人心同じからざるは、おのおのその面のごとし(三国志)
人の顔はひとりひとりちがうが、それは目で確かめることができる。人の心もひとりひとりちがうのだが、こちらは目には見えない。そのため、同じ立場にいる者はみな同じような考えを持っていると、思いこむことがないとはいえない。それを戒めたのがこのことば。
諸葛孔明に後事を託されて宰相をつとめた蔣琬(しょうえん)は、孔明亡き後の国内の動揺をよく鎮めた沈着にして温厚な人物。部下のひとりが、かれの質問にはかばかしい返事をしなかったとき、さては自分の考えに反対なのだな、とその真意を見抜いて、「人心同じからざるは・・・・」と平然としていたという。(丹羽 隼兵著「中国古典の名言」より)