「今の時代、指導する側が厳しくできなくなって。何年くらいなるかな。」

これは、イチローさんの発言だそうです。

これを元にしたネット記事(11/18配信・現代ビジネス)を読んで、共感を覚えます。



「学校は、サービス業だ」

この言葉を管理職から聞いた時には、まだ違和感があったものですが、今では全く、そうなってしまいました。


教員時代の私は、
「教員は、母性、父性、友達の3つの感性を持ち、その役割を果たすべき」
との思いを胸に、

卒業式の呼びかけの言葉でよく使われたように、
時には厳しく、時には優しく」
指導することを心がけていたと思います。

しかし、いつの間にか、「厳しい」指導は難しい時代になりました。

子供たちの成長のために、良かれと思って行った指導も、何かにつけて、学校、教員の責任が問われてしまいます。

例えば…
学習が遅れている子に、放課後、少しでも勉強を教えてあげたい、と思っても……

「おかげで習い事に遅れたじゃないですか‼︎」

「何でうちの子だけなんですか。」

「一人で帰らせて、何かあったらどうするんですか⁉」
これは学校側も認識しているので、近年では、何があっても一斉下校させています。

などのお叱りを、保護者からいただくことになります。


体育の授業中に、逆上がりがあと一息でできそう!という子に、

「そうそう、できそうじゃん。もう一回!」

なんてやらせてみて、結果できなかったら……


「うちの子、みんなの前で恥をかかされたって、泣きながら帰ってきましたよ!」

「できない子だけ、何度もやらせるのは体罰に当たるんじゃないですか!」

なんて言われりゃ、謝るしかありません。


給食を時間内に食べ切れない子には、

「食べれなかったら、残していいんだよ。」
と言ってあげないと、家に帰って、

「食べなきゃいけないと思って、無理して食べた。」
と聞かされた保護者から、

「先生が怖いから、子供が何も言えないんです!」

なんて…ね。


子供たちは、毎日7〜8時間を学校で過ごします。
これは恐らく、平日だと家での活動時間より長い時間となります。

つまり、人格形成に関わる大切な時間の多くを、学校という“社会”で過ごしています。

将来、社会の荒波にもまれても、強く生き抜いていく忍耐力、まさに
「生きる力」
をつけていく必要があると思います。


友達とケンカをしたり、口を聞いてもらえなくなったり。

やりたくない委員会活動をやらなきゃならなかったり、じゃんけんに負けてトイレ掃除になったり。

先生と馬が合わなかったり、自分の気持ちをわかってもらえないと不満を持ったり。


そんな風に、悩んだり、失敗したり、 
落ち込んだりしながら、
成長していく部分もあると思うのです。

でも、今は大人が先回りして、
失敗をさせないように、
嫌な思いをしないように、
道を踏み外さないように、
お膳立てし過ぎている気がします。

先生たちに求められる姿も、以前とは変わっています。

厳しさよりも、優しさ。

厳しい指導をして嫌われるよりも、
甘やかして放っておいた方が無難…。


「可愛い子には旅をさせろ」
「獅子の子落とし」

なんてことわざは、
今の学校では、もう通用しなくなっているのかな。