デビルっちのたまごっち

 1998年9月発売  価格2,079円(税込)

 カラー:白、黒、ピンク、ツートンの4種

 

※海外版の発売はなし

 後に日本でリリースされた携帯電話(当時はガラケー)向けゲーム『ケータイで発見!!たまごっち』に追加された『デビルっちのたまごっち』の海外版『Tamagotchi Monster』(2008年頃?)が海外初。

 

 攻略本:『デビルっちのたまごっち大百科』(株式会社バンダイ監修)

 

 

〈 ゲーム内容 〉

 「たまごっち」同様のキャラクター育成ゲーム。デビルっちをお世話し、最終形態まで変身させ、最後のお別れまで一緒に過ごしてデビル界へ帰すことができればゲームクリア。お世話に失敗し途中でデビル界に帰ってしまうとゲームオーバー。

 他のシリーズと同様に食事を与えたりミニゲームで遊んであげたりする他、今作のデビルっちは色々なイタズラを仕掛けてきたり、握手を求めてきたりする。DP(デビルンパワー)という固有のパラメータが存在し、この値をコントロールするのがゲームクリアの鍵となる。

 またイベントなるものが何種類か存在し、特定のキャラクターや時間帯に見られる演出があるのも特徴。

 

 

〈 ストーリー 〉

 たまごっちは死後てんしっちとなり、てんしっちの都で暮らす。ところがてんしっちになりそこなってしまったたまごっちがひとり。それがデビルっちの第一号なのだ。デビルっちはコウモリやガイコっちを手下にてんしっちを誘惑し、デビル界へと誘う。誘惑に負けたてんしっちはデビル界へと連れ込まれ、デビルっちとなってしまうのだった。

 仲間を増やしたデビルっちたちの住むデビル界はイタズラ王国。大きな灰色の雲の上で楽しく暮らしている。デビルっちの世界にはおとなやこどもの区別はなく、上下関係がはっきりしている階級制。初級から少しずつパワーアップし、上級や最上級のデビルハイパーを目指すのだ。

 お世話をしながらデビルっちの成長を見守り、いずれはデビル界に帰るお別れの時を迎える。最後まで一緒に過ごし、見送ってあげよう。

 

 

〈 プレイした感想 〉

 「てんしっちのたまごっち」でガイコっちの誘惑に負けて変身してしまったデビルっちが、今度はデビル界デビューするというストーリーの繋がりを感じさせる。「てんしっちのたまごっち」が「たまごっち」の最後の画面であるおばけとお墓の絵からスタートするのと同様、「デビルっちのたまごっち」も「てんしっちのたまごっち」のゲームオーバーに当たるデビルっちからスタートするのが良い。

 

 シェルのデザインもてんしっちと対になるようなコウモリの羽をあしらったものになっていてかっこよく、また画面背景デザインの描き込み(枯れ木や稲妻、お城など)に心踊る。ゲームスタート時に爆発からコウモリが現れるモーションや毎日見られるイベントがあったりと、演出にも凝っている。

 一方効果音が多く少しうるさいのが気になる。夜のイベント時にも音が鳴るので音消しにしていないとドキッとさせられることも。そのせいか比較的電池の消耗も早いようだ。

 あとは細かいことだが、ミニゲーム以外でキャラクターがリアクションしている時にCボタンでスキップできないのがやや不便。

 

 

 てんしっちや他のシリーズと比較しても、デビルっちは育成に時間がかかる。隠れキャラクター変身までは(睡眠時間のスキップなしで)2週間ほどかかるため、目前で育成に失敗すると精神的ダメージが大きい。

 

 今作の育成の鍵となるのがDP(デビルンパワー)で、基本的にはこのパラメータにだけ気を付けていればよいとも言えるのだが、これが何かと厄介だ。いくつかコツを掴めばコントロールすることは難しくないのだが、時間経過で勝手に上昇する上、最大値の100に達した時点で問答無用にゲームオーバーとなってしまう。

 キャラクターによってはDPを高めにすることが攻略条件となっていることも多く、うっかり数時間放置すると呆気なくゲームオーバーになってしまう。しかもDPが高いほどイタズラによってお世話操作が妨害される確率が高くなる上、イタズラを叱る「神だのみ」はDPを下げてしまうため使用できない。イタズラが発生する度に約20秒待たされるはめになり、正直煩わしいのだ。

 

 以上のことからゲームの難易度はやや高め。各キャラクターの攻略条件それ自体はさほど複雑ではないが、とにかく時間がかかるし手もかかる。DPの値を高くする場合は特に注意が必要な期間もあり、片手間で育成するのはおすすめできない。時間はかかるが時計を止めたりタイマーを使用したりして慎重に育てるしかない。

 それをもってしてもなお、コミカルで表情豊かなキャラクターと様々な演出や世界観が楽しめる魅力的なシリーズだ。

 

 

 ブームも下火になりつつあった頃に生産されたため出荷数が少なかったらしく、中古の出回りも少ない。その希少性とたまごっちブームの再燃により価格が高騰している。2024年6月現在、ネットオークションやフリマサイトなどでは最低でも5~7万円ほどで取引されており、攻略本さえも3万円ほどで取引されているようだ。あまりのプレミア価格に加えて出回りが少ないため入手困難となってしまっているのが残念だ。

 最近たまごっちユニの新機種としてエンジェル・モンスターバージョンが予約販売開始となっており、このモンスターバージョンでデビルっちの世界を楽しめるようだ。一方ファンの間ではやはり当時物の復刻を期待する声も多い。願いが届くことを祈るばかりだ。