令和5年11月歌舞伎座昼の部 極付印度伝 マハーバーラタ戦記 | 癸の歌舞伎ブログ

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令和511月歌舞伎座昼の部 極付印度伝 マハーバーラタ戦記

 

極付印度伝 マハーバーラタ戦記 キワメツケインドデン マハーバーラタセンキ

 

当ブログの過去記事より

 

インドの同名叙事詩からの脚色。青木豪脚本、宮城聰演出。

今回配役は

尾上菊之助(カルナ、シヴァ神)、中村時蔵(クンティ姫)、中村鴈治郎(帝釈天)、中村七之助(ツルヨーダ王女)、坂東彦三郎(ユリシュラ王子、多聞天)、坂東亀蔵(ピーマ王子)、尾上松也(アルジュラ王子、梵天)、中村梅枝(若いときのクンティ姫、森鬼飛)、中村萬太郎(ナクラ王子、我斗風鬼写)、中村種之助(サハデバ王子)、中村児太郎(ドルハタビ姫)、片岡亀蔵(ドウフシュサナ王子)、河原崎権十郎(ハルカバン)、市川團蔵(ドルハタ王、行者)、坂東楽善(大黒天)、市川左團次(太陽神)、尾上菊五郎(那羅延天、クリシュナ)ら。

今月はなんとこの狂言のためだけに仮花道を設けてある。定式幕で幕開く。神々の場所。ルネサンス風ドレスに頭が仏像風な神々が居並ぶ。最初寝ているが竹本の紹介で順に目覚めるという忠臣蔵大序風。上手に木琴、鉄琴、ドラムなど。争いで人間界が滅びそうだという噂話。本花道から太陽神、仮花道から帝釈天。太陽神と帝釈天がそれぞれクンティ姫に子供を宿らせそれぞれのやり方で滅亡回避させようという話になる。回って、

ガンジス河畔。若いときのクンティ姫(吹き輪のお姫さま)がフラフラ出てきて太陽神に出くわし無理やり子供を授かる。別に妊娠するわけではなく子供を掴まされる。面倒くさいのでクンティ姫は子供をガンジス川に流す。回って、

御者アディラタ内。仕出しが暴れ馬を抑えようとしている。帰ってきたカルナが弓で暴れ馬をおとなしくさせる。太陽神からさとされカルナは家を出て修行の旅に出る。

都。クンティ姫がいきなり時蔵になっている。クンティ姫とクリシュナの前で五兄弟が白浪五人男風名乗り。ユリシュナは生締、ピーマは俣野五郎風の前髪、アルジュラは燕手、ナクラとサハデバは振り分けの前髪、皆抱き柏の紋をつける。ツルヨーダとドフシャサナが来て王権を返せと迫る。じゃ武芸大会で決着ということになる。ツルヨーダとドウフシュサナ両花道に分かれて入る。回って、

カルナは修験者ハルカバンに弟子入りして1年。ハルカバンの代わりにくもにかまれて我慢しているところをハルカバンに見とがめられ、戦士の家の出であることがばれてしまう。王家の出だと言ってたの嘘ついてたのね、ってことで破門、敵を押しとどめるマントラも一番使いたときには使えなくする呪いもかけられてしまう。追い出されて道すがら誤って牛を殺してしまい、また呪いをかけられる。くじけていると太陽神が現れカルナが自身の子であることを告げ、アルジュラが帝釈天の子でそいつがお前の宿敵ね、と教える。

都では武芸大会が開かれておりカルナも予選に参加しようとする。クンティ姫はカルナが自身の子だと気づく。カルナをてなずけようと考えるが、帝釈天が現れカルナはお前を恨んでるから無理だから力で屈服させろと告げる。

アルジュラとカルナの弓の試合になる。試合の前にカルナの身分が問題にされるが、カルナを身内に引き込みたいツルヨーダがこの若者はたった今、アンナ国の王になったとごり押しして試合を開始させる。カルナは王にしてもらった礼に永遠の友情を誓わされる。試合は決着がつかず、カルナはこのまま続けるのは無駄だからやめようといって天に祈るとくもが晴れて太陽の光が差し込む。アディラタがしゃしゃり出てきてカルナは耳輪をつけて川を流れてきたこと、神のお告げで夜を救うものであることを話す。アルジュラが怪しんでカルナを殺そうとするとクンティ姫が具合悪くなって、その場はそれまでとなる。ツルヨーダはカルナを取り込む。

ツルヨーダは祭りにことよせてアルジュラ達五王子を離宮に招く。だまし討ちで火攻めにする。幕。

歌で幕開く。ドルハタ王がアルジュラ達が死んだので娘のドルハタビの新しい婿を決めるためのクイズ大会を開こうとしている。参加者は仮面をつけている。二番目の回答者が実はアルジュラで、燃え落ちる館からネズミの導きで逃げたと語る。そうとわかればクイズ大会は無用なので皆帰ろうとするところ、アルジュラがツルヨーダとカルナが参加していることを見とがめ、だまし討ちの犯人だと告発する。一触即発の事態となるがカルナがおさめる。じゃ婚礼ね、ってことで、みな入るが、カルナ残る。帝釈天が出てカルナにクンティ姫は生まれたばかりのカルナを川に流したことを告げ、アルジュラ達との戦いをけしかける。カルナは悩んでしまう。ツルヨーダとドウフシュサナが出て、あいつらぶっ殺さねえとこっちがやられるから早くやっちまおうともちかける。カルナはなんとか殺し合いをしないよう求める。じゃあ、ユリシュラは賭博に目がなくて、ドウフシュサナはいかさまサイコロの名人だから、サイコロとばくでみぐるみはいでしまおうという相談になる。カルナは戦力だけ取り上げるよう進言する。回って

婚礼の場。婚礼の祝いにとサイコロ賭博を持ちかける。ユリシュラすぐ乗ってきて負け続け、王国、兄弟、ドルハタビまで取り上げられる。クリシュナがツルヨーダにあんまりだからいい加減にしろと言ってくる。そんじゃあ、五兄弟は12年間放浪、あと1年は身元が分からないよう暮らせということで手を打つ。

ジャングルの場。下手に長唄、上手に竹本。羅刹女のシキンビが放浪中のピーマに惚れる。羅刹のシキンバがとがめてピーマを殺そうとするが、シキンビの助太刀でシキンバは殺される。ピーマはシキンビとの間に子をもうけるが、シキンビは森から出られないので子供は置いてく。回って、

修行僧に化けた帝釈天がカルナに耳輪を求める。カルナはやる。代わりに一度だけ使える最強兵器をくれる。幕。

14年がたち五兄弟たちが勢いを盛り返し、ツルヨーダ側は悪行がたたって民意が離れ形勢不利である。ドウフシュサナは先制攻撃を進言するがツルヨーダはカルナを待ち攻撃の決断をしない。カルナとアルジュラが対面し戦闘開始となるが、クリシュナがしゃしゃり出て覚えきれないくらいの戦闘のルールを決める。アルジュラは戦闘の意味について少し悩む。戦闘となりツルヨーダは先にやられ、カルナは奮闘するが呪いのせいで肝心なところで最強兵器も使えず結局アルジュラにやられる。遺体はガンジスに流すことにする。アルジュラは兄弟としてカルナの死を悼む。

神々の場となり、ユリシュラが王になって平和になったと那羅延天が述べる。帝釈天は反省する。那羅延天はユリシュラたちを輪廻から救うことにする。人間界は滅ぼすには惜しいということになる。

 

今回配役は

尾上菊之助(カルナ、シヴァ神)、中村芝のぶ(ツルヨーダ王女)、坂東彦三郎(帝釈天)、坂東亀蔵(ユリシュラ王子)、中村隼人(アルジュラ王子、梵天)、中村鷹之資(ナクラ王子)、尾上丑之助(我斗風鬼写、ガネーシャ)、市川猿弥(ドウフシュサナ王子)、河原崎権十郎(アデイラタ)、市川團蔵(多聞天)、坂東楽善(大黒天)、坂東彌十郎(太陽神)、尾上菊五郎(那羅延天)、中村錦之助(クリシュナ)ら。

 

ドルハタビ王女の婿を決めるのがクイズ大会ではなくてダンス大会になった。