食は地域の文化なり。 | 無縁(むえん)の縁(ふち)から

無縁(むえん)の縁(ふち)から

老いた母と暮らす夫なし・子なしのフリーランスライター。「真っ当なアウトサイダー」は年を重ねる毎に生きづらくなるばかり。自身の避難所(アジール)になるよう、日々のつぶやきを掲載します。とはいえ、基本「サザエさん」なので面白おかしく綴ります。たまに毒舌あり。

関西という地域は京都に長い間都があったせいか、今だに「畿内」=天子さまが住まわれる周辺という意味、という意識があるように思う。

とりわけ大阪は「食い倒れのまち」と呼ばれるように食文化については自負心が強烈に強く、こと、食については大阪がナンバーワンと思っている人が多いのではないだろうか。

確かに、今の日本料理の原点となったのは大阪の料理であるし、関西圏を含めれば酒処の灘・伏見や、日本の醤油発祥の地とされる和歌山の湯浅、薄口醤油の発祥地・兵庫県龍野があり、佃煮の発祥地である佃村(現大阪市西淀川区)があったり。大阪は江戸時代日本全国の物産の集積地であったことから、その食文化は質・量ともに素晴らしいことは間違いはないが、食文化はまさしく「地域の文化」であって、歴史と共に育まれた素晴らしい食文化がその地域ごとにある。そのことを先日、この方に教えていただいた。

 

長田勇久(おさだ はやひさ)さん。

愛知県碧南市の日本料理「一灯」のご店主。

https://kobanten.jp/ittou/

 

恥ずかしながら長田さんに話をお聞きするまでは、愛知の味と言えば、大阪の堂島地下センターにあった味噌煮込みうどんのお店「あまの」ぐらいしか知らなかった。ここの味噌煮込みうどんは美味しかったが、2000年に入るころにはもう店はなくなってしまった。

 

さて、愛知県にはクワガタの角のように2つ半島がある。西側が知多半島で東側が渥美半島。碧南市は知多半島の東側の対岸に位置する。

長田さんに教えていただいて初めて知ったのだが、碧南市は醸造が盛んで、醤油蔵が6つ、味醂蔵が4つ、味噌蔵が1つ、酒蔵が2つある(碧南市観光協会HPより)。

碧南市のある南三河地方は江戸時代、米造りが盛んであったことから灘・伏見に並ぶほどの酒処で、酒造りの際生まれる酒粕から酢や味醂が作られるようになったという。ちなみに碧南市の対岸にある半田市にあるのがお酢で知られるミツカンだ。愛知と言えば八丁味噌だが、酒が造られるもっと前、350年以上前から作られている。また、白醤油やたまり醤油など個性豊かな醤油も作られていて、その多様性と面白さに驚いた。…単に私が知らなかっただけなのだが。

 

その長田さんが教えてくださったのが、今阪神百貨店で開催中の「第2回 木桶による発酵文化サミットin阪神」。

https://web.hh-online.jp/hanshin/contents/str/20230510.html

 

 

醤油や味噌、酢など発酵食品を仕込む大樽を作る職人さんが少なくなる中、それじゃあ木桶を作る技術を蔵元が継承して、木桶を作るところから始めよう。その活動を全国の蔵元に広げようという非常に面白い活動だ。

 

こんな面白いイベントがあるよ、と長田さんが教えてくださり、それまではオンラインでしかお会いできていなかった長田さんに初めてお会いした。

本当に素敵な方。お人柄のよさが全身から滲み出ている。

 

このイベント、来週月曜日まで阪神百貨店で行われている。

全国各地の様々なお醤油やお酢、ポン酢、ソースなどが出店しているので、是非足を運んでいただきたい。私も先日買いそびれた「鳥居ソース」を買いに行こうと思っている。

 

https://www.torii-sauce.jp/