月組公演 Rain on Neptune | 続アメマのおとしもの

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2022年5月14日~23日 舞浜アンフィシアター・月組公演

●ドラマティック・ショースペース「Rain on Neptune」 作・演出/谷貴矢

 

舞浜アンフィシアターの空間をドラマティックに活かし、芝居仕立てで紡ぐショースペースと、クラシカルでスペクタクルなフィナーレ。新たな試みによる二部構成で送る、コズミック・コンサート・・・と、公式HPの公演解説にありますが、二部構成でもないし、コンサートでもない。

1時間15分の芝居に、35分のフィナーレ的なショー場面が付いて、休憩なしの1時間50分。

 

5月15日16時公演、1階7列目(Eブロック)で観劇。今回はほぼ真横席でなく、斜め前的な感じ。

※ネタバレ注意。

ポスターがUpされると、幻想的でカッコよくて、なかなかいい感じ。しかもこれまでの舞浜公演と違って、ショーだけでなくお芝居もあるらしい。

お芝居というのが、伝説のトレジャーハンターのシャトー・ド・カロ―♦(月城かなと)が、戦争と疫病で荒廃した地球を出て、ダイヤモンドの雨が降り注ぐ海王星にたどり着く。そこで月の王トリトン(鳳月杏)に言われたことが、「ダイヤモンドに手を出すな」「氷の女王ネプチューンに恋心を抱くな」という二点。それさえ守れば、この星にいても良いということ。

まぁ案の定、女王ネプチューン(海乃美月)に惚れますわな。昔、孤児院で一緒だった女性に似てたから・・・。

ここまで書くと、なかなか面白そうな感じで、ポスターのイメージのようなちょっとファンタジックなラブストーリーを期待しました。舞台は谷貴矢氏の世界観が良く出ていて、装置・照明・衣装などファンタジックそのもの。しかし全体的に子供ミュージカルっぽくて、「アンパンマン」の世界観に「銀河鉄道999」と「宇宙戦艦ヤマト」「キャプテンハーロック」をミックスした感じ。芝居を真横や斜めから見ても、物語の世界に入り込みにくいわ、途中で眠くなるわで・・・。それぞれの生徒の役は個性的で面白いんですが、ショーアップされた芝居を75分で見せるには限界があるなと。

ディズニーランドに来た家族連れが、「ちょっと見ていこうか」とふらっと立ち寄ってみるレベルの劇場ならこれでいいかもしれませんが、完全に宝塚歌劇メインで見に来てる客には、内容が薄っぺらい気がします。照明なんか凝ってて、いい感じなんですがねぇ。

あの出っ張った舞台で、芝居を見せるには無理があるし、大見得を切るスターシステムの劇団では使いにくいと思います。

 

主演の月城かなと演じる、シャトー・ド・カロ―♦はひたすらカッコよく、孤児院で育った暗い過去を背負いながらも、トレジャーハンターとして生きてきた人生を、この海王星で改めて見直すようになります。歌も芝居も安定感抜群なだけに、キャラクター設定の甘さが残念な気がします。

 

相手役の海乃美月は、氷の女王ネプチューンとシャトーが慕っていたベルメールの二役。

ネプチューンは透明感とともに、気品と大人っぽさも感じましたし、ベルメールは憧れのお姉さんらしさがありました。さすが実力のある娘役だなと感じますね。ただネプチューン、ベルメール、トリトンの関係性がぼやーっと見てると分かりにくいかな。まぁそこまで深い芝居でもないか。

 

二番手鳳月杏は、月の王トリトン。道化のように見えながらも、実は過去は大悪党で・・・ネプチューンにも執着してる。なのに最後はあっさり、ネプチューンを地球へ見送る。うーん、ようわからん人物。

星を支配する大物で、メーテルの母親のプロメシューム的なくらいでないと、面白みがない。そうなると壮大な一本立てになってしまいますが。

 

シャトーの仲間の夢奈瑠音英かおともさほど活躍の場はないし、同じ仲間の彩みちるがちょっと目立つぐらいか。ていうか、途中からもう見る気が失せてしまって、眺めてるだけという感じでした。

 

 

●フィナーレ

◆ロマンティック・ショースペース

まずは鳳月が「Over the Rainbow」で登場し、後で月城・海乃コンビにバトンタッチ。やっぱり芝居よりショーの方がいいですよね。

 

◆ドリーム・ショースペース

光月るう組長が「ここ舞浜と言えば」で、「Under the Sea」で鳳月を中心に、トップコンビ以外で賑やかに総踊り。ここの手拍子が途中からリズムが変わるので、客席がわちゃわちゃ(笑) 私はしませんでしたが、両隣でリズムが全く違いましたもんね。前回の「FULL SWING!」でも難題ふっかけてましたね。

そして月城で「コンパス・オブ・ユア・ハート」、海乃で「How Far I'll Go」と続きます。

やはり舞浜ですから、こういう系の曲はしっくりきますし、宝塚観劇だけでなく、舞浜で遊んで帰る人にはテンション上げ上げ。

 

◆ギャラクシー・ショースペース

宇宙系メドレーコーナー。まずは鳳月が「銀河鉄道999」、春海ゆう・朝陽つばさ・空城ゆうら男役が「宇宙戦艦ヤマト」でビシッと踊ります。

「コブラ」の白河りりは、低音から高音の流れが気持ちよい歌い方でしたね。そして娘役陣が「セーラームーン」の「乙女のポリシー」でキュートに踊ります。お次も「ムーンライト伝説」。

そしてMCコーナーへ。

 

◆ドラマティック・ショースペース

まずは月城が「るろうに剣心」の四乃森蒼紫でセリ上がり、「最強という名の華を添えて」でカッコよく登場。ここは良かったんですが、ここからの海外ミュージカル、宝塚メドレーの選曲がイマイチで、消化不良でしたね。「1789」「ミーマイ」「ロミジュリ」・・・ベタ過ぎて、新鮮さがない。ミーマイなんて、1789とロミジュリに挟まれると古臭いのなんの。

私の希望としては、ここは芝居及びミュージカルコーナーにするのであれば、それぞれの生徒が関連するものにしてほしかったですね。

お次のショーの主題歌も「ル・ポァゾン愛の媚薬」「ヒート・ウェーブ」「Apasionado!!」の三曲だけ。

もっと最近の曲の方が、ファン的にも嬉しいんと思います。

 

アンコールは「RAIN」で、虹のCGが綺麗でしたね。

 

 

こっちが期待値を上げ過ぎたために、若干の肩透かし感がありました。お芝居という試みや、谷氏の世界観が劇場に合っていたことは良かったと思いますが、110分でお芝居とショーを詰め込むのは無理があるのかなとも思いましたね。