ネット同時配信をすべきか? | VBCテレビブログ放送

ネット同時配信をすべきか?

週刊現代(講談社・刊)2月10日号にて、電通総研カウンセル兼フェロー・有園雄一氏が『テレビ局はコンテンツの多チャンネル化、ネット同時配信をやるべきです。BBCラジオが多チャンネル戦略とネットの拡散施策を実施したところ、過去のメディアとされていたラジオが息を吹き返し過去最高のリスナーをたたき出した例があります』と主張されていました。

媒体とお国柄がまるで違うので一緒くたに並べ立てることは出来ませんが、この中で特に引っ掛かったのが『テレビのネット同時配信』です。

近年、様々な議論が出ている"テレビのネット同時配信"ですが、これはどうなのでしょうか?権利の都合もあり"全て"の番組ではないものの、既にほうぼうの局では主要番組の多くがネット配信されています。

確かに国民の6割以上が所有していると言われているスマートフォン等で、テレビ番組が気軽に見られれば落ち目気味なテレビの再活性化に繋がると踏んでいるのかもしれませんが、テレビがここまで落ち目になってしまったのは単純にYouTube等のネット動画の台頭とかよりも、テレビがただ単にツマらなくなったからなのではないでしょうか?

自主規制一辺倒の今のテレビ・・・皆様も『昔よりも面白くなったゾ!』と思えるでしょうか?当局もそれ程多く昔のテレビ番組をリアルタイムで見てきた訳ではないものの、スカパー!等でのリピート放送やDVD等で見てきた昔のテレビ番組は今のテレビ番組よりも、ずっとずっと面白く感じました。『ワクワク感』を抱けたと言いますか・・・。残念ながら、今のテレビ番組には『ワクワク感』を感じません。

そうなると、YouTube等で自分が見たいと思う動画を延々と見ていた方が有意義なひと時を過ごせますよね。当局なぞ、DVD化もされなければリピート放送の可能性もまず皆無な"子供の頃に見ていたニュース番組"のオープニング動画を見てノスタルジィに浸って泣くこともあります。

確実にネット放送の時代にシフトしつつあるのも痛感させられますし、"ネット同時配信"論が現実味を帯びてきているのは言うまでもないのでしょうが、本当にこの流れで良いのでしょうか。

"このまま"進むと、IT企業は儲かるでしょうね。動画配信に長けたネット接続環境サービスを提供出来れば消費者側の要求にも応えうるし、それはイコール通信業界の経済活性化の一助にはなるでしょう。スマートフォン等の対応機器も売れるでしょう。

ただ、IT企業"だけ"なのでは?儲かるのって。まず、高価格のテレビ受像機・録画機が売れなくなります。何時でも何処でも手軽にネットテレビが見られる様になると、値段の高い大型テレビを買う必要性は薄れてきます。

録画機もしかりで、ネットで指先1つで手軽に見たいテレビが見られれば録画機を買う必要は無いでしょう。既に国内の大手家電メーカーは、テレビや録画機の製造・販売から撤退しつつあります。

国や家電メーカーでは必死になって4K・8Kテレビの売り込みに躍起になっていますが、肝心要のソフト(番組)開発が追いついておらず、これでは売れるモノも売れません。このままでは3Dテレビの二の舞になりかねません。

ネット同時配信がまかり通ると、地方局の存在意義が無くなります。ネット放送は原則"全国一律"放送なので、地方局なんか要らなくなりますよね・・・。しかし地方程"ネットの取り扱いに疎い"高齢者層が多いので、将来的にネット放送に一本化してしまうと地方在住のネットに疎い視聴者が疎外されかねません。

地方局側も、生き残りの為にネット放送参入の可能性も無くは無いもののそもそもそこまでの展開が出来る程、体力のある地方局もそうそう無いでしょう。過疎化が激しく地元経済の低迷ぶりが顕著な地方の放送局は、生き残れない場合も否定出来ないと思います。

良くない流れだとは思いますけどね・・・。同じ"同時配信"ならネットよりもBS・CS波を活かした方がテレビや録画機も売れるし、場合によってはCATV加入率にも弾みが付くのでは?

ネット放送ばかりもてはやされると、IT企業しか儲からないと思うんですよね。しかも一時の潤いだけで終わりかねないと。現にスマートフォンもここにきて飽和状態にあるのか、普及率も伸び悩み気味だとか。

テレビが生き残っていくには、安易にネット放送に逃げたり上っ面だけの新規格をゴリ推しするのではなく、"テレビでしか楽しめない"コンテンツの開発を目指すとか、隣接しあう地方局同士を統合する等の改革を地道に進めていく姿勢が求められるのではないでしょうか。


当局としては、"ネット同時配信"は反対!どうしても・・・ならBS・CS波を活かして欲しいと思います。






過去にもスマートフォン向けのネット放送・nottvなる放送サービスがありましたが、こちらは早々にコケてしまいました・・・。/(C) NTT DOCOMO, INC. All Rights Reserved.