京劇「新作 水滸伝」観劇の覚え書き その2 | 水滸伝ざんまい

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中国四大名著の水滸伝について語るブログです。
原典メインのため、北方および幻想はありません。
悪しからずご了承ください。

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物語は、晁蓋亡き後、新たな首領となった宋江が、
盧俊義を仲間に加えるまでの経緯(第六十一~六十七回)を脚色したもの。
 
主役は盧俊義と燕青だが、狂言回しとして大活躍するのが、王英。
これが何と、リアル矮脚虎!(イラスト参照)
 
といっても、本当に背が低いのではなく、しゃがんだ状態。
ふくらませた上着で曲げた足を隠し、ウサギ跳び状態で歩いたり走ったり、
立ち回りまでこなすという、驚きの演技を見せた。
 
(聚義庁の場)
ゆっくり鳴らされる銅鑼と、チャルメラやカスタネットの連打の中、幕が開く。
舞台中央には、白い祭壇と位牌。「梁山 首を垂れて晁蓋天王の死を哭す」の字幕。
 
盧俊義は、林冲と共に武芸を学んだ間柄で、
商用で梁山の近くを通り、懐かしさから挨拶に来る、という設定。
ちなみに、林冲のセリフには、「史文恭と共に武芸を学んだ」というのもある。
(盧俊義、林冲、史文恭の3人に、武芸を教えた師匠って、どこの誰だ!?)
 
梁山泊での歓待を、一旦は断った盧俊義だが、
王英に、「お金持ちの旦那様は、お役人に睨まれるのが恐いんだよな」と、
挑発されてカッとなり、「わしに恐いものなどない!」と、逗留決定。
先に戻ることになった李固は、大名府の役所へ密告、
帰宅した盧俊義は、その場で逮捕される。
 
(北京郊外の場)
主が捕まったのを知った燕青は、救援を求めに梁山泊へ直行、
探索に来ていた王英・扈三娘夫婦に再会する。
連絡を受けた梁山泊軍は、直ちに北京郊外に布陣、
盧俊義を殺そうとした護送役人は、待ち構えていた李逵の二挺斧でバッサリ。
 
ところが、盧俊義は礼を言うどころか、
「災いをもたらすのか! 護送役人を殺しては、無実の罪の弁明も出来ない」と逆ギレ、
あげく、「この手で李固を成敗せねば、恨みは晴れない」と、
燕青の必死の説得も無視して、単身で大名府へ戻っていってしまう。
(この辺のわがまま勝手な性格は、原典に忠実なだけに、最高に笑えた)
 
(イラスト)
右・智多星 呉用
孔明扇ではなく、なぜか払子を持っていて、
使わない時は、襟首に差している。