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設問1

1 青少年が図書Aを購入できないことは、青少年の知る権利(憲法21条1項)を侵害し、違憲ではないか。

 知る権利は、21条の派生的権利として当然に導かれる。そして、青少年も国民である以上、21条1項の表現の自由として、知る権利が保障される。しかし、青少年は精神的に未熟であることから、その接する情報から影響を受けやすいので、情報の摂取により悪影響を受けることがないよう配慮される必要があるから、成人と同等の知る権利の保障は受けない。

 新法の目的は、有害差別図書によって青少年の健全な育成が阻害されることの防止にある。したがって、包括指定が合憲であるためには、公共の福祉による合理的で必要やむを得ない限度の制限であることが必要であると考える。そして、制約がそのような場合に該当するか否かは、制限が必要とされる程度と、制限される自由の内容及び性質、これに加えられる具体的制限の態様及び程度等を較量して決せられる。

2 包括指定は、特定の表現とその表現が書籍の一定の割合を占めることのみによって、図書を青少年にとって有害な図書と指定するので、制約が過度に広範なことが問題になるようにも思える。

 しかし、特定の表現は、「○○人は日本から出て行け」といった表現や、差別的な意味合いで特定の民族や人種に属している個人や団体を昆虫や動物に例えるものに代表されるような、過去に各地方公共団体でヘイトスピーチと認められた典型的表現に限られ、限定列挙の方式が採られている。また、当該表現が図書の中に占める割合がページ総数の10分の1以上など、明確な分量の指定もある。

 このような事情を考慮すると、包括指定は、特定の民族や人種に属する個人や団体に対する差別的意識を温存、醸成、助長、増幅等させる特定の典型的な差別的表現について限定列挙し、明確な基準の下に青少年にとって有害な図書と指定することにあたるので、その定義づけは十分になされているといえるから、指定が過度に広範とはいえない。

3 また、青少年が上記のような図書に触れることは、摂取する情報から影響を受けやすい青少年が、特定の民族や人種に属する個人や団体に対して、差別的意識や憎悪の念を発生させ、その個人や団体に対して、侮辱や誹謗中傷、そして、暴力的行為に出る可能性もあるものなので、制約の必要性は高い。制限される自由は青少年の知る権利であり、上記のとおり、成年と同レベルの保障は受けない。くわえて、制限されるのは上記のような青少年の健全な育成に害のある表現物へのアクセスであり、必要であり、最小限度といえる。また、たしかに、包括指定の際には、専門家の諮問を経ることはないが、指定の取消しの申出がされると、青少年保護育成審査会という中立的な専門家の専門的かつ総合的な審査を受けることができるから、手続保障もなされている。

4 したがって、制約は、公共の福祉による合理的で必要やむを得ない限度の制限であるといえる。よって、青少年が図書Aを購入できないことは、青少年の知る権利を侵害せず、合憲である。

設問2

1 成人が年齢確認を受けなければ図書Bを購入できないことは、成人の知る権利(21条1項)を侵害し、違憲ではないか。

 成人の知る権利は憲法21条1項で、表現の自由として保障される。

 成人の知る権利は、青少年のような制約を受けないので、上記の基準を適用するにあたり、慎重な考慮が必要であると考える。

2 個別指定は、特定の民族や人種に属する個人や団体について、合理的な理由なく社会から排除することを煽ったり、そのような個人や団体に対して危害を加えるメッセージを発信したり、相当程度侮辱したり誹謗中傷したりするような表現を含む図書を有害図書と指定するものである。

 個別指定をすることによって、特定の個人に対する上記のような行為の発生を防ぐ目的としては、「個人の名誉」や「個人の生活の平穏」を保護しようとしたものと考えられるところ、このような利益は人格的生存に不可欠といえるから、このような利益の保護の目的は合理的であり正当といえる。また、有害差別図書に接することにより、特定の民族や人種に属する団体に対する差別的意識や憎悪の念が、温存、醸成、助長、増幅等すれば、当該団体に対する相当な侮辱や誹謗中傷に発展し、ともすれば、暴力的行為が行われる可能性もある。このような事態を避けるために、上記のような表現物を青少年にとって、有害差別図書に指定することは、必要やむを得ない制限といえる。

 また、成人は、年齢確認をすれば、そのような図書を購入することができ、有害差別図書へのアクセスを禁止されているわけではない。たしかに、新法制定後、一定数の成人が有害差別図書の購入を見合わせていることから、制約は成人を図書Bの購入を躊躇させ、購入を控えるという萎縮効果はあるといえる。しかし、成人は、年齢確認などの手順を踏めば、他人に見られることなく、インターネットで図書Bを購入することができるから、制約は付随的なものといえる。

 そして、個別指定にあたっては、15名という恣意的な権原の行使がない人数と考えられる員数から構成される中立的な専門家集団である青少年保護育成審査会により、専門的かつ総合的に青少年保護の観点から判断が行われるので、手続保障もなされているといえる。

3 以上の事情を考慮すると、個別指定の必要性は極めて高いものが認められ、実効性も認められるとともに、成人に生ずる制約は間接付随的なものであり、指定に際し手続保障も図られていえるといえる。

 したがって、制約は、公共の福祉による合理的で必要やむを得ない限度の制限であるといえる。よって、成人が年齢確認を受けなければ図書Bを購入できないことは、成人の知る権利を侵害せず、合憲である。

                                         以上

 

2350文字くらい。