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スタート地点から数キロは、緩やかな流れである。

 

さらに進んで行くと、

 

やがて、川岸の両側が雑木や雑草に被われた地点にさしかかった。

 

この辺りは、山藤が岸の両側から川の中央へせりだし、

 

美しい紫色の大きな房のアーチを造って、咲き溢れている。

 

我々は、紫色の花の天井を見上げながら、

 

童心に還り、歓声を上げて通り過ぎた。

 

自然とは何と優雅で、素晴らしいものなのだろうか?

 

この町に住む人は多いけれど、

 

どれだけの人が、この川のこんな場所に

 

この様な素敵な花園があることを、知っているのだろうか?

 

我々は、秘密の花園の第一発見者に違いない。

 

まるでアマゾンを冒険する、探検隊の様な気分であった。

 

漕ぎ下っていくと、やがて流れの中に大小様々な岩が、

 

行く手を阻むように、次々と現れて来た。

 

露出した岩の上には、

 

大小の泥亀の群れが、のんびりと甲羅干しをしていた。

 

怪しげな探検隊の接近に気付いた彼等は、

 

まるで天敵にでも、出くわしたかの様に、

 

先を争って水中へと跳び込んでいく。

 

その様子が何とも滑稽で、

 

思わず探検隊の面々が、

 

まるで合戦に勝利した兵士のごとく、絶叫のトキの声を拳げた。

 

あっけにとられたのか、

 

あるいは毒気に当てられたのか、

 

岩の上で放心状態の一匹の泥亀が、

 

悪戯好きの本間副会長の手により捕虜となってしまった。