村の人々は、大牛のふるまいにあきれはて、
かれをさげすみ、「いかれ牛」とののしった。
鉄牛も、まだ幼かったころは物事がよくわからなかったが、
成長するにつれ、わがままな兄への恨みはだんだん深くなっていった。
ある日の夕暮れどきのこと、鉄牛が水を汲んで家にもどってきて、
ふと見ると、母親が気を失って地べたに倒れているではないか。
鉄牛は少し愚鈍な生まれつきではあったが、
年老いた母親を大事にしている親孝行な息子だったので、
驚きのあまり、肩にかついでいた天秤棒と水桶を放り出し、
大声で呼びかけながら、そのかたわらに走り寄った。
原典のむちゃくちゃぶりからは想像もつかない、
気は優しく力持ちで親孝行な鉄牛のキャラは、
昔も今も、子を持つ親たちの理想像でしょう。
しかし、鉄牛の母親に何が起こったのか?
この続きは、また次回で。