バスに揺られて流れていく景色を眺めるのが好きだけど 前の座席の人の視線でそれを見ているのもとても好き。

スマホの画面をみつめていたり 厳しい表情で外を見つめていたりする他人の視線。
この渋滞をどう思っているだろうか。
仕事中なのか それとも帰るところだろうか。
なんとなく時間をもて余してバスに揺られているのだろうか。

一人一人がそれぞれの視線と それぞれの思考をもって人生を生きているなんて。
まるで終わりのわからない小説たちがそれぞれ服を着て歩いているような気持ちになって あまりに圧倒的で眩暈をおぼえる。
そしてわたしもまた終わりのわからないひとつの小説だ。
わたしの小説と決して交わらない誰かの小説をそっと覗きこむように
座席越しに想いを馳せる。
撮影地:ソウル特別市東大門区、他