怪物(脚本:坂元裕二・著:佐野晶) | 今日は何を読むのやら?(雨彦の読み散らかしの記)

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映画のノベライズ本が、映画が封切りされる前に出されることもときどきある。

小説や漫画が多くの人に読まれた後に映画が作られることは多いわけだから、映画を見る前にノベライズ本を読むのも悪いことではないはず。

 

そう思いながらしばらく前に買っていた、是枝監督の映画「怪物」のノベライズ本。

これまで数々のドラマを手がけ、心に残る名言やせりふ回しで定評のある坂元裕二氏の脚本。.

この人の書く本は相当に怖いので、「怪物」という名前の映画で、どんな世界が描かれるのかが気になっていた。

案の定、ページを開くとあっという間にストーリーに引き込まれ、読み終えていた。

 

 

物語の始まりは、小学生の子どもを持つ母親の視線で始まる。

我が子が、いじめや暴力の被害者ではないのだろうか。

その逆に、実は誰かに対して加害者であったりしていないだろうか。

親として、そうした恐れを抱く気持ちはよくわかる。

真相が見えない中、子どもの身に起こる不可解な出来事に対する、不安や焦りが、心に迫ってくる。

 

芥川龍之介の「藪の中」のように、何が「真実」なのかが分からないまま、当事者たちそれぞれの視線で、出来事が描かれる。そして、物語が終わっても、なお明かされない謎は残る。。。

 

人は、なぜそうした行動をとるのか。

そもそも、人は心の底で何を感じ、考えているのか。

他人がそれを理解するのは難しい。

もしかすると、自分の行動や心理を理解するのが難しいことさえ、あるかもしれない。

 

タイトルの「怪物」が何を意味するのか、本を読む人も、映画を読む人も、考えるのだろう。

「怪物」とは、誰なのか。

おそらく、答えは、考える人の数だけあるように思う。

 

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佐野晶さんの文章は巧みで、小説としてもよかったですが、映像の再現力も豊かで、映画を見ているような気分を味わえました。

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坂本龍一のピアノ曲がエンディングに流れるのを聞いてみたいです。

 

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今日もお読みいただき、ありがとうございました。

 


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