通訳ダニエル・シュタイン
リュドミラ・ウリツカヤ
新潮社 書誌情報より
「必要なのは論争じゃなくて、理解なんだ」20世紀の過酷な戦場に刻まれた奇跡の足跡。
ポーランドのユダヤ人一家に生まれ、奇跡的にホロコーストを逃れてゲシュタポでナチの通訳をしながらユダヤ人脱走計画を成功させた男は、戦後カトリック神父になりエルサレムへと渡った。――ナチズムの東欧からパレスチナ問題のイスラエルへ。心から人を愛し、共存の理想を胸に戦い続けた、魂の通訳ダニエル・シュタインの波乱の生涯。
★★★☆☆
手紙、新聞記事、手記、会話を録音したテープなど、いろいろなものが詰め込まれたスクラップブックのような変わった構成で、初めのうちは読みづらく感じていたのに、それぞれの登場人物のことがわかってくるにつれてどんどん引き込まれて読み進んでしまった。
ゲシュタポで通訳をしていた時のエピソードをもっと読みたかった。どうやって自分の気持ちに折り合いを付けていたのかを、知りたいと感じた。
宗教のことはよくわからないけれど、それぞれの宗教のことを「よく知る」ってことは大切なのだと思う。自分が信じているものと違うからといって拒絶し、見下すのではなく、知ることから理解に繫がるのかなと思う。
ダニエル神父のモデルになったオスヴァルト・ルフェイセンさんの写真をネットで見たらイメージがぴったりだった。



