プレイバック平成~フジテレビ・テレビ朝日・テレビ東京 | VBCテレビブログ放送

プレイバック平成~フジテレビ・テレビ朝日・テレビ東京

平成も残すところあと2日のみ・・・今回も、平成のテレビ界をサラッとプレイバック!

【フジテレビ系】
平成を総括して、フジテレビほど天国と地獄を一緒に経験した局は無いかもしれません。"天国"としては平成初期~中盤まで、若者文化の発信拠点的なカリスマ的存在としてその一挙手一投足がティーン層の耳目を牛耳っていた点・・・。

かつて『きっかけはフジテレビ』なるコピーがありましたが、その名に恥じぬ『きっかけ』の数々がフジテレビから発信されていきました。若者文化をソックリそのまま象徴していたトレンドドラマ、流行に則ったバラエティー番組の台頭、女性アナウンサーのアイドル化・・・打つ手打つ手がことごとく流行るさまは圧巻ですらありました。

テレビ業界の"渋谷センター街"的な存在だった局は、やがて慢心を生み『ウサギとカメ』の童話よろしく頂点から一挙に転落していったのが平成終盤でした。

長年に渡る好調さの陰では良質な人材が矢継ぎ早に流出し続け、気が付いた時にはもはや取り返しが付かない事態にまで悪化していました。長年、視聴率三冠王の地位が不動のものであった局も、平成終盤には"視聴率番外地"だったテレビ東京にすら追い抜かれて、民放最下位ということも・・・。一旦、堕ちると早いものです。

フジテレビの低迷ぶりは今も尚続いていますが、テレビそのものを取り巻く環境も変化しつつある今、トレンド文化の情報発信拠点的存在でもあったフジテレビもまた、新たな戦略が求められつつあるものの、そういった事を手掛けられる人材が育っていないのは深刻な問題だと思います。

かつてUHF局開局ラッシュ時に地方系列局を増やしたフジテレビは、平成初期にYTS山形テレビの造反(テレビ朝日系列局へネットチェンジ)というショッキングなニュースに見舞われたものの、その山形県には再び新規系列局を開局させましたがその局名はSAYさくらんぼテレビ、岩手県にはmit岩手めんこいテレビ、高知県にはKSS高知さんさんテレビと、ユニークな局名の系列局を開局させていったのも印象的でした。"こういったセンス"もまた、他局にはマネの出来ないフジテレビイズムが炸裂していたと思います。

【テレビ朝日系】
平成時代を総括すると、在京民放局の中では最も活気に溢れた民放局だったのではないでしょうか。

平成初期には『親方朝日新聞』の下で、『報道のテレ朝』のステーションイメージを強化すべく新規系列局を矢継ぎ早に開局させていきました。長らく他の在京キー局に比べてネットワーク網が弱かった局でしたが、平成初期に系列局を一挙に増やしたのは大変印象的でした。

当地(秋田県)にもAAB秋田朝日放送が平成4年秋に開局し、この時の感動と興奮は今でも忘れられません。

ただ、本業のテレビ番組としては平成中盤以降『年中お正月気分』な特番編成が常態化してしまい、落ち着いた編成が失われつつあるのは大変残念です。その甲斐あっての高視聴率化なのかもしれませんが、フジテレビの凋落ぶりからくる消去法的な高視聴率というのもあったのかと。

平成中盤以降、バラエティー番組はクイズ・旅モノ、ドラマとアニメは長年に渡るシリーズモノが目立ちやや新鮮味に乏しい感も抱きますが、平成全体を振り返ると「はぐれ刑事純情派」・「相棒」・「クレヨンしんちゃん」・「美少女戦士セーラームーン」をはじめ、今尚語り継がれる名物番組を多数輩出した局でもあり、ある意味在京キー局の中では最も"潰しの利く"番組の輩出があった局だったのかもしれません。

【テレビ東京系】
在京キー局ではフルネット局が僅か6局足らず・・・平成初期のバブル経済最盛期でも、新規系列局の開局は北海道と北九州地区に1局ずつ開局させただけで早々にネットワーク網完結を宣言・・・と、徹底した合理化を前面に押し出したのも特徴的でした。

長らく"視聴率番外地"呼ばわりされた局で、他局とは一線を画した編成や番組制作姿勢が高評価も、平成末期は視聴率を意識するようになり、次第に『らしさ』が損なわれつつあるのは残念です。

平成全体を振り返ると、得意のアニメに更に磨きが掛かりましたが、その中でも「新世紀エヴァンゲリオン」の大ヒットは社会現象ともなりましたが良くも悪くも後のアニメの放送・編成姿勢を決定づけたきらいも感じられました。確かに大人気を博したもののアニメそのものが"ヲタク向け"のコンテンツという印象が強くなってしまい、特定の視聴者には絶大な支持を受けた反面、アニメにあまり関心の無い視聴者には『何の事やらサッパリ分からない!』という極端な評価になってしまったのは賛否両論となりましょう。

昭和期における似た様な社会現象にまで発展したマニアックなアニメ・・・例えば「宇宙戦艦ヤマト」等は多少アニメに疎くても『何となく知っている』という評価でしたが、「新世紀エヴァンゲリオン」以降のアニメは『特定の視聴者のみ拍手喝采』という作品が多くなってしまい、結果的に少子高齢化著しい地方の放送局の"アニメ離れ"を引き起こしてしまった感は否めませんでした。

『テレビ東京のバラエティー・ドラマは積極的に編成するけどアニメはちょっと・・・』という地方局が多くなってしまったのは、その最たる例です。よっぽどスポンサーでも付けば話は別ですが、地方程不景気著しい今、視聴者層が偏ってしまうマニアックなアニメを積極的に編成する流れは疎遠になりつつあるのが現状です。

情報化社会と叫ばれて久しい今、他局に比べて系列局が極端に少ないのは今後、大きなネックになってくる恐れも否めません。今後何処まで"独自路線"を推し進められるか?も見ものでしょうね。