ジャン・ギャバン マレシャルの命をフィルムに燃やした人 | 俺の命はウルトラ・アイ

ジャン・ギャバン マレシャルの命をフィルムに燃やした人


 

J D

 ジャン・ギャバン

 Jean Gabin

 

 本名 Jean-Alexis Moncorgé

 

   1904年5月17日生まれ。

  1976年11月15日死去。

 

 

 

 

 ジャン・ギャバンは男の情熱を深い演技で

伝えてくれた。

 

 

『大いなる幻影』

LA GRANDE ILLUSION

映画 トーキー 114分 白黒

1937年6月8日 フランス公開(6月4日・9日公開説あり)

昭和二十四年(1949年)五月二十一日日本公開

昭和五十一年(1976年)十月二十三日岩波ホール

にて完全版日本公開

製作国  フランス

製作    RAC

製作主任 レイモン・ブロンディー

製作進行 ピエール・ブロンディー

ロケ現場の製作進行 バルナタン

セットの主任 ロベール・リブス

脚本・台詞 シャルル・スパーク

        ジャン・ルノワール

助監督   ジャック・ベッケル

記録    フランソワーズ・ジルー

技術顧問 カール・コッホ

装置    ユジェーヌ・ルリエ

小道具  アレクサンドル

       レイモン・ピヨン

着付け  シュジ―

衣裳   ドクレ

メイク  ラファエル

撮影  クリスチャン・マトラス 

     クロード・ルノワール

撮影助手 エルネスト・ブロー

       ジャン・セルジェ・ブルゴワン

録音    ジョゼフ・ド・ブルターニュ

スチール サム・レヴィン

編集   マルグリット・ルノワール

編集助手 マルト・ユゲ

音楽  ジョゼフ・コスマ

     『フルフル』 Frou-Frou

    ヴァンサン・テリーとA・ヴァルシアンの

     シャンソン『マルグリットよ、お前が望むなら』

     Il était un petit navire『小さな御舟があったとさ』

 

 

出演

 

ジャン・ギャバン(マレシャル中尉)

 

ディタ・パルロ(エルザ)

 

ピエール・フレネー(ド・ボアルデュー大尉)

 

エリッヒ・フォン・シュトロハイム(フォン・ラウフンシュタイン)

 

ジュリアン・カレット(俳優カルティエ)

ガストン・モドー(技師)

ジャン・ダステ(教師)

 

ジョルジュ・ぺクレ(錠前屋)

ジャック・ベッケル(イギリス人将校)

シルヴァン・イトキーヌ(ドモルデール)

ヴェルネール・フロリアン

アビ・ベングリア(セネガル人)

 

クロードサンヴァル

ミシェル・サリナ

カール・コッホ

ジョルジュ・フロンヴァル(ド・ボアルデューを撃とうとする軍人)

リトル・ピータース(ロッテ)

 

 

マルセル・ダリオ(ローゼンタール)

 

 

監督 ジャン・ルノワール

 

 

平成五年(1993年)一月三十一日スペースベンゲットにて鑑賞

平成十三年(2001年)四月二十八日シアター1200(後の京都劇

場)にて完全版鑑賞

平成二十九年(2017年)十二月十七日PLANET+1にて不完全版

鑑賞

平成三十年(2018年)四月二十一日シネ・リーブル梅田3にてデ

ジタルリマスター完全版を鑑賞

 

画像出典 『大いなる幻影』DVD

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大いなる幻影(三十一)雪路を歩む

(結末まで言及しています。未見の方は

御注意下さい。)

 

 

 

 

 1914年から1918年の第一次世界大戦の

時代、所はフランス軍前線飛行隊酒保である。

 フランス軍中尉マレシャルはジョゼフィ

ーヌという女性を愛していた。仲間の飛行

機に乗せてもらって彼女のもとへ行こうと

したが新たな任務を命じられた。

 片眼鏡をかけている紳士のド・ボアルデ

ュー大尉は不審に思う場所の視察に行きた

いと述べた。マレシャルの操縦する飛行機

でド・ボアルデューはドイツ軍を窺う。

 しかし、ド・ボアルデューとマレシャル

を乗せた飛行機はドイツの名将フォン・ラ

ウフンシュタインにより撃墜されてしまう。

二人の命は助かるが、ドイツ軍の捕虜とな

った。

 

 

 ドイツ軍将校フォン・ラウフンシュタイン

は自身と同じ貴族階級出身のド・ボアルデュ

ーを尊敬する。

 

 

 マレシャル、ド・ボアルデューはハルバッ

ハ捕虜収容所に移されユダヤ人のローゼンタ

ールと出会い三人は絆を確かめ合う。

 

 

 三人は、フォン・ラウフンシュタインが司令

官を勤めるウィンテルスボーン収容所に移され

た。

 

 ラウフンシュタインは捕虜ド・ボアルデューを

友として接し篤き敬意を示す。

 マレシャル・ローゼンタールが脱獄に情熱を燃

やしていることを知るド・ボアルデューは自身が

収容所に残りドイツ軍人の注意を引くからその

隙を突いて逃げるようにと作戦を立てた。

 

 ド・ボアルデューを命の危機に晒す計画にマレ

シャル・ローゼンタールは迷う。

 

 

 収容所捕虜フランス軍の兵士達は『小さな御

舟があった』のメロディを笛の大合唱で奏でる。

ドイツ軍看守は笛を捕虜たちから取り上げる。騒

ぎの隙にマレシャル・ローゼンタールは、要塞

のようなウィンテルスボーン収容所からロープで

脱走する。

 

 

 友ボアルデューが捨身の決意で為してくれて

いる行動に感謝して、マレシャル・ローゼンタ

ールは収容所窓から垂らしたロープを頼りに地

上に出て逃げる。

 

 逃走の道程で女性エルザ・ロッテ親子と出会い、

マレシャルは平和の尊さを学ぶ。

 

 ジャン・ルノワール監督は、マレシャルが戦争の

平和に生きる存在となる道を描いた。

 ナチスドイツの権力が強大になり、映画で世界大

戦を止めたいと願った。

 

 現実には世界大戦を止めれなかった。

 

 

 

 『大いなる幻影』完全版は1976年11月岩波ホー

ルにおいて公開された。

 

 この映画の公開中の15日に主人公マレシャルを

深く演じたジャン・ギャバンが死去した。

 

 高野悦子はこの時の悲しみを綴っている。

 

 

 オーソン・ウェルズは「後世に残す映画を一つ

選ぶならば、『大いなる幻影』だ」と確かめてい

る。

 

 

 

 

 

 

 工藤栄一は『光と影 映画監督工藤栄一』(イ

ンタビュアーダーティ工藤 平成十四年五月一日

発行 ワイズ出版)において「エリッヒ・フォン・

シュトロハイムが出演していた『大いなる幻影』

(’37ジャン・ルノワール)なんかよかったな(4

4頁)」と述べている。

 

 

 テオ・アンゲロプロスは1992年に来日し読売新

聞の取材に対して次のように語った。

 

  「ジャン・ルノワールは『大いなる幻影』の中で、

  『忘れちゃいけない、国境というものは人間が

  でっちあげたものだ』とジャン・ギャバンに言わ

  せているが、私もギリシアという国境を受け入

  れることを拒否したい。国境とは外的に存在す

  るものではなく、むしろ自分の内部に存在する

  ものではないのか」

 (1992年8月15日 読売新聞夕刊)

 

 

 

 平成二十六年(2014年)四月五日京都文化

博物館フィルムシアター特集「映画美術監督 

井川徳道の世界」における『序の舞』を鑑賞

した。

 上映後美術監督井川徳道のトークショーが

あった。

 

 井川徳道は「ジャン・ルノワール監督の『大

いなる幻影』。私、感激しました。」と熱く賛

辞を語った。

 

 

 

 

 映画公開から86年が経った。2024年5月17日

現在、薬害と戦争が地球に起こり命が奪われてい

る。今こそ『大いなる幻影』の教えに学ぶ時であ

る。

 

 

 マレシャル中尉は国境を人為のもとと確かめ

幻影かもしれない世界平和を願う。

 

 

 

 ジャン・ルノワールが世界大戦を止めたいと

願ってフィルムを撮った。

 

 主役マレシャルにジャン・ギャバンの命が燃

えた。

 

 

                   合掌