2024年5月4日~5月8日 NHK大阪ホール・雪組公演
●彩風咲奈ドラマティック・リサイタル「ALL BY MYSELF-BLOOM’S COLORFUL MEMORIES-」
作・演出/野口幸作
雪組トップスター、彩風咲奈の名場面を中心に構成しつつ、新たな可能性を模索する、2幕構成のストーリー仕立ての、エモーショナルかつノスタルジックなリサイタル。
5月4日13時公演、1階R15列で観劇。
※ネタバレ注意。
昨年から退団発表した柚香光、月城かなとのコンサートやリサイタルが続いてまして、今回は雪組トップスター彩風咲奈が神奈川と大阪でリサイタル。現在、雪組は3チームに分かれてまして、この彩風組は少人数でかなり若手が多い感じです。
彩風がトップになってからの雪組は、コロナ禍もあって集客にかなり苦戦していましたし、作品のめぐり合わせも良くなかったと思います。昨今の宝塚事情では、ちょっと男前な感じもあったりして、少し見直したところもありましたが、個人的に雪組のショーは良くてもお芝居がイマイチなことが多かったです。
今回は初舞台から現在までの出演作を、ストーリー仕立てにしたリサイタルにするそうな。
柚香は完全なコンサート形式、月城は振付家が演出して少し新しいスタイルでした。彩風咲奈と組むことが多かった野口氏は、どんなリサイタルにしてくれるのか???
◆ACT1
●IN FRONT OF THE THEATER 1
初舞台や新人公演、バウ公演など過去の写真が映し出され、オープニングは初日の劇場前で興奮する観客や、スターのブルーム(彩風咲奈)を取材する編集者のカイル(華世京)がワイワイガヤガヤとしていると、客席から彩風登場!白のコートを着て、なんとまぁカッコいいこと!始まり方がやはり芝居仕立てな感じです。
●ALL BY MYSELF-PROLOGUE-
主題歌「YOU WILL BE SOMEONE'S DREAM」など3曲で、パレードな感じのプロローグ。出演者から薔薇の花を受け取ったブルームが、今度は客席降りして観客に薔薇の花をプレゼントという粋なサービス。
●INTERVIEW 1
楽屋でカイルが本の出版のために、ブルームにインタビューをして、過去を少しずつ振り返る。所謂バックステージもんですね。華世はかなりの儲け役。
そしてサブタイにもあるように、各パートを色で例えながらショー場面が始まります。
●ORANGE MEMORIES(郷愁)
初舞台公演「シークレット・ハンター」の主題歌を彩風が歌い、後ろでは懐かしいオレンジの蛍光色の衣裳のロケット。もちろん初舞台は見てます。そして組配属されてピエロ役を演じた「君を愛してる」も懐かしい!
●BLUE MEMORIES(涙)
「ロジェ」「ソルフェリーの夜明け」「ロミオとジュリエット」「JIN」など水夏希や音月桂がトップの頃の、新人公演作品を稽古場で若かりし頃のブルームが、自信を付けて行く様と重ね合わせて再現。早くもここで「世界の王」を歌いながら、客席参加を。あんまりこういうのは好きではないですが、コンサートやリサイタルならいいと思います。まぁそれでも私は滅多に参加しませんけどね(笑)。
たしかにこ雪組の御曹司として育てようとしてたのは分かるんですが、この時代の彩風を見ていて、なんでこんなに抜擢されてるのか不思議だったんですよね。
●GOLD MEMORIES(黄金の国)
和物コーナーで、最初は愛すみれが「お祭りマンボ」。そして彩風が「夢介千両みやげ」で、なぜか琉球舞踊的な感じで踊りますがこれがカッコいいんですよ。他には「幕末太陽傳」「ODYSSEY」の和物もあって、最後は初舞台作品「さくら」を若手娘役陣で。
●PURPLE MEMORIES(紫の想い出)
別箱の主演作コーナーで「灼熱の彼方」「パルムの僧院」「CAPTAIN NEMO」「炎のボレロ」「ハリウッド・ゴシップ」を当時の衣裳を組子たちが来て、センターで紫の総スパンの衣裳で主題歌を彩風が歌います。どれもこれも懐かしく、珍作ネモが出てきたのにはちょっとね(笑)。「炎・・・」「ハリウッド・・・」では潤花が相手役を務め、当時は次期雪組トップコンビはこの二人なんだろうなと思ってましたが・・・。
●BLACK MEMORIES(WORLD OF COMICS)
出ました「るろうに剣心」の斉藤一の「悪・即・斬」!失礼ながら、この役で初めて私は彩風をカッコいいと思ったんですよ。今回もやっぱりカッコよさ抜群でした。スピンオフで斉藤一主演とかして欲しかったぐらいです。
●YELLOW MEMORIES(海の見える街)
本人もターニングポイントとなった、初二番手作品「SUPER VOYAGER!」より名場面「海の見える街」を再現。これは曲もダンスも素晴らしかったし、当時この作品の中で一番良かったと思いましたしね。朝月希和のパートを音彩唯が担当し、その名の通りで彩を添えていました。ホントにここの黄色いスーツで踊る彩風の楽しそうな感じは、一幕を締めるのにはもってこいでしたね。
一幕の構成は楽しくあっという間でしたが、一席置いて隣の夫婦がずっと喋ってるので、若干集中できなかったのが悔しかったです。その夫婦、二幕には戻って来ませんでしたけどね。
◆ACT2
二幕はトップになってからの作品で構成。
●GREEN MEMORIES(飛翔の瞬間)
オープニングはまずトップお披露目の「CITY HUNTER」より「Get Wild」。話題性はあったものの、内容は支離滅裂でしたよね(笑)。こういう時に歌だけだといいんですがね。
「愛するには短すぎる」のでは彩風は諏訪さきと組んで歌います。どうも私は諏訪が・・・。
このGREENで一番の見どころは、「愛の宝石」でのデュエダンでしょうね!なんと白綺華が抜擢されて、彩風とデュエダン!見事に舞ってましたよ。
●BROWN MEMORIES(AMERICAN DREAM)
御園座公演「BONNIE & CLYDE」を再現し、なんとあの車まで登場。ボニー役を愛陽みち。これ当時御園座の3列目で観たのに、大野演出ということもあって、私はちっとも面白く思わなかったんですね。それもあって、ここらあたりで眠気に襲われまして・・・。なので場面後半は覚えてません。
●STRIPE MEMORIES(日替わり)
初日は「ガイズ&ドールズ」の「Luck Be A Lady」。何故かギャンブラーの彩風をはじめ、スカジャンでカウボーイっぽい衣装でしたね。私は「ジャンクション24」の方が観たかったです。
●SILVER MEMORIES(カナリヤ)
米津玄師の「カナリヤ」で彩風と華世の場面。前々場面からの眠気が続き、ここよく覚えてないんですよ。
●RED MEMORIES(LATIN MEDLEY)
ラテンショーメドレー。「RIO DE BRAVO!!」「カリビアン・ナイト」「Fire Fever!」。ラテンショーはやっぱ盛り上がるし、テンションも上がりますね。
ラストは眞ノ宮るいが「エメラルドの伝説」をキザに決めます。
●WHITE MEMORIES(ODYSSEY)
野口作品「ODYSSEY」の金の奴隷を再演しますが、ここがちょっと場面的に長くて、また再度眠気に襲われてしまって・・・。何故これを最後に持って来たんですかね?野口氏や彩風の思い入れもあるんだと思いますが、最後に持ってくるにはちょっと重い。
●IN FRONT OF THE THEATER 2
千秋楽の劇場前となり、フィナーレへ向けて・・・。
●ALL BY MYSELF-EPILOGUE-
白い豪華な衣装の彩風が、「I BECAME EVERYONE'S DERAM」でリサイタルの最後をしっかりと歌いあげます。下級生時代から歌がイマイチに思っていたし、トップになってからも不安定な感じも多くありましたが、ここにきてしっかり歌えてる姿を見ると、トップになるべくしてなった人だったんだなと、遅ればせながら思いました。
カーテンコールでは初日の心のこもった挨拶でしたね。ただ宝塚のしつこいカテコと、強制的スタンディングオベーションは嫌いなので、カテコ2回目で退場しました。
二幕後半で眠くなってしまったんですが、全体的には彩風咲奈のこれまでの舞台を上手く辿る構成になっていたと思います。