雪組公演 炎のボレロ | 続アメマのおとしもの

続アメマのおとしもの

鉄道・吉本・宝塚のことなど・・・。

2020年8月29日~9月6日 梅田芸術劇場メインホール・雪組公演

 

雪組二番手スター彩風咲奈主演で、本来は5月から全国ツアーで各地を回る予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大で中止に。スケジュール変更し、8月17日~25日に梅芸にて公演が決まったものの、雪組生にコロナ陽性者が出たため延期になり、今回の日程での振替公演となりました。

私は8月24日のチケットを取っていたのですが、それが31日になりまして、ちょうど休みだったので観劇することが出来ました。しかしやはり急な日程変更で、観劇出来ない方もおられたようで、空席もありましたね。

 

8月31日13時公演、1階18列目で観劇。※ネタバレ注意。

●ミュージカル・ロマン「炎のボレロ」 作/柴田侑宏 演出/中村暁

 

1988年に星組の日向薫主演で上演され好評を博した作品を、32年ぶりに再演。舞台は1860年代フランス傀儡政権下のメキシコ。政府に抵抗して領地や財産を奪われ、家族をも失った青年貴族が、復讐の為、そして祖国を取り戻す為に共和派の仲間達と共に立ち上がる姿を、敵方の令嬢との恋を交えて描いた情熱的な作品。

初演は見てないのですが、ちょうど宝塚にハマり始めた頃に、WOWOWで放送されてるのを見ました。当時の星組は日向薫、紫苑ゆう、麻路さきの大型男役に、南風まい、毬藻えりの娘役らで、ビジュアル的に黒塗りや軍服の映える組でした。しかし物語は祖国を取り戻すという、大きな野望があるものの、盛り上がりもなく淡々と進み、話し合いで無血撤退を条件に敵国を追い出します。そしてハッピーエンド。

この再演が決まってから、初演を改めて見ましたが、生徒の個性だけで持ってる舞台で、作品的には面白くないなと(笑) 主題歌は耳に残るし、ラテンのダンスなど、宝塚らしい雰囲気ですが、どうもドラマチックさに欠ける。戦って人が死ぬばかりが、盛り上がる話ではないのですが、全体的にゆったりしてるんですよね。柴田侑宏特有の人間ドラマが主になってるものの、人間関係にも伏線がなくて、単純明快すぎる感じ。

なのでやや期待薄しの気分でした。

 

主演の彩風咲奈演じるアルベルト・カザルスは、侯爵家の次男で父や兄の復讐の為にメキシコに戻る。

これまでバウやドラマシティでの主演は見ましたが、特に何が上手いわけでもないのに、よくここまで上がってきたなと・・・(失礼)。なので彩風の個性云々より、作品の出来不出来が先になるわけで、いつぞやのネモ船長みたいなんだと、大コケ。今回もポスターがイマイチで、なんか猿っぽい。初演の日向薫も特に上手かった人でもないけど、ビジュアルで来たようなので、彩風と似てるかな。

とりあえず批判覚悟で失礼なことを書きましたが、このアルベルトは結構良かったですね。本公演レベルの作品で真ん中に立つことに違和感はなかったし、プロローグのラテンのダンスも良かったと思います。長身で衣装も映えて、さらに黒塗りで男らしさを出してました。線が細そうには感じませんでした。それに優しさが出ていて、カテリーナに対する愛情が伝わりました。それだけに脚本のドラマチックさが欲しかったです。

 

相手役潤花は、伯爵令嬢のカテリーナ・ドロレス。

てっきり次期雪組トップ娘役かと思っていたら、宙組に組替え。なんで娘役が犇めいてる組に行くかね?花とか月なら分からんでもないのに。

お嬢様らしい天真爛漫さが出ていて、とにかく彼女もスラッとした身長が舞台映えし、彩風とのバランスの良さを見せてくれました。ただ歌がねぇ・・・(笑) 伶美うららみたいにヘタを隠そうと、地声で歌うのが多かったんですが、やはりそれでも高音になると、不安定さが出ました。それだけが残念ですね。

 

二番手格の朝美絢は、フランス軍大尉のジェラール・クレマン。

初演時はシメさんが男役クサさ全開でやってくれたのを、全く違うキャラのあーさがどうやるのか?と思っていました。やっぱあーさはやってくれますね、見事に静かな俺様キャラに変えてくれていました。いまだにシメさんがこの役が好きだと言ってますが、この役もそこまでドラマ性がないんですよね。ただモニカとの恋模様が焦点で、アルベルトの大きな確執とか、争いもないのでねぇ・・・。

 

その恋人のモニカを彩みちる

「るろう」の頃はフューチャーされていたものの、昨今は陰の薄い存在でしたが、ここにきて復活か?ビジュアルは潤に、歌は彩にって感じで、そこは上手さが出ていましたね。ジェラールにへの一途さが可愛かったですね。メキシコ人なのに、フランス人に恋するという説明が全くないし、アルベルトらの仲間が集う酒場で働いているのに、裏切ることもしない。

 

共和派のリーダー、フラミンゴを縣千

リーダーさには欠けましたが、存在感はあったと思います。

 

 

こんな感じで、それぞれの生徒は役を自分のモノにしていたと思います。それだけにすごい名作でもない作品の再演は謎です。柴田作品はいいものが多いですが、結構「?」なものもあって、なんでも再演すればいいと思いません。「アルジェの男」もそうですもんね。