がいることを忘れられずに生きていく。
他人を呪った人は、また呪い人になることを恐れ、呪い人であることが発覚するのを恐れ、自分の中に大きくなっていく呪いの卵を抱えながら生きていく。
呪いを解く者は呪われた人たちや呪ってしまった人たちの気持ちを考えないようにして、呪いを解いていく。
ファンタジーによくある「呪い」をこんなに掘り下げて考えてみたこともなかった。
自分が別のものになっていた時の記憶。それほど強く人から憎まれていたと気づいたときの恐ろしさ。自分の中に育っていく呪いの感情。そんな心の描き方が秀逸。
怒りを持つことはぜったいに手放してはいけないこと。しいたげられている人たちは特に。それを吐き出す術を学んでいかなくてはいけない。
重苦しい閉塞感はコロナ禍のころに書かれたからなのか。
ずっと、じめじめした湿った空気が纏わりつくような雰囲気で、ラストも単純なハッピーエンドではない。それでもちゃんと希望が見える。楽しく美しいファンタジーではないけれど、ずっしりと心に届くファンタジーだった。
人でないものたちがたくさん登場するのだけれど、その描写を読んでも自分の中でそれを可視化できない。子供の頃に読んでいたらきっといろいろ想像できたのだろう。すっかり頭が固くなってしまったと悲しくなった。
国立国会図書館公式チャンネルで配信されている作者フランシス・ハーディングさんの講演もとてもよかった。

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