大江戸五人男(十六)両雄問答 | 俺の命はウルトラ・アイ

大江戸五人男(十六)両雄問答

『大江戸五人男』

映画 132分 トーキー 白黒

昭和二十六年(1951年)十一月二十二日公開

製作国      日本

製作        松竹

脚本        八尋不二

           柳川真一

           依田義賢

 

出演

 

阪東妻三郎(幡通院長兵衛)

 

市川右太衛門(水野十郎左衛門)


 

河原崎権三郎(水木あやめ)

三島雅夫(近藤登之助)

 

監督 伊藤大輔

 

☆☆☆

河原崎権三郎→三代目河原崎権十郎

 

☆☆☆
 演出の考察・シークエンスへの言及・台詞

 

の引用は研究・学習の為です。


松竹様におかれましては、お許しと御理解

を賜りますようお願い申し上げます。
☆☆☆

昭和六十三年(1988年)十月二十七日

京都文化博物館映像ホールにて鑑賞。

この機会以外にも鑑賞している。

 

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 伊藤大輔監督作品』

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  水野は「約束じゃ」と語り、水木あやめを

 

長兵衛に対面させる。長兵衛が一人で邸に

来たら、あやめの身柄を渡すとの約定があ

ったのだ。人質にされたあやめを救い出す

ことが長兵衛の課題であった。

 

 あやめは長兵衛親分に詫びる。長兵衛

は笑顔で「悪いのはあっしのほうだ」と謝罪

し、あやめに語りかけ、去ろうとする。

 

 水野は呼び止め、「よもや何の引きたても

 

なく太夫の身体を引き取れるとは思うまい」

と釘を刺し、『播州皿屋敷』の舞台は、「水野

が顔に泥を塗った」と怒る。

 あやめは自分一人の一存で作った舞台で

すと謝罪するが、近藤が長兵衛の後ろ盾が

あった筈だと難詰する。

 

   長兵衛「成程あの芝居は手前身内の若

 

        い者が生み出したことかもしれ

        ませんが、それを芝居に仕組ん

        だ者は、うちの若い者でも、座主

        でも狂言方でも、勿論この太夫

        でもございません。」

 

   水野「ならば誰だと申すのだ?」

 

 

   長兵衛「江戸中の町人です。町人だけじゃ

 

        ない。八百八町の人間の心が一つ

        になって、芝居を作り上げたんで

        ございます。そうでなけりゃあの芝

        居が評判を取り受けよう筈がござ

        いません。つまりは江戸の町人共

        のお殿様に対する恨みつらみが

        積り積もって、舞台に向けられて」

 

 

   近藤「控えよ、長兵衛」

 

 

 

 

 

   長兵衛「いや、控えませぬ。ここの道理を

        よくお考え下さい。同じ人間どうし

        のお侍が何故町人を虫けら同然

        にお扱いなされるのか?あまり

        非道に扱われるのは、下世話に

        も申しますように一寸の虫にも

        五分の魂。」


 ☆芝居を産みだしたもの☆

 

 拉致された水木あやめを救い出す為に

水野の邸に長兵衛は一人で引き取りにや

ってきた。

 旗本達が刀を研ぎ澄まし、斬りかかか

ってくるかもしれない。それでも子分衆に

復讐を禁じ、心を裸にして話し合いに臨む。

 

 水野と近藤に、『播州皿屋敷』を産んだも

 

のは、町人達をいじめるお殿様に対する

恨みつらみだと宣言した。

 

 同じ人間どうしで、お侍が町人を虫けら

 

同然に扱いなさるのは何故ですかという

問いが重く響く。

 

 伊藤大輔の演出が重く深い。

 

 

 八尋不二・柳川真一・依田義賢の台詞が

 

美しい。

 

 阪東妻三郎の長兵衛が語る言葉が、観客

 

の心に平等の尊さを教えてくれる。

 

                    文中敬称略

 

 

 

 

 阪東妻三郎 百十五歳御誕生日

   平成二十八年(2016年)十二月十四日

 

                        合掌

 

 

 

                   南無阿弥陀仏

 

 

 

 

 

                        セブン