1990年の名古屋パルコでの岩合光昭氏の「クジラの海」写真展を記念して
パルコ主催のハワイ・ホエール・ウォッチング・ツアーの募集をしていた。
申し込み用紙を手にして必要事項を記入し、後日頭金を入金した。

しかし、ツアーの日程が迫って来ても連絡が来ない。
不安になったので事務局に電話をすると
「応募人数が少ないため中止になりました」という返事であった。
その応募人数が少なかった理由には
1991年1月に勃発した湾岸戦争の影響が大きかったらしい。
主催者の都合による中止だったため、
頭金は無事全額返金されたが、
心にぽっかり穴が空いたようだった。


幻に終わってしまったホエール・ウォッチング・ツアー。
それは返ってその後、自分の中のクジラ熱をヒートアップさせる
要因となった。
1990年。
季節は夏だったように思う。

名古屋のパルコで写真家岩合光昭氏の写真集「クジラの海」の写真展が
大きなクジラを見た最初だった。
と言ってもあくまでも写真パネルなのだが
それまで見た事も無いくらいに大きく引き伸したクジラの尾びれに心を奪われた。

その写真展は一番奥の暗くなったスペースにあり、
クジラの写真は行灯ケースに組合わされ
波やクジラの濡れた皮膚や飛沫が光り輝いていて
あたかもそこにいるような迫力があった。
いつまでも見入っていたのを覚えている。
アメくじらのブログ-クジラの海
とにかく本屋が好きなのです。

大きい本屋さんであるが小さい本屋さんであろうが
普通の本屋さんでも古本屋さんでも
お目当ての本があってもなくても
本屋の中をうろうろあれこれと歩き回るのが
好きなんだろうと思う。

そして目的もなく本棚を眺めているうちに
「!!!」と巡り会った一冊を手にしたとき、
そんなときにシアワセを感じる。

その一冊は探し求めていた一冊の時もあるし、
好きな作者の知らなかった一冊のときもある。
初めて出会った作者の興味をそそられる一冊だったり、
ただ単に偶然出会った一冊のこともある。

昨日もそんな一冊に出会った。

朝のめざましテレビで俳優の仲代達矢氏の特集をやっていた。
今月すでに封切られている「春との旅」と「座頭市 THE LAST」出演の
仲代氏の俳優生活をインタビューしていた。
そして15年前に亡くなった妻、恭子さんのことも。

会社帰りに寄った某大型古本屋チェーン店で
いつものように本棚を眺めていたところ、
一冊の背表紙に目が止まった。
「大切な人 宮崎恭子」
別の日であったなら素通りしていたかもしれない。
手に取ってページをめくる。
最初の出だしは本人の告別式で参列者に配布された
家族からの御礼状のようなものでした。
そう、この本は彼女が亡くなってから発表された
生きていればまだ続きを書き綴っていたであろうと思われる
自伝エッセイなのでした。アメくじらのブログ-大切な人