能登半島地震でテレビ・ラジオの放送が停止さる | VBCテレビブログ放送

能登半島地震でテレビ・ラジオの放送が停止さる

元日早々の石川県内で最大震度7の揺れを観測した地震の影響で、石川県輪島市の一部地域で、石川県内の民放4社とNHKの放送が停止しました。

総務省によると中継局の送信機が破損した所や、中継局などへの燃料補給が地震による道路の通行止め等で行えず、非常用バッテリーが枯渇したところがあったという。

1月4日午後4時時点での影響世帯数が、テレビでNHKが約700世帯、ITC石川テレビ放送(フジテレビ系)・KTKテレビ金沢(日本テレビ系)・HAB北陸朝日放送(テレビ朝日系)の3局で約730世帯、MRO北陸放送(TBS系)で約2,130世帯に及び、ラジオではNHKで約700世帯(FM)、MRO北陸放送で約1万4千世帯(AM)と、FM補完放送で約6千世帯に及んだとか。

全市の多くの世帯では家屋の崩壊でテレビ・ラジオどころではなかったものとは思われる一方、特にラジオについては災害発生時には極めて重要な情報源と言われ続けられている媒体でもあるだけに、有事の際に使い物にならないでは済みません。

テレビ・ラジオの中継局の多くはより電波を遠くへ幅広く飛ばすという意味合いからか高台に設置されているものですが、巨大地震の際には土砂崩れ等で脆さをも露呈する形となってしまいました。ただ、これについては電話やインターネットも同様です。

輪島市の様な規模の大きくない地方都市の中継局だと、出力もあまり大きくないイコール予備バッテリーの容量もあまり大きくないであろうことから、復旧が遅れるとエラい事態に陥ってしまうのでしょうが、ラジオは近い将来『中継局維持費が安くて済む』FM波への転換が計画されております。

FM波は当局が散々指摘してきている通り音質は良いものの電波が遠く迄飛ばず、『人が通っただけで』雑音が生じる程、大変脆い存在です。当局自宅内では、地元のFM局も雑音が顕著で更に電波の弱い(地元密着の)コミュニティーFMは殆ど聴こえません。

『災害時に強い』とも言われるコミュニティーFMですが、簡単に設置出来る反面、聴こえる範囲が極めて限られます。『安かろう悪かろう』とは、まさにこの事でしょう。

輪島中継局よりは幾分電波の強い金沢市の"親局"の受信で辛うじてラジオ等から情報収集出来た被災者も存在していたかもしれませんが、今回の災害で改めて電波の弱いFM波への転換の不安感が一層強くなりました。

石川県の様な地震多発地域にして、山あいがちな地形だと中継局の維持管理はよりハードルが高くなりますが、地元行政等とも連携させつつ地域事情に見合った放送事業の展開を心掛けていかないと有事の際に役に立たない存在として見下ろされかねず、当然イコール『更なるテレビ・ラジオ離れ』にも直結する事態になりかねません。

一部の方は『落ち目の既存のメディアの維持管理に力を注ぐよりも、災害時でも安定したネット接続の維持管理に力を注ぐべきだ』等といった意見も散見されましたが、ネットが大災害時に脆い存在であるのはこれまでの大災害でも十分証明されてきたのではないでしょうか?

ネットは誰でも気軽に情報発信出来る利点が有る反面、デマも多い。有事の際にはネットから発せられた情報の信憑性が問われる前に情報だけが一人歩きしてしまい、被害が拡大しかねない事態に陥る恐れも否めません。また、ネット接続機能を有する各種モバイル機器はラジオ程、長時間の使用に耐えうる程のバッテリー能力がありません。ラジオならば、乾電池2本で数十時間使用可能な機種もあります。

自然災害が多発化しつつある我が国において、テレビ・ラジオといった既存のメディアはむしろ益々重要性を帯びてくると思います。


各種催し物やハコモノ事業に莫大な公金を投じるのであれば、ラジオについては今からでも遅くはないのでFM転換よりもAM波の維持・管理に再度力を入れるべきだと思います。






もともとMROラジオでは、'24年4月1日からAM波の輪島・七尾(AM1107kHz)・山中(AM1485kHz)中継局の運用が休止予定だったという・・・。/Copyright(c) MRO All rights reserved.