1900年 Novecento（十五）納屋の二少年
『1900年』
Novecento
映画 トーキー 316分 カラー
1976年5月21日 フランスカンヌ映画祭上映
昭和五十七年（1982年）十月二十三日
イタリア語版日本公開
製作国 イタリア
フランス
西ドイツ
アメリカ合衆国
製作言語 英語（オリジナル版）
イタリア語（イタリア語版）
製作会社 20世紀フォックス
ユナイテッド・アーティスツ
パラマウント映画
出演
ロバート・デ・ニーロ
（アルフレード・ベルリンギエリ 孫）
ジェラール・ドパルデュー（オルモ・ダルコ）
ドミニク・サンダ（アダ・ポーラン後にアダ・
ポーラン・ベルリンギエリ）
フランチェスカ・ベルティー二（デゾラータ尼）
ラウラ・ベッティ（レジーナ）
ヴェルナー・ブルーンス（オッタビオ・ベルリンギエリ）
ステファニア・カッシーニ（洗濯女ネーヴェ）
スターリング・ヘイドン（レオ・ダルコ）
アンナ・ヘンケル（アニタ 娘）
エレン・シュヴィールス（アメリア）
アリダ・ヴァリ（ピオッピ未亡人 イダ・カンタ・エリ）
ロモロ・ヴァリ（ジョバンニ・ベルリンギエリ）
パオロ・パヴェージ
（アルフレード・ベルリンギエリ 孫 少年時代）
ロベルト・マッカンティ（オルモ・ダルコ 少年時代）
ジャンカルロ・キエーザ（レオ二ダ少年）
アンナ・マリア・ゲラルディ（エレオノラ）
アントニオ・ビオヴァネッリ（トゥーロ）
パオロ・ブランコ（オルソ・ダルコ）
リュウ・ボジィジョ（ネラ・ダルコ）
デミズィオ・ルサルディ（モンタナ―ロ）
マリア・モンティ（ロジーナ）
ピエトロ・ロンガーニ・ポンゾーニ（ピオッピ）
アンゲロ・ペレグリーノ
ジョゼ・クアリオ（アヴァンズィーニ）
クララ・コルジーモ
マリオ・メニコーニ
カルロッタ・バリーリ（農民）
オドラルド・デアグリゴ
ピエロ・ヴィーダ
ヴィットリオ・ファンフォーニ
アレサンドロ・ボジーオ
セルジオ・セラフィーニ
パトリツィオ・デ・クララ
エダ・フェロナオ
ウィニ・リヴァ
ファビオ・ガリバ
ナザレオ・ナタレ
カテリーナ・コザック
カドローシャ・オナ・カローレ
フランセスコ・ダーダ
サルヴァトール・ムレデュ
ミモ・ポリ
ティジアナ・セナトーレ（レジーナ 少女時代）
ピッポ・カンパ二ーニ(神父ドン・タルキシオ）
ビアンカ・マグリアッカ
ギアコモ・リッツオ（リゴレット）
ステファニア・サンドレッリ（アニタ 母）
ドナルド・サザーランド
（アッティラ・メランキーレ）
バート・ランカスター
（アルフレード・ベルリンギエリ 祖父）
製作 アルベルド・グリマルディ
脚本 フランコ・アルカッリ
ジュゼッペ・ベルトルッチ
ベルナルド・ベルトルッチ
美術監督 エズィオ・フリゲリオ
装置 マリア・パオロ・マイオ
衣装 ジット・マグリーニ
メイクアップ ジャンネット・デ・ロッシ
大道具 ジャンニ・クアランタ
小道具 ジャンニ・シルヴェストリ
結髪 ヨーレ・チェッキーニ
録音 クラウディオ・マイネッリ
編集 フランコ・アルカッリ
スクリプト シュザンヌ・デュランベルジェ
助監督 ガブリエレ・ポルヴェロージ
クラーレ・ぺプローレ
ピーター・シェーファード
シュザンヌ・デュランベルジェ
撮影技師 エンリコ・ウメテッリ
音楽 エンニオ・モリコーネ
撮影監督 ヴィットリオ・ストラーロ
監督 ベルナルド・ベルトルッチ
☆
昭和六十年（1985年）六月二十九日
京都教育文化センターにてイタリア語版
鑑賞
平成五年（1993年）十一月十五日
朝日シネマにて英語版鑑賞
☆
性的問題のシーンについて言及します。ご了承
下さい。
☆
（引用画像再編しています）
1900年 Novecento（四） ベルリンギエリ家の喜び
（引用画像再編しています）
1900年 Novecento（十一） ベルリンギエリ家男三代
◎これまでの粗筋◎
ジュゼッペ・ぺリッツァ・ダ・ヴォルペード
が1901年に描いた絵画『第四身分（『第四階級』）
の男のアップから全体をワイドで映し、エンニオ・
モリコーネ作のテーマ曲『ROMANZO』が奏でられる。
1945年4月25日イタリア。解放の日に青年がファ
シストの残党に撃たれて致命傷を負う。
レジスタンスの少年レオニダは、闘志の青年オル
モ・ダルコを尊敬し、オルモの幼馴染の地主アルフ
レード・ベルリンギエリの邸に入って銃を向ける。
レオニダが尊敬するレジスタンスオルモはアルフ
レードにとって同じ生年月日に生まれた友であった。
1901年道化のリゴレットがジュゼッペ・ヴェル
ディの死を悲しむ。
農家ダルコ家に赤ん坊が生まれ、オルモと名付け
られる。
ベルリンギエリ家当主アルフレードは孫の男児誕
生に感動し歓喜し自身の名を命名する。
1908年。森の中で小作人達の祭を見てアルフレー
ド老人は自身の老いを痛感し悲しみ少女イルマに自身
の訃報を伝えさせて縊死する。
次男ジョバンニは遺言を偽造し長男オッタビオに年
金・別邸のみ与えそれ以外の遺産・家畜・土地を独占
する。
◎
アルフレード少年とオルモは納屋の二階の蚕を取り
合って争う。気に入ったから触ったというアルフレ―
ドは地主の息子だから葉っぱ・草刈機・小麦・牛・ダ
ルコ家も僕のものだと述べる。オルモは返せと怒り取
り返しお前なんか片手で倒せると威嚇する。
アルフレードは蚕を返す。オルモは友の注意を受け
濡れたズボンを絞る。繭を取ったアルフレードは育つ
を飛んでいくと述べ妹と同じだと確かめる。何故飛んだ
とオルモは問い、アルフレードは妹が生まれてすぐ亡
くなったことを告げる。オルモは死んだら飛ぶことは
なく土に帰るんだと指摘する。
オルモは裸になり自身の男性性器に触れ、アルフレ
ードの男性性器は繭みたいだと指摘し、社会主義者に
なれないぞと叱る。
穴あきポケットの社会主義者だとオルモは述べる。
アルフレードは穴あきポケットの意味が分からない。
雨はやみアルフレ―ドは窓から町を見る。オッタビオ
伯父さんといった大聖堂・鐘楼だと解説する。オルモ
は煙を見る。工場だよとアルフレ―ドは指摘する。
オルモ「街からも俺達が見えるからな？」
☆窓から見る街☆
蚕の取り合いで地主の息子アルフレードは蚕だけ
でなく、農地・機材・君の家も全部僕の物だぞと威嚇
する。
このシーンのパオロ・バヴェージが可愛く権力を主
張するシーンは鋭かった。
オルモは𠮟りつけ蚕を取り返す。
ロベルト・マッカンティは逞しい。
男性性器の強さでオルモは穴あきポケット社会主義
者だと述べ、おぼっちゃまのアルフレ―ドの柔弱を叱
責する。
少年オルモは男性性器の強靭さで社会主義体得をア
ピールする。
勃起力喪失で自殺した老アルフレードと対照的だ。
オルモはその男性力を誇示しつつその逞しさでファ
シズムや圧制と戦う青年に成長していく。
納屋から町の風景を見る少年。
このシーンの幻想的で甘美だ。
アルフレードは小さい頃にオッタビオと見た大
聖堂や鐘楼や工場を見て感嘆する。
オルモは街からも俺達が見えるかなと問い世界
の繋がりを指摘する。
広がる風景を見つめる二少年。
ヴィットリオ・ストラーロが光で書く映像は少年
二人の友情を映し出す。
ベルナルド・ベルトルッチの幻想・神秘の演出は
自身の幼年期を想い起させてくれる。
『1900年』は私にとって故郷のフィルムである。
本作おいてピオッピ夫人役で女の悲しみを熱演する
アリダ・ヴァリ Alida Valliは1921年5月21日に誕
生した。
ピオッピ夫人は命がけでファシストの暴力に抵抗
しファシストアッティラ（ドナルド・サザーランド）
に逆襲される。
本作は残酷・凄惨なシーンが数多い。暴力を探求し
て暴力に命は潰される事を確かめて暴力の恐ろしさと
戦争の惨たらしさを訴え命の尊さを明かしている。
アルフレード少年とオルモ少年が納屋の窓から街
の絶景を見つめるシーンは観客の心を暖めてくれる。
☆
2022年3月27日 第94回アカデミー賞授賞式
アル・パチーノ
フランシス・フォード・コッポラ
ロバート・デ・ニーロ
コッポラはベルトルッチに「『地獄の黙示録』は
『1900年』より長くなるよ」と意気込みを語った
そうである。
『地獄の黙示録』撮影時フランシスは『1900年』
に刺激を受けていた。
ヴィトー・コルレオーネ、アルフレード・ベルリ
ンギエリ、トラヴィス・ヴィックルを二年間で演じ
生きたロバート・デ・ニーロは永遠のヒーローだ。
アルとベルナルドのチームが実現しなかった事
は残念である。
名場面感想を書いていると又銀幕で見聞したく
なる。
『1900年』は映画館のスクリーンで鑑賞する
作品である。
合掌