世に処しては必ずしも功を邀(もと)めざれ、過ちなきはすなわちこれ功なり『菜根譚』
社会生活においては、むりやり功績をあげようとつとめることはない、失敗を犯さなければ、それが立派な功績である、との意。また、対人関係においても同様、強いて恩を施して感謝されようとつとめることはない、人から怨まれることなくすめば、それが人に感謝されることなのだ、ともいっている。
一見、消極的な人生のすすめである。そういえば、役人の退官のさいの決まり文句に、「大過なく云々」というのがあるが、『菜根譚』の眼目は、無理な背伸びをするなということであって、やれることもやらない役人のまねをしろというのではない。(丹羽 隼兵著「中国古典の名言」より)