手形にまつわる怪奇体験をよく耳にします。 私の話もそんな体験の一つです。

 その日残業をやっていたので仕事から帰ってきたのは夜の11時頃でした。家に着くと私はくたくたに疲れていたので、何もしないで電気を消してそのまま寝てしまいました。すると、すぐに目が覚めてしまいました。 誰かに手首をギュッと掴まれたような感触がしたのです。

 驚き、目を開けて手首を見ると、別に誰にも握られていませんでした。気のせいかなと思いながらまた眠り始めるとまた同じところを掴まれました。けれども今度も 気のせいだろうと思って私はそのまま寝てしまいました。

 翌朝、目を覚ました私は、何気なく夜に掴まれた手首を見てぞっとしました。 驚いたことに、そこには、手の形をしたあざがくっきり残っていたのです。それは人間に力強く握られた時にできるような赤黒い痣でした。昨日、確認した時は暗くてその痣が見えなかったのです。