雪組公演 BONNIE & CLYDE | 続アメマのおとしもの

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2023年2月6日~3月1日 御園座・雪組公演

 

●Musical「BONNIE & CLYDE」 潤色・演出/大野拓史

 

2009年サンディエゴにて初演、2011年にブロードウェイにて上演された「BONNIE & CLYDE」は、伝説のギャング・カップルを描いた、脚本イヴァン・メンチェル、作詞ドン・ブラック、作曲フランク・ワイルドホーンによるミュージカル作品。日本では2012年に青山劇場にて初演され好評を博した作品を、彩風咲奈と夢白あやの雪組新トップコンビのお披露目公演として上演。

 

映画では「俺たちに明日はない」、宝塚では「凍てついた明日」の作品の題材にとなったもの。「凍てついた明日」は退団した荻田浩一氏の名作で、1998年初演時を見て感動したものの、再演時に手を入れ過ぎて、私はイマイチに思ってしまいました。

今回はそれのブロードウェイミュージカル。普段はこだわりが強いのに、作品はなんだかよくわからないものが多い大野氏が、初の海外ミュージカル演出をどのようにするのかも注目。そして娘1に就任した夢白あやも気になります。

 

2月8日11時公演、1階3列目で観劇。

※ネタバレ注意。

物語は「凍てついた明日」を見てるので、大体わかってましたが、主人公二人を取り巻く人物が違うのと、最初に二人が銃撃されて死んでしまうところから見せて、最後は結末へ向かう二人・・・という感じで終わります。まず取り巻く人物が違うことで、かなり作品の印象が変わるし、海外ミュージカルあるあるの役の少なさもあって、一幕は逮捕と脱獄ばっかり。二幕でようやく強盗が始まるも、ボニーとクライドの葛藤が中心となって、逆に兄のバックの死やその妻のブランチの逮捕の方が印象に残ってしまいます。なので楽曲はいいし、生徒の熱演はありますが、感動には至らず。

装置の上や後ろに生演奏のバンドがいるので、装置もバウやドラマシティのような転換しかできません。その分、車には凝ってましたがね。

先ほども書きましたが、最後終わり方がどうもねぇ。別に二人の死を見たいのではありませんが、宝塚の作品ならもう一度主題歌を歌って、二人が踊って・・・で幕にならないとすっきりしませんね。

いくらフィナーレがあるとはいえ、なんか尻すぼみな終わり方。フィナーレではデュエダン場面で、「凍てついた明日」の「ブルースレクイエム」が歌われ、ちょっと嬉しかったですが、それなら「凍てついた明日」をやったらええがなとも思ってしまいました(笑)

 

クライド・バロウを彩風咲奈

ガキがそのまま大きくなって、悪いことも悪いこととは思っていなく、兄と共に楽しんでる感じがありました。歌も良かったと思います。ただ私の思っているクライドではないんですよね。もっと粋さと退廃的な感じが欲しいんです。彩風のクライドは、金持ちのボンボンが悪いことしてる感じなんですよね。貧困から来るムードがない。ある意味、品があるんですよ。

 

新娘1の夢白あやはボニー・パーカー。

女優と言う夢はあるものの、クライドと知り合ったことで、その夢が消えて行くのと彼を愛してしまった葛藤が感じられました。これがお披露目?!というぐらい華とセンターに立つ魅力があり、ボニーという役がピッタリでした。掃き溜めに鶴という感じもありつつ、時代が表す貧困さがあったし、何より下品にならないギリギリの仕草が上手かったですね。

 

クライドの兄のバック・バロウを和希そら

彩風より下級生とは思えぬ兄貴っぷりで、俺様感満載(笑) 声の感じとやさぐれた感じが、いかにも悪い男の雰囲気で、堂々たる悪。しかし妻を想う気持ちも感じられ、そこに男役の色気もありました。個人的には和希は苦手なんですが、芝居の上手さは流石です。フィナーレのドヤ感も流石。

その妻ブランチ・バロウを野々花ひまり

バックには真面目になって欲しいと思いながらも、最後は彼についていき、逮捕されてしまいます。なんともコケティシュな女性で、これは男は惚れるわな。ひまりちゃんのちょっとべたつく台詞回しも効果的で、ボニーと対照的で良かったです。

 

牧師に久城あす

要所要所で歌い、結構おいしい役どころ。歌上手いですね。

保安官のテッド・ヒントンを咲城けい

ボニーの幼馴染で恋し、いつまでもボニーを信じようとします。ちょっとイラつく役ですが、それも役にハマってるということでしょうかね。

 

主要4役の熱演はあったものの、脚本のテンポの悪さと、面白みのある登場人物が少なかったので、3列目で観劇したのに、あまりいい作品だと思いませんでした。心なしか客席の拍手も小さかったような・・・。