教員の世界では、全般的にいろいろな権利が認められています。


例えば、子育てについての権利、産休・育休制度はかなり前から認められ、最近では育児時短休暇を使う教員もあります。


とかく悪者扱いされますが、教職員組合の団結力と交渉力は大きいです。

教育現場ならではの人権やジェンダーフリー意識の高さを感じます。



さて、私が子育て世代だった頃は、育休は1年間。また、男性が育休を取るなんて考えたこともありませんでした。


最近では、育休は子供1人につき3年間取るのが当たり前で、2人続けて出産し、計画的に6年間を当てる人もあります。

男性教員の育休取得も、ずいぶんと聞かれるようになってきました。



誤解を恐れずに書かせてもらえば、この育休制度も、今の学校現場にとっては、悩みの種のひとつと言えます。


ご存知の通り、教員不足が著しい昨今、

代わりの先生を見つけるのは至難の業 

だからです。



年度末、管理職は、来年度の校内人事に頭を悩ませます。


まず、新年度を迎えるために必要な教員数が確保できない場合が増えてきています。


我が市内にある、約30学級規模の公立小学校は、昨年度、3名欠員の状態で4月をスタートしていました。

欠員3名分の仕事は、当然、残りの教員に割り振られ、それぞれの負担が大きくなります。)


教員が足りずとも、もちろん、担任がいない学級を作るわけにはいきませんから、現有戦力で、すべての学級に担任を割り振ることになります。

指導力がなく度々学級崩壊を起こしていたり、

毎年保護者からクレームを受けていたり、

メンタル面に不安を抱えていたり……

中には〝不適格教員に近いような先生も、担任に充てざるを得なくなります。



そんな中、新婚の先生、妊活中の先生からは、こんな希望が出されます。


(今年度中に子どもが欲しいので)

「担任から、外してもらえませんか」

「◯年生の担任は、外してください」


いえ、決して、

わがままで言っているわけではありません。


年度途中で産休、育休に入った場合の、周りにかける迷惑を考えれば、理解できる発言です。


それでも、先述の通り、元々教員不足、人材不足の状況です。


校長先生は、苦渋の決断をし、


「お子さんができたら、その時はまた考えましょう」


と、無理を承知で担任をお願いしたり、大変な学年を受け持ってもらったりして、

何とか学校は新年度のスタートを切ります。


そして、めでたく

「おめでとうごさいます!」👏

となれば


年度始めでも厳しいのに、年度途中で産休・育休を取る先生の代替を探すのは、ますます至難の業となります。


教育委員会に登録された講師リストは、既に空っぽ(または、採用できない理由のある方しか残っていない)。


校長先生自ら、退職した教員に電話をかけまくります☎️


でも、体力、気力に限界を感じて辞めた元教員に、激務と言える担任業務をお願いすること自体に無理がありますよね。


年度途中で任期が終わる講師はいないかと、他の学校・校長にも問い合わせ、互いに声を掛け合っても、なかなか……


校長先生が、保護者にまでお願いをした学校があったというニュースがありましたが、それほど切迫した状況になっているのです。



やむなく、管理職である教頭先生や主幹教諭が担任になったり、校長先生自ら授業に入ったりして何とか持ちこたえるわけですけど、

本来管理職が行っている仕事の負担は、これまた全教員にのしかかってきます。

こんなことを毎年繰り返していたら、みんな体がもちませんよね。


「うちは、担任ガチャにハズレた!」


「うちの学校には、ろくな教師がいない!」


なんて言っている皆さん!


それを 学校にぶつけても、根本的な問題解決にはなりません よ。


今年度は(担任)アタリでも、いつかは、ハズレ順が回ってきます。


まして、あなたの学校、担任への心無いクレームが、ますます教員不足、担任不足を加速させていくのです‼︎


今こそ、国をあげて教育公的支出を増やし、今後の日本の教育を本気で考えていかなくては、

教員不足はますます深刻になり、さらに取り返しのつかない状況に追い込まれていくはずです。


何でも学校に頼り、学校の責任にする「学校依存社会」を変えていかなくては…。


産休・育休制度の話から、また話が逸れてしまいましたね。 悪しからず🙇🏻‍♂️