一方通行は珈琲の味、銘柄を気に入り、買い漁る事に決めた。が、問題が起きた。
最近の自販機はマネーガードが使える物が多い。
だが、この自販機は公園にあり、小学生が殆ど利用する為マネー機能がない。
小銭を使えばいいと思うだろうが、現在の財布の中に小銭がない。
お札も福沢さんと樋口さんしか居ない。
買い漁ったとしても今度は袋が無く、三、四本位しか購入は不可。
チッと舌打ちをし、自販機から離れ公園から歩道に踏み出す。
いや、踏み出そうとした。
パシッと杖を突いていない左手を捕まれたからである。
驚き、後ろを振り返る。
手を握っているのは柵川中の制服を着た、ベンチの隣に座って来た少女だった。
少女は細い唇を歪め
「今度は腕、折らなかったですね。友達になりましょうよ。いえ、それ以上の関係に。」
優しい、優しい声。その声は何処か夢の少女に似ている。
「お前は……誰だ?あン時の。俺がガキの頃……」
人差し指で一方通行を静する。
「あたしは佐天涙子って言います。level0の無能力者でーす。」
ふざけた、明るい口調で言い。
「貴方の名前は?」
「……一方通行、能力名だが全員これで呼ぶ」
「一方通行さんお久しぶりです!」
敬礼をしながら微笑む佐天と夢の少女の顔が一致した。