令和4年1月歌舞伎座第1部 一條大蔵譚 | 癸の歌舞伎ブログ

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令和4年1月歌舞伎座第1部 一條大蔵譚

 

一條大蔵譚 イチジョウオオクラモノガタリ

 

当ブログの過去記事より

 

一條大蔵譚 イチジョウオオクラモノガタリ

文耕堂、長谷川千四作 

鬼一法眼三略巻(キイチホウゲンサンリャクノマキ)の四段目にあたる。今回上演の部分は通称檜垣、奥殿(ヒガキ、オクデン)と言われている。檜垣と奥殿との間には曲舞という場があるが余り上演されない。戦後6回のみ。

鬼一法眼三略巻では他に菊畑が歌舞伎で好んで上演される。現行の文楽ではその菊畑のほか書写山、清盛館、五條橋しか上演されず、一條大蔵譚の件の上演は途絶えている。その現行上演ですら明治以降六十年以上上演が途絶えていたところ昭和四十年代に復活したもので、まことに鬼一法眼三略巻は歌舞伎狂言として命脈を保っているといってよい。

 

要するに、作り阿呆というのは人形には向いていない。

 

今回配役は

中村勘九郎(一條大蔵長成)、中村獅童(吉岡鬼次郎)、中村七之助(お京)、中村扇雀(常盤御前)ら。

 

檜垣

所作舞台。中の舞合方で幕開く。仕丁四人の噂話。床几は二つ並べてある。仕丁ら入ると、向こうより吉岡鬼次郎、深編笠、お京、三度笠を持ち出る。茶屋主人入ると、密談になるが、別々の床几に座ってでかい声張り上げる。

大蔵卿出てお京に舞わせて見とれるうち床几から前に落ちる。向こうへ入る途中、大蔵卿七三で虫を追うしぐさ。お京も七三でこなしあって入る。返し幕。

 

奥殿

網代塀の前に枝折り戸。吉岡がんどう持って出る。お京中へ引き入れる。

いどころがわりで奥殿。高二重。奉書雲。御簾が上がって常盤御前が出ると、吉岡がうち打擲。「あっぱれ、忠臣」で常盤御前が的に箱を投げると黒布が落ちて矢が刺さった清盛の絵姿現れる。注進しようとする勘解由と吉岡が立ち回りになり御簾のうちから薙刀が出て勘解由致命傷。大蔵卿引き抜いてぶっ返すと、鳴瀬自害。大蔵卿、短冊を頼朝、義経にと吉岡に贈る。また源氏の白旗も贈る。ついでに友切丸も贈る。なんでそんな物持っているんだと思うが、やたらと贈り物が多い。原作浄瑠璃では刀を与えるだけである。それも友切丸とは言ってない。勘解由の首を打ち落として、吉岡に清盛もこの通りにせよ、と命じる。これも原作にはない。