今日の天気は予測しにくいと言っていたが
まさかこんなに雪が降ってくるとは思ってもみなかった。
午後になって降り出した雪はやむこともなく
庭もまっしろになっていく。
三連休前でよかった。
私はこんな寒い寒い2月に生まれた。
ここよりももっともっと寒い土地で生まれた。
「なんでこんな寒い土地で産まなきゃならないんだと思った。」
生前、母がそんなことを口にした。
私は黙って思った。(なんで私を置いていったんだ。)
私が産まれたあと、しばらくは家族四人でその土地にいた。
ある日、母は私だけを遠くの父親の実家に預け
姉を連れてどこかへ行ってしまったのだ。
しばらくするとまたどこからか母が迎えにきて
父も合流して家族4人で暮らすようになった。
私は母が迎えに来た時、母とはわからなかった。
もうとっくに記憶から消えていたのだ。
当時の詳しい話は母からも父からも聞くことなく大人になった。
母が亡くなって、姉が当時のことを少し話してくれた。
私と別れたあと、母と小さな港町にいたことがあると。
その小さな港町で母が出会った男は母に手をあげる人で
とても怖かった。母も我慢ならず、逃げてきたのだと。
地図を広げ、その小さな港町を指した。
私が生まれた町も小さいがもっともっと小さな町だった。