風雨が強まり、荒れた春分の日となりました。
太陽観望はお休みなので、3月15日の夜にBorg 71fl で初撮影した星空を掲載したいと思います。
M35(ふたご座の散開星団・薄っすらとNGC 2158)
3月15日20:25 EOSx5i(フィルター除去改造) ISO1600 20秒×5(加算平均) Borg71FL×0.78マルチレデューサー(312mmf4.4) 光害カットフィルター(IDAS LPS-V4)ノータッチガイド ステライメージ7 Microsoftフォトで調整(トリミング無)
2月13日にファーストライトを月の試写で迎えたBORG71flですが、71fl発売と時を同じくする銀塩時代の設計と言えるレデューサー(Borg35mmマルチレデューサー×0.78【7783】)をラインアップに加えたうえで、星空の試写を3月15日の夜に実施することができました。
同マルチレデューサーの特性などをネットで調べた結果、バックフォーカスの厳密性が低いとの都合の良い記載があったので、正規の400mmを敢えて450mmに設定して撮影してみました(71flで500mmに設定しても使えるぐらいとの記載アリ)。
レデューサーを使用しての撮影経験が初めてなので、経験上の比較はできませんが、この設定でも星像は周辺まで大きく崩れることもなく、色収差も自分的には気になるレベルではないので、APSーCサイズでは問題なく使用できてしまったようです。
諸先輩が使用しなくなった機材を譲っていただいた少し古い光学系ですが、ここまで星が丸く写れば正直大満足です。
一度使われなくなった機材にも新たな活用の道が開かれ、なんとなく嬉しいような気もしますし、大切に使用したいとも思います。
※ボーグの新品部品も必要に迫られていくつか購入しましたが、高価で光学系も含めて新品を入手するのであれば、高性能な輸入セット望遠鏡を購入したほうが合理的という個人的な感想を持ちました。
ボーグは対物レンズの収差などに関する光学性能をデータとしてホームページなどに公表しておらず(実際の星像がわからない)、ダウエル張りの抽象的な文言や素晴らしい作例の列挙で高性能を謳うばかりのように見えてしまいます。
高額な光学系、フォーカサー、アダプターのほかに、星を丸く撮るには高額な補正レンズも必要になると購入してから気づく私のような者もいるのではないかと思います。
よく考えれば、フローライトといえども2枚玉では高度な補正は難しいのかもしれませんが、データが公開されず文言だけのPRでは、初心者は誤解してしまっても仕方ないことで、企業の姿勢としては時代についてこれていないと感じてしまいます。
ただ、日本製を謳う部品は確かに値段なりの高精度を感じますし、強靭さは今一つですが、軽さやコンパクトさは確かに優っているかと思います。
とはいえ、部品を組み合わせる楽しさがあり、非合理でも自分はBorg好きなようであり、これからも愛用したいと思いますので、衰退せず生き残ってほしいものです。
それにしても、星雲などの淡い対象は画像処理をして炙り出さなければなりませんし、カメラセンサーのノイズがこれほどひどいものであることを体験し、画像処理と十分な露光なしには美しい?星空画像は得られないこともよく理解できました。
これまで必要も興味もなかったノイズ処理に関しての試行や検証の記事の意味、苦労なども経験して初めて多少理解できるようにもなりました。
これだけでも大きな収穫です。
面倒なことはできるだけ避けて、日常の中で気楽に宇宙の神秘を楽しみたいという思いが根底にあります。
光害地であることがこの趣味を楽しむうえで最大の障害であることも理解したうえで、あまり時間をかけずに、無理せず普通にできる範囲で少年時代にできなかったことを晩年に取り返し楽しんでいければと思うところです。
それにしても、ネット上にノウハウを公開していただいている先人の方々には感謝しかありません。
画像処理の工程などネットには様々なノウハウが公開され蓄積されていました。
ストライメージ7のマニュアルだけでは、処理の流れなど実際の取り扱いを効率よく理解することはできず、ネット上の情報で、最低限の画像処理まで比較的短時間でたどりつくことができました。
それ以上のノウハウや実例を公開されている方もいらっしゃり、本当にありがたい限りです。
特に初心者向けのノウハウを意識的に纏められ、公開されている「天文楽の伝道師」とも思える方々の貢献には、感謝しかありません。
また、それぞれの楽しみ方を公開していただいている方々にも感謝です。
ハイレベルなネット記事も勉強になりますが、それぞれのレベル、B級品などでそれなりに工夫して楽しんでおられる方々の記事やデータ、ノウハウが自分には「そうなのか・そうだったのか・そうすればいいのか」と、今一番ありがたいところです。
失敗記事も同じところで楽しいです。
適切なフィルターワークと露出時間を十分とり、ダーク・フラットなどの補正を面倒がらずに行えば、光害地ではありますが画質もある程度のところまで上げることも可能だと今回学ぶことができました。
光害は昔より確実にひどくなりましたが、山の上などに遠征しなければ、暗い星雲は撮影できなかった昔とは違うテクノロジーの進歩には感謝です。
撮影に使用するカメラの性能も相当大きなファクターで光学系や架台も含めて費用をかければ、少年期に天文台でしか撮影できなかったような画像をアマチュアでも撮影できる時代になりました。
空の暗い場所に機材を設置して、遠隔操作で素晴らしい天体写真を撮影されているアマチュアもいるなど、素晴らしい時代でもあり、この先は一体どうなるのでしょう??
最近発売されたスマート望遠鏡などは、お気軽の最高峰のような機材のようで、入手できたらどんなに楽しいだろうとも想像します。
もちろん、最高峰の機材で満天の星空の下、観望や撮影が毎日出来れば幸せなことでしょう。
とはいえ、だからこそ、B級であろうと高性能機材であろうと、光害地であろうと自分なりのスタイルでいろいろと楽しみ、心が満たされていくことにこの趣味の意味やありがたさもあると考えるところです。
むしろ様々な不具合をおかしく楽しんでしまうくらいがちょうどいいような気もします。
ダウエル(成東商会)の逸話を昔の天文少年たちが、今になって楽しんでいるように。
ネット上には「買ってはいけない望遠鏡やアイピース」などを入手して、楽しまれている記事などを見かけますが、道楽の極致のようで、こちらまで楽しくなるのは、その類だからなのでしょう。
今はできる限りシンプル気楽に、ノータッチガイドで短時間撮影、数枚の使えるコマを使用して楽しむレベルです。
ノイズが酷くダーク補正などが重要であることを身を以て体験した(コントラストを上げてノイズをごまかす)段階ですが、画像処理に今のところ時間をかけたくないのも本音です。
今は昔見たかった写したかった星空を自分で写せた喜びで十分で、より高度な画像処理は次の段階の挑戦となりそうです。
撮影に時間がかかり撮影枚数は半減してしまいますが、ベランダ撮影のメリットとして、カメラの長秒ノイズ補正を使うことも画像処理の面倒から解放されることがあるのか次に試しても見たいと思います。