令和6年3月歌舞伎座昼の部 傾城道成寺 | 癸の歌舞伎ブログ

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令和63月歌舞伎座昼の部 傾城道成寺

 

傾城道成寺 ケイセイドウジョウジ

享保十六年三月江戸中村座初演。作詞者不明。七世杵屋喜三郎作曲。本名題「無間鐘新道成寺」

初演時配役は

初世瀬川菊之丞(葛城)。

この曲は現存最古の道成寺物である。もともと舞台は道成寺ではなくて遠州中山寺、無間の鐘を撞いてのち死んだ葛城が亡霊となって現れるというものである。五世瀬川如皐が舞台を道成寺に、葛城を清川実は清姫という形に書き直した。今回菊五郎を出すためにひーちゃんこと本名秀幸の一字をつけた尊秀という役を作った。最近では瀬川如皐の脚本による上演が多いが、四世雀右衛門、坂田藤十郎もこの脚本ではなくて、古形の中山寺、葛城という形での上演もしている。

 

今回配役は

中村雀右衛門(傾城清川実は清姫)、尾上松緑(白河の安珍実は平維盛)、尾上菊五郎(導師尊秀)ら。

 

板付きで真名辺と難波。尊秀出て維盛の出家式を行おうとする。襖を開けると長唄出る。七三より清川せり上がり。横兵庫、打ち掛けを羽織る。黒地に丸紋の帯。後見は女形のなり。清川髪をさばいて連理引きで安珍と名乗る維盛出る。京鹿子の恋の手習いを引用。上手から僧妙碩出て傾城が大蛇の形であると告げる。清川引き抜いて火炎、破れ紗綾形。居所がわりで背景が桜の山となり、尊秀が二重の上に出る。清川が清姫の亡魂であることがわかる。シテ七三よりせり下がり幕。