滋賀県の中学校で、新3年生のクラス替えがやり直しになるという記事がありました。

理由は、
「人間関係に問題がある生徒同士が同じクラスになっていた」
からだそうです。


ネット記事では、
保護者からの指摘で“異例”の対応
というタイトルがついていましたが、これからは、決して“異例”とは言えなくなるのではないかと危惧しています。

もしかしたら、すでにもう、今でも…。



クラス替えは、子供たちにとって、一年間の学校生活に関わる一大事であることは、昔も今も変わりません。

変わったのは、クラス編成に際して、保護者が口を出すようになってきたことです。


昭和の時代では、2年間はクラス替えをせず、同じクラスで過ごすことが当たり前でした。

担任も、当たりでもハズレでも、2年間は同じ先生!が当たり前でした。

私が小学生の時がそうでしたし、教員として勤めた初任の学校でも、そうでした。


しかし、人間関係が難しくなり、

いや、昔も今も難しいのは不易で、それが我慢できなくなった、クレームがつくようになった、と言うべきかな🤔

毎年、クラス替えをし、担任が変わることが当たり前となって、もう久しくなります。



以下、前述の滋賀県の記事に対する、杉村太蔵さんのコメント(ネットより)です。

「仮に保護者のクレームで『ウチの子をこの子と一緒にしないでくれ』っていう、そういうクレームによって、もしクラス替えを再編成せざるを得ないって状況になると、話は変わってくる」

うん、恐らく …… だと思います🤨


最近は、2学期末〜3学期にかけて、来年度のことについての保護者からの “お願い” が、当たり前に聞かれるようになっています。

①:「来年度のクラスは、◯◯さんと離してください」

②:「来年度のクラスを、◯◯さんと同じにしてください」

③:「来年度の担任は、◯◯先生以外にしてください」

①と②は、面談や電話で、担任宛に。
③は、担任批判ですから、学年主任や管理職へ。


私は、この手の“お願い”に対しては、
「お約束はできません。」
と、丁重にお断りしていました。

二つ返事で受諾していたら、それこそ、大変なことになります。

もちろん、保護者のお話はしっかりと聞き、きちんと受け止めた上で、お断りしなくてはなりません。


実際に、小学校高学年であった例です。

不登校気味のAさんは、Bさんをいつも頼りにしていて、来年度も同じクラスにして欲しいと言う。

でも、ᗷさんはそれが負担となっていて、Aさんと離れたいと思っている。

また、Bさんは、Aさんを傷つけたくはないから、離れたいと思っていることは、Aさん本人には絶対言わないでと言う。

AさんとBさん、同じクラスにしても、別のクラスにしても、どちらかの願いは叶わないことになります。

こんなことを、あちこちから“お願い”されたら、クラス編成など、とてもできないことは、ご理解いただけると思います。



しかし、その一方で、

“実は◯◯さんから、いじめられたことがあるんです”

“◯◯先生から、度を越した指導を受けました”

“うちの子は、精神的に苦痛を感じています。我慢も今年度が限界です”

“このまま◯◯さんと一緒にいたら、うちの子は不登校になります”

などを理由に“お願い”をされれば、学校として、そのまま、放っておくわけにはいきません。

しかし、年度末の3月になって言われたなら、正直、解決する時間は……😓

いえ、保護者側にしても、解決云々より、
「来年度の希望を聞いてくれたら、それでよいです」
という立場の方が大半でしょう。


学校側としても、初めから問題の火種を持ったクラスを作るのは、得策ではないことは明らか。

公には言わないまでも、

(しかたない。◯◯さんと◯◯さんは、別のクラスにしておこう。)

と忖度するのが普通ですよね。


つまりは、“言ったもの勝ち!” の結果になってしまうわけです。



これも、某中学校での最近の例。

中2で不登校になった子の保護者が、その原因はクラス編成にあると主張してきました。

「小学校の時に、◯◯さんと離すように先生に伝えておいたのに、(中2で)一緒になったから、こうなったんじゃないですか!」

延々とクレームをつけ続け、元の小学校の担任まで引き摺り出し、何度も話し合いの場を設けざるを得なかった事例がありました。


恐らく中学校の先生方は、中1の様子を一年間見て、

「さすがに、もう大丈夫だろう。」

「いつまでも、過去のしがらみに囚われていては、互いのためになるまい。」

と判断して、中2では一緒のクラスにしたのかもしれませんが……。


学校は、一度“お願い”されたら、一生、それに囚われなくてはならないのでしょうか😥


市内では少子化の影響で、かつて学年4〜5クラスあった学校が、1〜2クラスに減ってきています。

そうなれば、ますます、クラス編成に対する“お願い”を叶えることは、難しくなるでしょう。


こうなると、従来のクラス編成、クラス替え、一担任一学級制は、やがて通用しなくなる日が、そう遠くないのかも…。


もう20年ほど前から、小学校では算数を中心に習熟度別・少人数指導が行われてていますし、現在は、可能な範囲で『教科担任制』が導入されつつあります。

これも、別の意味で主流になっていくのかもしれないなぁと思っています。