テレビ朝日、平成新局再編を画策? | VBCテレビブログ放送

テレビ朝日、平成新局再編を画策?

総務省では'21年秋に有識者会議を設置し、'22年8月に経営状態が芳しくない地上波民放局に向けた各種政策の抜本的見直しを提言。

(1)認定放送持株会社の傘下の放送局の地域制限(現行12都道府県)を撤廃
(2)一定数まで異なる放送エリアの放送局を兼営出来る様にする
(3)複数の放送エリアで同一番組を放送出来る様にする

等々。(1)についてはフジテレビ等が要求していた事項で、例えばフジ・メディア・ホールディングスの認定放送持株会社の下で全国のFNS系列ローカル局の一体的経営を行えるようにするというもの。系列といえどもローカル局は独立した経営体でも、認定放送持株会社の傘下に入れば、事実上、NHKの様に1つの経営体が全国展開の放送網を運用する形が可能になりますが、これだと民放局数の少ない地域のフジテレビ系列局で、おいそれと他局系列の番組編成がし辛くなる懸念が生じると思います。

(2)では、これまでにも"特例"で放送エリアが隣接するローカル局の兼営は認められていたものの、手続きが煩雑で使い勝手が悪く活用されずにいたのを改善し、隣接していなくても兼営を可能にするもので、例えば福岡県のローカル局が鹿児島のローカル局と経営統合する事等が可能になり地方局にとっては視聴エリア拡大の期待が生じますが、そこまで体力のある地方局はそれ程多く無いであろうことから、非現実的かもしれません。

更に例えれば、新潟県のローカルコマーシャルを石川県で流してもあまり効果は期待出来ないでしょう?

(3)については、平成新局が多いテレビ朝日等が主張していた項目で、放送免許の対象エリアは現状の県域のままで、面倒な手続き無しに放送番組を異なる放送エリアで放映できるようにしようというもの。放送対象地域の拡大であり、例えば、岩手、宮城、福島の3県のローカル局が同じ番組を流せることになるというもの。

こちらもまた、既に"ブロックネット番組"が放送されておりあまり効果が期待出来ない側面も感じられますが、平成新局を多く抱えるテレビ朝日が早速、東北地方の系列ローカル局の集約に乗り出したという。

認定放送持株会社の傘下に組み込むか、東北ブロック全体を放送エリアとする広域放送会社に移行するか、北東北三局(青森・岩手・秋田)だけの経営統合を図るか、さまざまなプランが検討されているようで、九州地方でも同様の動きがみられるという。

北東北3県のABA青森朝日放送・IAT岩手朝日テレビ・AAB秋田朝日放送は、長引く不況で広告収入もかなり厳しいことから、何時統廃合されてもおかしくないのかもしれませんね・・・九州地区の平成新局のNCC長崎文化放送・KAB熊本朝日放送・OAB大分朝日放送もしかりですが、これらの局のみならずローカルセールス枠の他局系列の番組編成で微妙に温度差があるので、その調整が一難儀しそうです。

特にABA青森朝日放送では青森県に無いフジテレビ系の番組編成に積極的ですが、隣県の岩手県と秋田県にはフジテレビ系列局があるので仮にABA青森朝日放送・IAT岩手朝日テレビ・AAB秋田朝日放送の3局が統廃合となると、青森県でフジテレビ系の番組数が減ってしまうという難点が生じる恐れがあり、フジテレビ側も黙っていられない問題になると思います。


簡単に統廃合と言っても、地域によって放送文化も違うし株主や他の民放局との調整もあり、そう簡単にはいかないでしょう。総務省には、地域の放送事情を十二分に汲んだ施策が求められます。






ABA青森朝日放送では、隣県の岩手県・秋田県で未ネットのフジテレビ系の番組が時差ネット編成されていることも。(写真は「有吉くんの正直さんぽ」)/(C)Fuji Television Network, Inc.