令和6年正月歌舞伎座昼の部 荒川十太夫 | 癸の歌舞伎ブログ

癸の歌舞伎ブログ

歌舞伎のお勉強と実況をするブログです。

令和6年正月歌舞伎座昼の部 荒川十太夫

 

荒川十太夫 アラカワジュウダユウ

 

尾上松緑の発案で神田松鯉の講談口演を竹柴潤一がまとめて令和四年十月東京歌舞伎座で初演したものの再演である。一年余しか経ってないので、主な配役は殆ど変わっていないが、堀部安兵衛が猿之助から従兄弟に変わってしまった。全く、有為転変の世の中である。

 

今回配役は

尾上松緑(荒川十太夫)、坂東亀蔵(松平隠岐守定直)、中村吉之丞(杉田五左衛門)、市川猿弥(泉岳寺和尚)、市川中車(堀部安兵衛)ら。

 

定式幕を使う。いきなり隠岐守屋敷での堀部安兵衛切腹シーンからである。介錯の荒川十太夫が刀を振り上げると、暗転となり、泉岳寺門前。義士らの七回忌で賑わっている。向こうより諸事に紛れ墓参が遅くなった杉田五左衛門が、荒川十太夫とすれ違い、十太夫が身分不相応ななりをして中間を従えているのを不審に思う。さらに和尚から十太夫が身分を偽っているのを聞き出し、尋問が決定的となる。松平邸となり、隠岐守直々の尋問。十太夫なかなか口を割らないが、堀部安兵衛への思いを口にし、隠岐守納得し、十太夫は処罰どころか、昇進。また泉岳寺となり、何も知らない和尚は立派ななりで墓参に訪れた十太夫を以前と同じく尊敬している。大石の墓前にいどころがわりとなり、幕。定式幕を用いた。

史実では隠岐守は義士らを罪人扱いしているので、身分の低いものに介錯されても、安兵衛も特に口惜しくは思わなかったであろうが、講談ですからね。