知恩院と申しますと 全国に 7000 余りの末寺を持つ浄土宗の総本山でおなじみです。

山門は日本一の規模を誇り、境内に入ると、 これまた途方もない大きさの本堂が周りを圧倒するようにそびえ立っておりますが、 実はこの本堂には面白い言い伝えがございます。

この本堂の右端の軒下で足を止め、顔を上に向けますと、軒のたるきの間に、 ほとんど 骨だけになり果てた古ぼけた唐傘がちょこんと 差し込まれているのが見えます。

これが 俗にいう、知恩院の忘れ傘です。

これは言い伝えによれば、本堂の建築に携わった左甚五郎が、 これほどの大建築が完璧であるのは、かえって魔がさす、とケチをつける意味でわざと置き忘れた傘だと申します。

にわかには信じられないけど、何だかおちゃめな 言い伝え ですね。