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小さな物語、三つ目のお話です。


ミルラ星での、

それぞれが違う速さで歩いていた日のこと。


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ミルラ星では、ときどき

「がんばりの集まる広場」が開かれる。


そこには、年齢も大きさもちがう子どもたちが集まって、

一日をどう過ごしたかを、静かに話すのだ。


ルロも、その広場に来ていた。


となりには、少し背の小さい子が座っている。

名前は、ノノ。


「きょう、なにしたの?」


ルロが聞くと、ノノは少し考えてから言った。


「……あさ、ちゃんと起きた」


ルロは、一瞬だけ言葉に迷った。


(それだけ?)


でも、ノノの声は、どこか誇らしそうだった。


次に話した子は、

「一日中、走ってた」と言った。

別の子は、

「泣かないように、がまんした」と言った。


話は、どれもバラバラだった。


ルロは思った。


走るのが、がんばり?

泣かないのが、がんばり?

朝起きるだけじゃ、足りないのかな。


そのとき、広場の真ん中にいた年長の人が、

静かに言った。


「ミルラ星ではね、

がんばりの形は、ひとつじゃないんだよ」


「起きるのに、すごく力がいる日もある。

笑うだけで、精いっぱいの日もある」


「見えないところで使った力も、

ちゃんと、がんばりなんだ」


ルロは、ノノの方を見た。


ノノは、少し照れたように、

でも、胸を張って座っていた。


その夜、ルロは家でつぶやいた。


「……がんばってない人なんて、

いないのかも」


ポポンは、そっと笑った。

「そうだよ。

人の数だけ、がんばりの数があるんだ」


ミルラ星では、

だれかを比べるよりも、

その人の歩幅を見ることが大切にされている。


がんばっていない人なんて、いない。

ただ、がんばり方がちがうだけ。


ミルラ星では、

それぞれの歩幅で進むことが、

なにより大切にされている。


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読んでくれて、ありがとうございます。