実録外伝大阪電撃作戦(六)乱闘・相談・襲撃 | 俺の命はウルトラ・アイ

実録外伝大阪電撃作戦(六)乱闘・相談・襲撃

 『実録外伝 大阪電撃作戦』

 映画 92分 トーキー 

 カラー 白黒静止映像あり

 昭和五十一年(1976年)一月三十一日公開

 製作国 日本

 製作   東映京都

 企画   日下部五朗

       田岡満 

       橋本慶一

       奈村協

 脚本   高田宏治

 

 撮影   増田敏雄

 音楽   津島利章

  照明   北口光三郎

 録音   荒川輝彦

 美術   佐野義和

 音楽   津島利章

 監督補佐  牧口雄二

 

 編集  堀池幸三

 記録  石田照

 装飾  柴田澄臣

 背景  西村三郎

 装置  温井弘司

 助監督 萩原将司

 

 擬斗  上野隆司

 美粧  田中利男

 結髪  明田多美枝

 スチール 中山健司

 衣裳  高安彦司

 演技事務 森村英次

 進行主任 俵坂孝宏 

 

 

 出演者

  

 松方弘樹

 

                  梅宮辰夫

 

         渡瀬恒彦

 

 目黒祐樹           片桐夕子

 

 織本順吉 三上寛  小松方正 中原早苗

 室田日出男 川谷拓三 郷鍈治 石橋蓮司 

 名和宏   林彰太郎 志賀勝 野口貴史 

 成瀬正 島米八 堀めぐみ 曽根晴美

 髙並功 国一太郎 中村錦司 丘路千

 有川正治 大前均 五城彰二

 岩尾正隆 福本清三 根岸一正 内村レナ

 奈三恭子 松本泰郎 片桐竜次

 西田良 藤沢徹夫 志茂山高也

 宮城幸生 沢美鶴 原田君事 阿波地大輔

 笹木俊志 秋山勝俊 衣竜快次 疋田泰盛

 舟橋竜次 酒井哲 白川浩二郎

  星野美恵子 富永佳代子 大木晤郎

 唐沢民賢 蓑和田良太 五十嵐義弘 

 木谷邦臣  白井孝矢 寺内文夫 

 奈辺悟   大矢敬典   司裕介    

 氷室浩二   山田良樹  平河正雄  

 鳥井敏彦 北川俊夫 勝野賢三 三島康正

 ナレーター 酒井哲

 

 

 

 伊吹吾郎           成田三樹夫

 

 丹波哲郎

 

                    小林旭

 

      監督 中島貞夫

 

 ☆☆☆

 平成十二年(2000年)一月二十六日

 十三東映にて鑑賞

 画像・台詞出典 『実録外伝 大阪電撃作戦』

 日本映画専門チャンネル放送版

☆☆☆

  台詞の引用・シークエンスの考察は、研究・

 学習の為です。 
 東映様にはおかれましては、ご理解・ご寛

恕を賜りますようお願い申し上げます。

 引用文・筋の紹介で暴力描写・暴力シーン

について言及します。ご了承下さい。

 ☆☆☆

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実録外伝大阪電撃作戦 (四)狂犬たちの勢い

 

実録外伝大阪電撃作戦(五)抵抗と作戦

 

 高山敬はジムスタッフからグローブを提示

されて、「そんなもんいらんわい」と拒絶する

が、「リングで喧嘩させへんぞ」と注意され、

やむなく付けることにする。カッターシャツ・

アンダーシャツを脱ぎ、背中に彫った凄み

豊かな虎の刺青を提示する。

 

  大岩弘が「ごっついスタンプ押しとるわ」

と嘲笑し、村田が「猫か」と愚弄する。金元基

は「あの猫絞め殺して三味線にしたれ」と馬鹿

にする。安田寿行はどっちが倒れるまでの一

本勝負やとルールを示し高山も受ける。舎弟の

真田一郎が兄貴分の高山に戦法を伝える。

 

 大岩は「おい、三味線。兄貴はプロ顔負けや

で」と注意する。

 

 

 舎弟の真田一郎が兄貴分の高山に戦法を

伝える。

 

 リングが鳴った。両者凄まじい猛攻を見せる

が、さすがにボクシングでは安田が勝っていて

強烈なパンチを喰らわせ、高山は跪く。

 

 勝負あったかに見えたが、高山は安田の股間

に噛みつく。

 

   大岩「お前、オカマか!」

 

 安田が激痛を堪えると高山は猛烈なパンチを喰

らわせ、更に大岩や金のリング外のメンバーとも

乱闘を始めた。

 

 戦いを終えて、高山と安田は共にシャワーを浴

びる。

 

     高山「人殺すし手貸せや。」

 

     安田「誰を殺んね?」

 

 

     高山「山地や」

 

     安田「川田組の山地か?」

 

 安田は高山が親分の指令でなく自身の判断で計

画していることに注目する。高山は、山地は大阪を

掌握した気になっていると分析し、彼を殺害すれば

大阪の顔に成れると大望を語る。

 

   高山「儂、お前のアホさ加減気に入ってん。」

 

 安田及び双竜会は同意、暗殺部隊を志願し、襲

撃の日喜仙の前で山地を待った。

 

 打ち合わせで高山は南原組に待機する宮武

平吉に電話する。宮武は「お前から手出すな」

と念を押す。

 

   高山「兄貴もくどいな。自分からやらせ言う

       て聞かへんのや。派手に売り出す気

       やろ。」

 

 宮武に任務が終われば帰ると伝えて、高山は

赤い公衆電話受話器を切った。

 

 山地が大東と共に喜仙から出てきて車に乗

った。安田率いる双竜会のジープが襲撃し、銃

を乱射する。だが山地親分の乗った車は防弾

ガラスが仕込まれており、ガラスを傷つけただ

けで、車内の山地が悠々と落ち着いており、

運転手に車を出すように指示した。

 

 高山は仲間の車に乗り込み、「付けい」と尾行

を指示した。

 

 ☆狼と狂犬の絆☆

 

 高山敬は安田寿行を山地武雄襲撃暗殺計画の

相棒に考えている。その口説きにあって、ボクシング

における殴り合いは必須の事柄であった。彼の阿

呆ぶりに惚れこんでいる高山は、殴り合って、相手

の闘魂の熱さを確認に行く。

 

 男が惚れた男の器量を窺いその手応えを身心

で見届ける為には壮絶な殴打の応酬をくぐる。

 

 喧嘩で相手との交流を深める。安田にぶん殴られ

た高山は彼の股間に噛みつく。このシーンに、二人

の精神的同性愛を案じするものがあると思う。

 

 狂犬高山敬と狼安田寿行。渡瀬恒彦と松方弘樹

の殴打乱戦の激突は凄まじい。スタア二人がリング

で殴り合い、噛み噛まれ、死闘を通して命の友と友情

を見出して行く。

 

  高田宏治の台詞の流動感が素晴らしい。

 

  「人殺すし手貸せや」という恐るべき台詞が日常

のリズムに乗って軽々と述べられる。安田は高山の

提案を聞き、相手が川田組の大幹部山地武雄と聞き

好奇心と野望をくすぐられる。 

 絶対に勝てない大御所であるからこそ、「倒したい」

という野心が湧き出て挑戦したくなる。高田脚本と

貞夫演出はこの心理を鮮やかに突いたのである。

 

 喧嘩と乱闘で安田と高山が男どうしの仁義を見出

す物語に感嘆した。

 

 襲撃の日。宮武は慎重になるように高山に指示す

る。

 梅宮辰夫の演技がここでも冷静で渋い。弘樹ちゃん

の粘りと恒ちゃんの凶暴性が爆発するが、辰っちゃん

は常に沈着冷静と防衛の芝居に徹している。怒って

いても危機に遭っても、宮武は常に組織を考えてい

る。

 これは梅宮辰夫の我慢芝居だ。

 

 喜仙から出てくる山地・大東の凄みは強烈だ。

 

 小林旭・成田三樹夫という名優の存在感は、松方弘

樹・渡瀬恒彦が闘志を燃やす相手の重みを表現して

いる。

 

 安田の襲撃は失敗するが、高山は追跡する。

 

 冷静さを失った高山はその闘争本能の炎に任せて

闘志に燃える。

 

 百獣の王獅子に挑む狂犬と狼。

 

 最強の大敵に挑むチンピラ達。

 

 中島貞夫の挑戦の物語は深い。

 

 

                             

                       文中敬称略

 

                           合掌