おはようございます。
ZigZagです。
本日ご紹介するゲームはこちら。

INSCRYPTION
〈インスクリプション〉
ローグライトなカードゲーム+謎解きが混ざったサイコロジカルホラーゲームです。
※ストーリーそのもののネタバレはありませんが、システム面やクリア後のネタバレがあります。注意。
概要
極めて前衛的な作品であり、レビューは賛否がはっきり分かれている。
一部レビューには「プレイするなら前情報無しに」とよく書かれているが、そのゲームデザインの性質上、ある程度情報は仕入れてから購入を検討することをおすすめする。
ストーリー
そこにいた男『レシー』は、困惑するあなたに「ゲームへの参加」を強制する。レシーは一体何者なのか。ここはどこなのか。何故ゲームをしなくてはならないのか。
分からないことが数多くあれど、謎を解明するには言われた通りゲームに参加し、勝利を得なくてはならない。
あなたは意を決し、机に腰を掛ける──特徴
システム
「デッキ構築型」とあるように、本作ではゲーム進行中に様々なカードを入手していくことで自身のデッキを強化し、バトルで勝利していくことが目的。
なお、本作は大まかに分けて3つの章で構成されており、各章毎に若干仕様が異なる点に注意。
ゲームの流れ
章毎で進め方に差異があり、それに合わせてカードやアイテムの取得方法も異なっている。
1章
プレイヤーは駒を操作してツリー形式のマップを移動、各マスに応じたイベントやバトルをクリアしていき、マップの最後に待ち構えるボスを倒すことが目的。
- マスはそれぞれアイコンで表示されており、アイテムやカードを入手出来るマスからカードを強化出来るマス、バトルが発生するマスなど様々。ルートはある程度任意で決められるが、1度通ったマスに戻ることは出来ない。
- バトルマスではレシーとのバトルが始まる。勝利したらもちろんのこと、マップ毎に1回だけなら敗北しても先に進める。ただし2回負けるとゲームオーバーとなり、これまで集めたカードやアイテム、強化の類は全てリセットされてしまうので注意。
- 敗北するとリセットだが、その際に「自分のオリジナルカードを作る」ことが可能になる。バランス崩壊させるような代物は無理だが、他のカードよりは強力なカードを得る機会を増やして次のゲームがプレイ出来る。
- 各マップの最後にはボスが待ち構えており、必ずバトルで勝利しなくてはならない。なおかつボスはそれぞれ特殊な能力を扱う他『2〜3戦連続で戦う』『1回の敗北でゲームオーバー』といった通常とは異なる状況でのバトルとなる。
- 倒すことでレアカードを入手でき、次のマップが開放される。
- なお、バトル中以外ならば席を立つことが可能。小屋の中を探索することで、新たな発見がある。謎を解くことで、更にストーリーが展開することもある。
2章
ドット調の見下ろし型マップを舞台に、キャラクターを操作して様々な人物と会話・バトルを行い、4人のボスを倒していく。
- 1章で使っていたデッキは使えず、代わりに新たなデッキを4つのタイプの中から選択する。一部デッキは1章とは召喚方法が異なるので注意。
- その他のカードは箱を調べたり、イベント・バトルをクリアする、商人と取引することで入手出来る。アイテムは存在しない。
- 入手したカードを元に、自身でデッキの編集が出来る。入れるカードは自由であり、元のデッキ構成を無視した内容にしても問題ない。
- バトルのルールは1章と同じ。バトルに負けるとゲームは進行しないものの、挑む直前の状態からリスタートでき、ペナルティもない。
3章
見下ろし型の3Dマップを舞台に、キャラクターを操作して4体のボスを倒すことが目的。自由に探索出来た2章とは異なり、上下左右にしか移動出来ない。- マップの各所にはチェックポイントがあり、リスタート時はそこからのスタートになる。
- 道中には敵が配置されており、バトルで勝利すると先に進める。負けるとチェックポイントからやり直しになる上に、それまで入手したお金を落としてしまい、倒した敵も復活してしまう。
- 落としたお金は同じ場所に行くことで再度取得可能。
- カードはお金で購入する・イベントを行うことで入手可能。1章と同じく手に入れたカードはデッキに入り、編集は不可。
- アイテムは特定のポイントで入手可能。消耗品ではないが、一度使うとチェックポイントまで使用出来なくなる。
デッキ
バトルの際に用いるプレイヤーのカード群。最初は5枚しか持ち合わせていないが、ゲーム中のイベントを熟すことで増減していく。
- 章によって、プレイヤーの持ちカードで構成されるデッキの他に特定のカードのみで構成された『リソースデッキ』が自動で装備されており、毎ターンどちらかのデッキから1枚ドロー出来る。
- これは常に同じカードのみがドロー出来る代物。攻撃力はないものの、他のカードのコストや壁役として機能する。
- バトル中に2つのデッキが無くなってもバトルは続行されるが、この状態になると敵が特殊なカードを並べ始める。猶予こそあるものの、こうなると対策無しでは勝ち目がないので、デッキ切れになる前に決着をつける必要がある。
- なお、2章ではデッキがプレイヤーの物だけしかない代わりにデッキ編集が可能になり、章中で入手したカードを自由に組み替えられる。ただし、デッキには最低20枚カードを入れなくてはならない。
カード
バトルでプレイヤーが使うカード。
カードには『コスト』『攻撃力』『体力』『印』が書かれており、それら数値や効果によってバトルが進行していく。
また、カードによっては条件をクリアすることで変化したり、バトル以外の使い道がある物も存在する。
◾コスト
カード右上のマークの個数。場に出す際、コストとして支払わなくてはならない対象の種類と数を表している。無記入の場合はコスト支払いなしで召喚可能。
- 血のマークは「場に出ている自身のカード」をマークの数だけ破壊する。あくまで“枚数”なので、コストに使用するカードのレア度やステータスは関係ない。また、障害物カードや皮カードは対象外。
- 骨のマークは、カードが破壊された際に入手する『骨コイン』が対象。場のカードを犠牲にせずに出せる強みがあるが、当然コインがないと召喚出来ず、血のコストを代替にも出来ない。
- これ以外にも別種のコストもあるため、各条件に見合うようにしなくては場にカードを出せない状況に陥るので注意。
◾攻撃力
カード左下の数字で表示されている。
そのカードが相手のカード、もしくは相手自身へ与えるダメージ。
この数値が1以上あるカードは毎ターン必ず攻撃を行う。
- カードの効果で攻撃力を付与させれば、攻撃力がゼロのカードも攻撃を行えるようになる。また、その効果は障害物カード等にも有効であり、攻撃力を得た場合は障害物カードでも攻撃を行うようになる。
- カードの攻撃力がどれだけ攻撃対象の体力を上回っていても、その差分がプレイヤーに直接攻撃を与えることはない。ただし攻撃対象の後列にカードが控えていた場合、その差分のダメージがそちらに当たるようになっている。
◾体力
カード右下の数字で表示される。
そのカードの耐久力であり、ダメージを負うごとに減少、0になると破壊される。
- 破壊されたカードは一部効果が無い限り、そのバトル中に再使用が出来なくなる。
- カードが破壊されると『骨コイン』が1枚入手でき、コストが骨のカードを出す際に使用出来る。
◾印
カード下中央のマークで表示される。そのカードが保有する特殊な能力であり、マークに応じて発揮する効果が異なる。どのマークがどの効果を発揮するかは逐一確認可能。
また、イベントで付与されることもある。
- 「攻撃した相手を即死させる」「コスト支払いの対象になっても場に残る」「破壊されると手札に戻る」といった強力なものから、「ターン終了時に指定方向に移動する」「1ターン経過するとパワーアップする」等のトリッキーな効果を持つ印もある。
- 中には印を2個保有するカードがあったり、イベントで通常の印に追加で付与させることも可能。
アイテム
章によっては取得が可能な消耗品。バトル中にのみ使用でき、様々な恩恵を齎してくれる。入手出来るタイミングが限られているので、使いどころが肝心。最大で3つ所持出来る。
- アイテムが一杯の時は入手出来ない代わりに、カードを1枚貰うことが出来る。
バトル
当ゲームの肝であるカードバトル。
ストーリー上で入手したカードを用いて敵とバトルを行う。
フィールド
フィールドは『プレイヤー』『敵』『敵の控え』があり、原則各4箇所ずつ存在している(とある章のみ3〜5箇所と変動)
敵・プレイヤー共に、カードはフィールドの数分しか置くことが出来ず、新たにカードを置く際は、他のカードを破壊してからでないと設置出来ない。
- フィールドの初期状態によっては、あらかじめ障害物カードが置かれていることがある。障害物は破壊されるまでその場に残り攻撃を防ぐ壁となる一方、コストに利用することは出来ず、章によってはプレイヤーが自ら破壊することも出来ない。
- 敵はバトル開始時以外ではフィールドに直接カードを置かず、まず控えにカードを置いてから、次のターンに控えカードを同列のフィールドに設置する。
- 控えのカードの内容はプレイヤーにも見えているため、次にどんなカードが出るか把握可能。その代わり、敵は各カードのコストを支払わずに召喚してくる。
- フィールドの仕様は敵も同様であるため、控えと同列のフィールドにカードが設置されている場合、控えのカードがフィールドに出ることはなく、新しいカードを同じ控えに出すこともない。また、敵も自らカードを破壊することは出来ない。
- この仕様を利用し、敢えてフィールドのカードを放置し、控えにいるカードを出させない……といった手法も有効。
ルール・進行
プレイヤーは山札から4枚引いた状態でスタート。
(章によってはデッキから3枚、専用デッキから1枚の4枚)
◾ドローフェーズ(2ターン目以降)
山札からカードをドローする。
章によってはプレイヤーのデッキの他にもう1つ専用デッキがあり、2つの内どちらか一方からドローが可能。ドローは必ずしなくてはならない。
- 2つの山札が無くなりドローが出来なくなると、敵が『一切の攻撃が効かない』印が付与されたカードを投じてくる。カード自体のステータスは貧弱だが、ターンを重ねる毎によりステータスの強い同種のカードを1枚ずつ並べていく。
- こうなると一部印付きのカードが無い限り敵に直接攻撃が出来なくなり、ほぼ詰みの状態に陥る。更にターンが経過すると、同じ印+プレイヤーに直接攻撃可能なカードなカードも出してくるので、ここまで来ると諦める他ない。
◾召喚フェーズ
手札からカードを場に出す時間。
どの章でも手札にある&場に出す条件を満たしているなら、好きなだけ召喚させることが可能。
- この間にアイテムを使うことも可能。アイテムの使用回数にも制限はない。
- 章によっては自陣のカードを破壊することが可能。これで破壊したカードからも骨コインが入手出来る。
◾バトルフェーズ
場に出ているカードが攻撃する。
原則、攻撃対象は正面に置かれたカードであり、何も置いていない場合は敵に直接攻撃を行う。
攻撃力が0でない生物は必ず攻撃を行う。
- 攻撃したカードの攻撃力が敵カードの体力を上回り、なおかつそのカードの後列に控えのカードがある場合、“オーバーキル”という効果が発生し、その差分のダメージが控えのカードにも当たるようになる。それで後列のカードの体力をゼロすると破壊出来る。
- 直接攻撃をする・されると、そのカードの攻撃力分、秤の針が被弾した側に傾いていき、針が完全にどちらか一方の端に到達するとその時点で決着となる。針が中心にある場合、最小でも5ダメージ必要。
- 逆を言えば、最初のターンで5ダメージ以上与えることが出来れば、ワンターンキルも可能。
- “秤”という特性上、例え敵にダメージを与えたとしても、その後にプレイヤーがダメージを受ければその分だけ針が戻ってしまう。
- 逆にプレイヤーがダメージを受けても、ダメージを与えれば挽回が可能。これを利用して「ギリギリ負けないラインを維持しつつ手札を揃える」といった手法も可能。
◾敵フェーズ
バトルが終わると敵の手番に移る。
敵は控えにあるカードを同列のフィールドに出し、その時点でフィールドに出ているカードでバトルフェーズを行う。
その後、控えに追加のカードを置くorそのままターンを終了する。
以上を繰り返していき、秤の針を振り切らせた方の勝利となる。
なお、あくまで勝利条件は秤の針のみであるため、場のカードを一掃する必要はない。
- 秤の針が振り切れる以上のダメージを与えて勝利すると、余剰分のダメージが通貨として計上され、各章の取引に利用出来る。
ボス戦
特定のタイミングで戦うことになる強敵。
バトルのルール自体は同じだが、ボス戦は2〜3回連続で戦うことになる上に、各々が特殊な能力を行使し、プレイヤーを撹乱してくる。
- また、1章では残りライフが強制的に1に減らされてしまい、敗北するとゲームオーバーとなってしまう。
- ボス毎に能力は様々。対処法や打開策を把握・講じていないと、あっという間に窮地に追いやられる。中には異様なギミック等を使用してくるボスもいるため、状況に応じて臨機応変な対応も求められる。
KAYCEE'S MOD〈ケイシーズ・モッド〉
本編クリア後に解禁される、第1章のゲーム内容のみを繰り返し遊べるモード。
基本的なルールは本編と一緒。最後のボスを倒すとクリアとなり、リザルト画面へ移行する。
- 初期デッキは選択制。オーソドックスなタイプから癖のある印で揃っているものと様々。ただし最初は1つしか選べず、クリアする毎に解禁されていく。
- なお、デッキの内容は「基本カード3枚+皮カード2枚」の構成で統一されている。非常に少ないが、スタート直後に必ず商人と取引出来るようになっている。
- 最初のマップの序盤で敗北する、もしくは諦めてしまうと、ペナルティとして次のゲーム時に皮が減らされてしまい、代わりに別のカードが強制的に入るようになっている。
- 更に同じように敗北・諦めると、皮が無くなって別のカードが入ってしまう。当然、商人との交換もなくなる。
- 『チャレンジ』という高難易度設定があり、任意で好きな個数付けることが可能。付ければ付けるだけ難しくなるが、チャレンジポイントを指定されたポイント分付けてクリアするとレベルが上昇、他の要素がアンロックされていく。
- 最初こそまだ易しめなチャレンジのみだが、後半になるにつれて難易度が更に上昇。最終的にはこれまでのプレイでは到底クリアが困難なチャレンジも登場する。
- 無論、そちらも工夫次第でクリアは可能な領域になっており、プレイヤーの知力、選択、運が大いに試される。
感想
※あくまで私個人の感想です。
良かった点
- バトルの勝敗は「秤を相手方に押しやる」のみで決し、自分がどれだけダメージを受けようが、どれだけ敵の場にカードが残っていようが関係ない。そのため勝利への道筋が幅広くあり、持ちカードの状況によって臨機応変な戦法を立てることが可能。
- そこにアイテムを絡めたり、トーテムによる補助やカードの印を有効活用することで、更に効率良くダメージを与えられる。印の組み合わせによっては手札のカードを一挙に場へ召喚出来ることもあるので、自分なりのコンボを構築していくのも面白い。
- 特に1章は「カード収集」「カード強化」「トーテム&アイテム取得」等、様々なイベントがマップに散らばっており、どのルートを通るかでその後のバトルの攻略具合がガラリと変わるため、戦略を組み立てていく楽しみもある。
- 雰囲気を支える環境も秀逸。使い古されたマップ、木製の駒、TRPGのように各マップイベント毎に登場人物を演じるレシー、謎の隠された小屋の内部と、思わずプレイヤー自身もその場にいると錯覚してしまうほど飲めり込める作りである。
- 加えて、対戦者でありレシーの小気味の良い会話がダークテイストな雰囲気の清涼剤になっており、ただ陰鬱としたゲームにはなっていない。
- だからこそ、この雰囲気のまま本編をやり通したかったのだが……(詳しくは後述)
- 「こちらのカードを奪う」「フィールドのカードを全て別の物にしてしまう」といったシンプルなものから、「第2フェーズまでに得たアイテムの数だけ敵カードを奪える」「フィールドの状況を記録し、再度同じ状況に戻せる」といったトリッキーなギミック等、連戦を飽きさせない工夫がされている。
- 攻め方によっては、それら能力を逆手に取りプレイヤーに有利な状況に持っていくことも可能なので、単純な不利の押しつけでないところも良い点と言える。
- 接する機会の多いレシーが最たる例だろう。普段はこちらにプレッシャーを与えるように接してくるが、TRPGのGMが如く各マスのイベント時は役割をきちんと果たし、不意の出来事には慌てふためいて正直なコメントを零す等、超然的と思わせといてどこか人間臭さを見せてくれる彼には感情移入してしまう。
賛否点
- 流石にホラーからコメディになったり、カードバトルからアクションゲームになるような変化ではないが、その変わり具合を受け入れられるか否かで当ゲームの評価も変わってくるだろう。
- 肝であるカード勝負に関しては大幅な変化は起きないものの、最初のゲームシステムを気に入ったプレイヤーには少々難儀なものになってしまう。一応、クリア後には1章の内容をエンドレスで続けられるモードが追加されるが、そこに到達出来る前に止めてしまうプレイヤーもちらほら。
- 好評レビューにはレビューを見ずに・事前情報無しに購入することをオススメする内容が散見されるが、PVからの情報と実際のプレイでは著しい乖離が発生しているため、購入を検討する人は少なくともPVシーンはあくまで1章であり、途中でゲーム性が変わるということを念頭に置いておいた方が良い。
- 合わせて謎解きの方も相応に難しい上に、“何をすべきか”の説明も殆どないので、不得意な人はバトルではなく謎解きで詰みかねない。
- 一応ヒントは存在しているものの、見れる状況が限られていたり、そもそもヒント自体が隠されていたりもするので、余計に苦手な人には辛いかもしれない。今ではネットに攻略記事があるので、調べることが出来るのは救いか。
- ただし、その手のゲームが好きな人には堪らない内容なのは間違いない。
残念な点
◾作業感の強い後半
1章にあった様々な要素が他の章ではオミット、または改変されてしまい、作業感を強めてしまっている。
- 2章では「デッキの編集」「召喚方法の増加」という新しい要素こそあるものの、マップのランダム性やアイテム、カード強化、トーテム、リソースデッキといったシステムが軒並み無くなっており、これまでの利点が失われている。
- カードは敵を倒すか、ゲーム内通貨で購入することで入手可能になっているが、とある場所で無限に通貨が獲得出来るので、1章にあったマップイベントによる一喜一憂が喪失し、カード入手の面白味や緊張感が減少している。
- カードの強化や合成すらも無いので、カードをどれだけ集めてもデッキに入れるか否かの選択肢のみであり、物悲しさを感じる。
- バトルの方も同様。先述の通り強化や合成、アイテム、トーテムがないため、戦術の幅が狭くなっている。
- 召喚方法だけでなく印も増加しているため、工夫次第では様々なコンボも不可能ではないのだが、「デッキを圧縮し、コンボに使うカードや強いカードを早めに手札に揃える」ことが、デッキ編集機能の最低20枚必要という仕様に阻まれてしまい、手札に揃えることが困難になっている。寧ろ出せるカードで殴った方が早い。
- なおかつ、リソースデッキがない=リソース用のカードも主軸のデッキによっては入れなくてはならないため、余計にデッキ枚数が増加する。それを踏まえての20枚制限なのだろうが、入れたところで引くことが出来なければ無意味なので、2章の運ゲー度合いを加速させている。
- このように、何の制約もないカード収集・集めても強化合成出来ないカード・1章以上に運頼みのバトル等、殆どの要素から緊張や期待、戦略性が損なわれており、作業感を強める出来になってしまっている。
- 3章はデッキ関係が1章同様になり、リソースデッキやアイテム、カード強化が復活するものの、別の問題が生じており作業感を拭いきれていない。
- まずカードの召喚が「毎ターン1ずつ貯まる&リチャージされるエナジーを使う」方法になっており、他のカードを犠牲にすることなくカードをフィールドに出せるようになる。しかし逆を言えばエナジーが無いと何も出来ず、バトル開始時は使用出来るエナジーが1しか無いことも相まって、手札に強いカードが来ようとも必ず後手に回ってしまう。
- 当然、敵はこれまで同様にエナジーを無視してカードを出してくるので被弾は必至。1章のように「手札に強力なカードが揃っているからワンパン」ということも不可能なため、必ず戦闘は長引いてしまう。
- そのためバトルの手法が「エナジーが貯まるまで耐え、貯まってきたら反撃」で固定されてしまい、戦術の幅が広いとは言えない状態に。
- 一応アイテム自体は存在しており、好きなタイミングで使用可能かつ強力ながら、3種類しかないのでバリエーションに欠けている。
- やたら広いマップを行き来することになるので、移動が手間なのも難点。バトルに負けた際はチェックポイントからリスタートなので、負けが続けば何度も同じ道を通る羽目になる。挙げ句、道中の敵も合わせて復活するので、負けた場所によっては何度も同じ敵と戦うことにも繋がってしまう。
- また、グラフィックの色調がほぼ一定なのも無機質かつ味気なさを感じる要因になってしまっている。
- 3章には1章に無かった「リソースカードの強化」「ある程度“自由に”作成可能なオリジナルカード」といった面白味を感じるシステムも確かにあるが、試行できる数がそもそも少なく、タイミングも後々なので、楽しさを実感出来る時間が少ないのは残念。
- 総じて1章で好評だったシステムが、2章以降ではオミット・劣化してしまい、作業感を強めるだけのものに成り下がってしまった。
- 無論、この仕様変化は本作の“とある特徴”を如実に再現するためのいわゆる舞台装置的な役割とも言え、ストーリーを深く理解する・表現するには必要な措置なのかもしれない。しかし、そのせいで1章を気に入っていたプレイヤーに肩透かしや期待外れの印象を与え、賛否が大きく別れる内容となってしまった。
- その重要な説明がされるのはバトル開始時。選ぶ前に教えてもらいたいところなのだが……。
- しかも4つの内2つは2章から追加される召喚方法である上に、かなり癖の強いものもあるので余計に不親切に感じる。
- また、リソースデッキがない=召喚出来るかか手札次第という制約が重く、召喚に他のカードが必要な3種は運ゲー度合いが更に強まっている。
- 対して内1つのデッキは3章同様のエナジーを用いる手法なので、他のデッキに比べると召喚難易度は低め。別のカードと併用すれば召喚もスムーズに可能になるので、2章を円滑に進めることが比較的容易になる。だからそれを先に説明してくれ。
まとめ
山小屋みたいな部屋の中で怪しい男と命を賭けたカード勝負という不条理かつダークな展開。
カードやマップ、駒といった小道具類のレトロチックかつ味のある質感。
怪しい男=レシーの高圧的ながらどこか人間臭さを感じる言動。
全てをひっくるめて最高ですね。
ただ……その最高のゲーム性と雰囲気が序盤で終わってしまったのが非常に残念。
最初に言っておくと、ゲーム自体は面白かったのです。
ただ、なまじ序盤にゲーム性・雰囲気が最高の代物を体験してしまったことにより、その後がどうしても1章の劣化版としてしか見れなくなってしまいます。
2章には「デッキ編集」という違う楽しみがありますが、1章の良点を尽く潰してしまったことにより、命を賭けているという緊張感も、イベントによる一喜一憂も、アイテムやリソースデッキを駆使した搦手もなく、ただ引き運にのみ頼らざるを得ない「運ゲー」に。
3章は1章のシステムがある程度戻ってきましたが、リスタートはチェクポイントからという中途半端なペナルティによる手間の増加、エナジー依存の召喚しかない故のゲームテンポの悪化と戦術のワンパターン化、無機質過ぎて感情移入し辛い雰囲気と、「作業ゲー」な状態に。
あくまでも推測ですが、この仕様変化はストーリーの変遷をプレイヤーに体感させるための舞台装置の一環なのでしょう。
しかしながら、それによってせっかくの面白味を廃していくのはなかなかチャレンジ精神豊富というか前衛的というか。
そしてそうまでして環境を整えた状態で繰り広げられる肝心のストーリーは──万人受けは絶対にしないとだけ。
あと、最も批判されているのは「PVやスクショには2章以降のことが殆ど明示されていない」点ですね。
PVの時点で雰囲気がそもそも抜群である上に、多くの前向きレビューには「事前情報無しでやって!」という勧めが多いので、それらを信じて購入したプレイヤーとっては、言い方は悪いのですが『騙し討ち』に等しい行為。
それらも含めて挑戦的なゲームと言えます。
……という具合なので、本当に人を選ぶゲームです。
ただし、考察好き、本格的な謎解き好き、好奇心旺盛な人には堪らないゲームなのは確かかと。
カードゲーマー好きは……どうでしょうかね?
先述の通り、私はあまりカードゲームをやらないのでこれくらいが丁度良く面白いのですが、カードゲームガチ勢の方からしたら簡単すぎですかね?ムズカシイ。
ともあれストーリーはさておき、私はしっかり楽しめました。
難易度はなかなか高い方ですね。
『ケイシーズモッド』のトロフィーが最も難しいですので、挑戦される方は綿密かつ緻密かつ周到な準備をしてください。
◾こんな人におすすめ
・考察系が好きな人
・本格的な謎解きが好きな人
・ライトなカードゲームが好きな人
・急な場面変更も受け入れられる人
◾こんな人には合わないかも……
・純粋にストーリーを追いたい人
・1章のみの雰囲気を好む人
・運ゲーが嫌いな人
おしまい。
