寂れた港町独特の からりとした静寂。

潮風が彩という彩を連れ去るから
町は 淡い水彩画のような景色になる。








潮の絡みつくような匂いとか 妙に滞留する時間とか

わたしの知らない町は わたしのよく知っている町と酷く似ている。


















海は この世界の何処にだって繋がっている。

海は この世界の何処にだって繋がっているはずなのに

どうしてか その海に閉じ込められているような気持ちがした。いつでも。














君は わたしだ。


あの 海に閉じ込められてもどかしい気持ちを持て余していた あの頃のわたしだ。


そしてしばらく海を見ていた君は ごろんと堤防に仰向けに寝転んだ。







君が今 手にしているスマートフォンも 目のまえに広がる海も

世界に繋がっている。


でもたたずんでいるだけじゃ 閉じ込められていることと変わりはない。



あの頃のわたしに 見知らぬ君に
囁くようにそっと想った。








撮影地:仁川広域市 東区 万石洞