花組公演 アルカンシェル~パリに架かる虹~ | 続アメマのおとしもの

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2024年2月10日~3月24日 宝塚大劇場・花組公演

●ミュージカル「アルカンシェル~パリに架かる虹~」 作・演出/小池修一郎

 

花組トップコンビ柚香光・星風まどかのサヨナラ公演。演目が発表になった時、「ショーがないのか・・・」「小池氏ならエリザをやって欲しかった」などと、SNS上で意見がありました。私も同感でしたし、イケコ演出は海外ミュージカルはいいのですが、オリジナルとなるとちょっとね・・・。

しかも昨年末には週刊誌で小池氏に関する報道があったり、しかも相変わらずの遅筆をいう事態。ちゃんと間に合わせるのも仕事だと思うのですがね。

そんなこととは関係なく、チケ難状態でして、友会は全滅し、一般は希望日敗北。諦めかけていた頃に、イープラスの貸切の当選の報せ!席は全然良くないですが、観れるだけヨシとしましょう。

 

2月11日15時30分公演、1階29列目(最後列)で観劇。

※ネタバレ注意。

「パリは燃えているか?」 撤退を決めたドイツのフランス占領軍に、ヒットラーは首都爆破命令を下す。ナチス・ドイツの侵攻に抵抗を続けていた人々は、その時如何にしてパリの街を護ったのか。フランスが生んだレビューの灯を消すまいと立ち上がった一人のダンサーを主人公に、パリ解放に至る過程をドラマティックに描き上げる物語。

 

私的には予想通りな感じで、サヨナラ公演=駄作のジンクスは絶賛継続中(笑)。

プロローグはパリレビューから始まり、燕尾の紳士などはいいのですが、装置に豪華さがないし、曲もベタに「サ・セ・パリ」って・・・。普通に大階段からやれば、もっと豪華で華やかに見えたのに。

所謂バックステージもんなんですが、レビューシーンもあって華やかさはありますし、柚香光のダンスや星風まどかの歌声も楽しめます。しかし作品全体の作り方が80年代の植田紳爾氏の一本立てと変わらず、これがエリザやロミジュリ、1789を演出した人の作品かね?と言うぐらい古臭い。劇中で使われてる曲も宝塚ではお馴染みのパリレビューの曲が多くありましたが、白井鐵造かちゅうねん。サヨナラ公演にしては泣ける内容でないし、何か事件が起これば渡りに船的に物事は解決するし、フィナーレはワンパターンやし、遅筆でこれではシャレになりません。これならホントに「エリザベート」を観たかったし、二本立てでショーがある方が良かったです。物語全体にドラマチックさがなさすぎ。作品的に「凱旋門」と「フリューゲル」をミックスしたような感じでした。

来月もう一回観劇しますが、観方を変えようと思います。パンフの柚香光、星風まどかは「おぉ~!」ってぐらい素敵なんですけどね。

 

トップスター柚香光は、劇場のスターダンサーのマルセル・ドーラン。

ダンサーですが、戦況が怪しくなってスタッフが去ったことで、振付を担当します。ちょっとプライドが高くて、カトリーヌと意見が対立しますが、やがて二人は恋仲にというあるあるな感じ。とにかくカッコよくて、粋でしたし、最初のちょっと拗ねた感じもいいです。歌はまぁ・・・ね(笑)。二幕から最後にかけての奔走ぶりは、前述したように渡りに船的ですけど、パリや劇場をいい方に導こうとする姿が、コロナ禍を駆け抜けたトップ柚香光と重なる部分が多くて、感慨深かったです。フィナーレでビシバシ踊る姿には感動し、デュエダンでは星風とのコンビネーションの良さ、そしてそのあとのソロではようやくサヨナラ感が出ました。パレードの羽根の虹はこれまた古臭い(笑)。でもあの笑顔に癒されました。貸切公演でしたので、柚香光特有のお茶目な挨拶はホントにこの人はお客さんを大事にしているのが分かりますね。

 

トップ娘役星風まどかは、劇場の看板歌手のカトリーヌ・ルノー。

彼女もまた劇場スタッフが去ったことで演出を任されます。宙組でトップになった頃の大人な役が似合わなかったのが嘘のように、スターオーラ全開。やはり相手役の相性が良いと、育つもんなんですね。もちろん本人の努力も相当なものだと思います。カトリーヌもまたプライドが高く、マルセルとぶつかりますが、困難な中で考えが同じになってく様で、硬い表情が柔らかくなっていくのが素敵でした。「あつっ!」というギャグ的な場面もあったりして、可愛さも半端ない。フィナーレはデュエダンだけなのが残念でしたが、トップコンビのお互いの信頼度が見ていて感じられましたね。

 

二番手の永久輝せあは、ナチス・ドイツの文化統制官のフリードリッヒ・アドラー。

パリを占領しようとするナチスですが、元がラジオ局のプロデューサーなので、文化や演劇に対しての理解があります。しかしあまりに癖がなく良い人過ぎて面白みがありません。輝月が演じた嫌味な役で、カトリーヌを奪おうとする方が面白いのになと思いました。それに星空演じるアネットと恋仲になるのですが、次期トップコンビを感じさせるのも、若干あざといように思いました。

 

劇場の歌手アネットを星空美咲

カトリーヌの代役を務めたり、街でナチスの不良に絡まれているのをフリードリッヒに助けてもらって恋に落ちて行くなど、娘2のかなり美味しい役どころ。なのに私は先ほども書いたように、あざとさを感じたんですね。これは決して永久輝や星空のせいでなく、脚本の問題です。そりゃあ次期トップコンビを売り出すのも大事です。しかし劇団からの次期花組トップコンビの発表があった時の思いと同様で、「やっぱりね」と言う意外性がなさすぎなんですね。全く永久輝と絡ませず、少年イヴをさせるとか???

 

現代のミュージック・ホールの若き歌手のイヴ・ゴーシェを聖乃あすか

ストーリーテラーで、物語の補足や説明台詞が多く、現代人ということで物語には絡まずというのが残念。それに彼の説明台詞だけで、物事が解決してしまうので、作者的には都合がいい役(笑)。観客的には「そこが見たいのに」ですけど。人物的には一樹千尋演じる役のひ孫。

劇場のコメディアンのペペを専科の一樹千尋

ヒロさんにコミカルな役をさせたのは驚き。さすがに上手いけど、もっと重要な人物や位の高い方が似合ってます。

その息子の少年イヴを湖春ひめ花

少年役を熱演し、トップコンビにも絡める美味しい役。なかなか利発さがあって良かったです。

 

ナチス・ドイツの文化統制官のコンラート・バルツァーを専科の輝月ゆうま

いやらしい軍人で、権力を利用してカトリーヌをモノにしようとします。その割にはそこまで執拗な感じでもなく、あっさりと諦めるので「あれ?」って感じです。一樹千尋と役が逆の方が良かったかも。

組長の美風舞良は、劇場主のマダム・フランソワーズ・ニコル。

うーん、たいして為所がないなぁ。まぁさほど芝居が上手い人でもないけど。

副組長の紫門ゆりやは、演出家のコーエンとレジスタンスのリーダーのギヨーム・ブラン。

ここも組長と同じ感じなんですね。専科時代の方が役的に良かったかも。

 

劇場のスター歌手ジョルジュを綺城ひか理

カトリーヌといい感じだったのに、マルセルが出てきたことで、嫉妬からナチスに加わってしまいます。この役を膨らませて二番手格にした方が面白い気がします。綺城は拗ねた感じからナチスに入ったものの葛藤もあるのを、上手く演じてました。

退団する帆純まひろも目立ってましたが、なんだか物足りないし、一之瀬航季、侑輝大弥、希波らいとも同様。ダンサーのシルヴィーの美羽愛も、マルセル演じるピエロの相手役で目立つものの、コレと言って・・・私個人的には美羽推しなんで不満。

 

 

トップコンビは当てて書いてるから、上手くキャラにハマってますが、それ以外がなんとなく個人的にしっくりこない役が多かったんですね。それも楽しめなかった一因でもあります。

とにかくホントに古臭い宝塚な感じで、ミュージカル「アルカンシェル」でなく、宝塚グランドロマン「パリは燃えているか?」でしたね。