孫崎享講演会レポート(1/20京都南丹市)2/7追記あり | 一日一回脱原発 & デモ情報in大阪

一日一回脱原発 & デモ情報in大阪

大きなことはできません。でも一日一回、小さなことでも脱原発に役立つことをしよう。そういう思いを込めてタイトルをつけました。脱原発デモ・イベント情報と、原発&放射能に関するお役立ち情報を掲載します。

私事ですが、ブログに力を入れるようになって以来、仕事のある平日はブログの更新に時間を取られ、週末は私用があったり、あちこちのイベントにでかけたりで、生活が180度変わってしまいました。変わったというか…かなりめちゃくちゃになってしまいました(^^;

文章を書くのがとろいのか、ひとつの記事を書くだけでもとても時間がかかってしまいます。ハッと気づくともう12時過ぎなんてことはしょっちゅう。翌日は寝不足のへろへろ状態で出勤。

こんな私に最近心強い味方ができました。

私のイベント情報を見てイベントに参加した友人が、イベントや講演会のレポートを送ってくれるようになりました。今日はそのレポートのひとつを紹介します。


孫崎亨さんといえば、最近日米関係の真相を暴く著作で注目を浴びていますね。この講演会、わたしも行きたかった~。

孫崎さんの本は、別の友人からも薦められていますが、残念ながら読む時間がありません。

それで、まずはこのレポートを読んで、わたしも勉強させてもらいました。このレポート、かなり詳しく講演の内容を書いてくれているので(よくこれだけまとめられたものだと感心)、本を読む時間はないけど孫崎さんのことを知りたい!という人にはぴったりです。少し長いですが、ぜひお読みください。目からうろこな事実もたくさんですよ。

レポートでは、会場のローカルな雰囲気から紹介してくれています。講演の内容のみ知りたい方は、太字タイトル以下をお読みください。




【孫崎享講演会レポート 2013年1月20日 京都府南丹市 K.Y】

山陰線「鍼灸大学前」駅から徒歩1分のところが会場です。なにしろ1時間に1本しか停車しません。京都方面から乗車、さて降りるときです。
無人駅で、ワンマンカー。電車内には、講演会に参加する人が24、5人はいたでしょうか。「ICOCA」で乗車した人はカード読み取り機がないので、証明書を発行してもらい、ブラス小銭を支払います。運転手兼車掌の若い男性は、字画の多い「鍼灸大学前」と手書きしなければなりません。そして小銭の受け取り、当然釣り銭渡しもでてきます。
ひとり一人するので、停車時間は何分になったでしょう。
単線なので、きっと先の駅で、京都方面行きの上り列車はどこかで時間調整をしたでしょうね。
なにしろ日曜で大学もお休み、お客がいないのが普通なのに、この人数、彼にとっては「なんで?!」と驚いたでしょうね。


さて会場は不便な場所でしたが(失礼)、130名は集まったでしょうか。200定員の会場ですから結構入りました。
地元の方たちがかなり前から準備したことが分かりました。司会されていたのは陶芸家の方で、訥々と話される司会ぶりに好感がもてました。若い方も何人かスタッフとして動き回っていました。


テーマは

「戦後史の正体」から読み解く日米関係

孫崎さんの経歴は検索すればすぐ分かりますが、外務省でも国際情報関係の重責を担い、親米一辺倒の外務省にあって、異色の存在だったようです。
語り口調はとってもソフトで、分かりやすい説明でした。
ただ、約1時間という限られた時間だったので、TPPでも消費税増税でも原発問題でも、尖閣問題でも、そこに潜む日米のやりとりを具体的に展開できないもどかしさが感じられました。


大物政治家を時として逮捕する「検察庁特捜部」も、実は米軍によって創設されたこと、戦後、特捜部による捜査・逮捕によって、日本の政治が大きく変化してきたことも指摘されました。
アメリカの意に沿わない人物は、結局、政界から消えていく。
最近では、「沖縄米軍基地問題」で鳩山首相が、「原発問題」で管首相が、どうなっていったか。
「少なくとも普天間は県外移設」と言い、「原発は脱原発をめざす」と言えば、米国にとって絶対認めることのできないところにに突き進んだとき、その人物に対して性格的に「政治家に不向き」なあれこれがどこからともなく出てきて、それがスメディアによって増幅され、国民世論も同調しているかのように演出され、あたかも国民の退陣要求が真実であるかのようにして、身動きが取れない中で、退陣していったのではなかったか。
「選挙」もなしに、それに取って代わった「野田政権」はなにを決めたか。
「オスプレイ配備について、米軍の決めることであり、日本があれこれ言う立場にはない」
「オスプレイは日本の「航空法」から除外する」とわざわざ「閣議決定」した。
「原発については、30年代には脱原発」の「閣議決定」もできなかった。
米国にとって「満足」のいく日本政府の決定だった。


領土問題、とくに「尖閣列島」について、少し時間をとり力説しました。
この問題を国際的観点からみれば、つまり「カイロ宣言」「ポツダム宣言」「サンフランシスコ平和条約」の各領土問題をみれば、この地域が「日本固有の領土」として「なんの問題もない」とすることはできない、ということ。
ただこの国際条約の関係条項を日本の国民は知らされていない、また学校で教えられていない、つまり教科書に載ってない。このようにして考える基本的な知識を学んでいない。
日本が締結した国際条約の領土条項をきちんとみれば、「日本固有の領土」は確定している話しとして片付けることはてきない。いわば「宙に浮いた」形で記述されている。
これも戦後をにらんだ米国の「知恵」がそこにあった。
領土問題は基本的に当事国みんなが100%満足して「解決」できるものではない。常に不満と満足を生み出すテーマ。
なので、「再燃」させることで、アメリカが望む何かを得ようとしている、そこを見ないで、「尖閣」という狭い視野に縛られ煽られると、国民はとんでもないところに連れて行かれる。
今の日本は「原発」も含めて、将来の崩壊へのタネを蒔いてる、とても危険な事態。


去年末の総選挙では、私は、争点は「原発」一つにすべきと主張した。TPP、消費税・・・いろいろあったが、「どういう生き方をするのか」が国民にとっても、日本という国にとっても最大のテーマであり、優先順位で言えば、「原発」をどうするかが、このテーマに迫る断然優先順位1位の争点だった。

しかし現実はどうだったか。
「原発」は奧に引っ込められ、せいぜいエネルギー問題に矮小化された。優先順位下位にあるその他の問題がクローズアップされ、相も変わらず、「経済力の回復」というレベルに押し込められた。正当な選挙をする上での「情報」は、これまでと同様に、巨大メディアを使って操作され、相変わらず、有権者はそこに閉じ込められた。
それを議席の点でさらに増幅する装置=小選挙区制度が機能した。


日本の国民は「マスメディア」というのを誤解している。「メディアは中立で公平な正しい情報を提供している」という大きな誤解。
「マスメディアの報道」についてのチェコの諺に、「昨日のサッカーゲームの点数は100%信じてよい、天気予報は50%信じてよい、政治の記事は0%信じてよい」というのがある。
「マスメディアはもともと権力をもった人や機関を擁護するもの」という大前提で、マスメディアを利用している。それが世界の常識。
日本の国民は、「なぜ、マスメディアは本当のことを報道しないんだ」と怒っている。そうではなくて、そういうものだと理解すべき。
もちろん記者個人としては素晴らしい資質をもっているし、ジャーナリストとして活動したいと願う人もいる。しかしマスメディアも「企業経営体」であり、組織として編集した記事は、記者個人から分離していく。
「情報」は与えられるものではない。「情報」は自分が動けば、その分、伝えられていなかった「情報」が見えてくる。だから欲しい「情報」は自分から集めるものだと思っている。


今の日本の立ち位置を考える上で、中国とアメリカをどう見るか。2010年の工業生産額をみると、中国が米国を抜いた。これは世界史的大事件。

これより数年前、EUの多くの人たちは、この事態を十分に予想していた。しかし日本国民の多くは、予想もできなかった。
状況を把握する日本の見方は、世界の見方とはかなり違っていると考える必要がある。そして日本経済が中国・米国とコミットしている割合だが、対米国が15%に対して、対中国が40%近くになっていることを知っているだろうか。
だから、日本の経済人は中国との経済交流が不可欠だと主張している。中国との経済関係が発展してこそ日本の経済回復もあり得るとも主張している。
なのに、そのときになぜ、わざわざ日本側から領土問題を再燃させて、中国との関係悪化を進める政治をしようとするのか。米国は日本なんかより、中国との関係維持が最優先だから、すでに安倍政権へのコミットが始まった。
戦中・戦後の条約で、領土問題をわざとあいまいにすることで、将来、関係国の対立をいつでもつくって、外交手段にできる余地を米国は持った。石原を使って、日中対立を再燃させ、米国が必要な望みを達成したい。日本独自の武装強化とそれを可能にする法整備、とくに日本の領域を超えての実質的な軍事活動は必要だとする世論を広げること。そして沖縄の基地撤去は非現実的とする世論を広げること。


最後に「60才以上の方の活躍が日本を支える」と。

この人たちは、生活を脅かされずに、なんでもできる人たち。会場に集まった人たちの顔ぶれをみたのか、参加者たちを励ます言葉で講演を結びました。

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話しの順番を少し入れ替えて、大筋をまとめてみました。孫崎さんの話し、けっこうあっちこっち行きました。一貫したレジュメをもって話されたというより、
・米国に従属している日本
・情報は自分が動いて、集めるもの

の2点を、思いのたけを、話されたという印象でした。
まだ読んでませんが、本を読んだ方が内容は分かりやすいのでは。
でも人柄のよさ、誠実さ、欲張らない方、腰の低い方、そして情熱溢れる方でした。
内容については、私の受取が間違っている箇所もあると思いますので。

(以上レポート終わり)


レポートを書いてくれたK・Yさんのブログ

放射能から子どもを守る鷹峯の会



孫崎亨氏の著書

戦後史の正体

一日一回脱原発 & デモ情報in大阪-戦後史の正体

本の戦後史は、アメリカからの圧力を前提に考察しなければ、その本質が見えてこない。元外務省・国際情報局長という日本のインテリジェンス(諜報)部門のトップで、「日本の外務省が生んだ唯一の国家戦略家」と呼ばれる著者が、これまでのタブーを破り、日米関係と戦後70年の真実について語る。

はじめに
序章 なぜ「高校生でも読める」戦後史の本を書くのか
第一章 「終戦」から占領へ
第二章 冷戦の始まり
第三章 講和条約と日米安保条約
第四章 保守合同と安保改定
第五章 自民党と経済成長の時代
第六章 冷戦終結と米国の変容
第七章 9・11とイラク戦争後の世界
あとがき


ところで、孫崎氏のこの著書に関して、偶然こんなブログ記事を見つけました。興味のある方はどうぞ。

 ↓  ↓  ↓

孫崎氏著『戦後史の正体』の書評の削除に追い込まれた朝日新聞のお粗末


(2/7追記)

昨年9月30日の朝日新聞の書評欄に孫崎氏の上記著作の書評が掲載されましたが、その一部が10月21日に削除されました。上の↑ブログ記事ではそのことが紹介され、孫崎氏の著作は「典型的な謀略史観でしかない」とした朝日の書評に対し、おそらく多くの抗議メールや抗議電話が寄せられ、朝日側も削除せざるを得なかったのだろうと書かれています。


書評から削除された部分

「ロッキード事件から郵政民営化、TPPまで、すべては米国陰謀だったという本。米が気に入らなかった指導者はすべて検察によって摘発され、失脚してきたのだという。著者の元外務省国際情報局長という立派な肩書も後押ししているのか、たいへん売れている。しかし本書は典型的な謀略史観でしかない。」


朝日新聞9月30日書評


一日一回脱原発 & デモ情報in大阪-朝日新聞 孫崎書評


昨日孫崎氏の講演会レポートをアップしたところ、レポートを書いてくれた友人からメールがあり、孫崎氏自身も講演会でこの一件について触れておられたとのことでした。


(メールより)

朝日新聞の「書評削除問題」は、講演会でも触れていました。孫崎さんからは2点コメントがありました。

1.市民からの声が一定集まると、「大朝日」でさえ、何か行動(この場合は「訂正」という、大新聞にとってはとってもしたくない行為)しないとマ ズイと考える時代になっていることは重要。

2.なので、マスメデイアの報道については、見過ごさずに、市民の声を上げることが重要。


(メール引用ここまで)


テレビや新聞の報道について、もっと声を上げよう!という呼びかけは、わたしのブログでも行っています。

こちら↓のブログ記事には大手新聞社・テレビ局への意見送付先一覧も書いてありますので、是非ご活用ください。

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