金鎗将徐寧は、伯母の言いつけにしたがい、
従弟の湯隆の行方をたずねて、山東へ向かった。
ある日、徐寧は陽谷県の県城に到着した。
街の大通りを見わたすと、両側の建物はみな整然と立ち並び、
家と家のあいだはすき間もなく密集し、
大勢の人や車が行きかい、大変なにぎわいを見せていた。
その中に、美しい絵が描かれた柱に立派な彫刻がほどこされた梁、
つややかな瓦に高い庇と、ひときわ壮観な構えの建物があった。
これこそが獅子楼だった。
従弟を捜す旅に出た徐寧が、まず到着したのは陽谷県。
武松が兄と再会した、あの陽「穀」県とは字が違いますが、
街の繁華街にある「獅子楼」
(駒田訳では「獅子橋の袂の大きな料理屋」とあり、
名前は不明ですが)とか、共通点が多いし、
同じ場所と考えてよいかと。