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設問1

1 原告適格が認められるためには、「法律上の利益を有する者」(行政事件訴訟法9条1項)と認められる必要がある。「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上の利益を侵害され、又は、必然的に侵害される者をいう。そして、当該処分を定めた行政法規が、そのような利益を、不特定多数人のものとして一般公益に吸収・解消させるにとどまらず、個々人の個別的利益としても保護する趣旨のときは、そのような利益も法律上保護された利益ということができる。X1とX2は、処分の名宛人以外の者なので、X1とX2の原告適格の有無を判断するためには、9条2項を参酌する。

2 X1について

(1) 処分の根拠規定であるY県蜜蜂転飼条例(以下「条例」)3条1項の要件の一つとして同上2項1号が転飼をしようとするときに蜂群数が蜜源に比べて過剰ではないことを規定する趣旨は、過剰な数の蜂が飼育されることによる蜜源の不足を考慮したものであり、周辺で蜜蜂を飼育する養蜂業者の養蜂に関する既存の利益を保護したものと考えられる。また、法の目的規定である法1条やそれを受けた法8条は、蜜蜂による生産物の増産を図り、花粉受精の効率化に資することを目的として、都道府県による蜜蜂の飼育の状況と蜜源の状態の把握や、蜂群の調整、転飼の管理その他の必要な措置を通じて、蜂群配置の適正及び防疫の迅速かつ的確な実施を図る趣旨である。このように法は、必要な措置を講ずることにより、適正適切に養蜂が行われることを通じて、法の目的を実現しようとしたものであり、蜜蜂の飼育の状況や蜜源の把握をすることにより、養蜂業者が増えすぎて需給のバランスが崩れることも防止しようとした趣旨であるから、既存の養蜂業者を保護する趣旨であると考えられる。また、条例4条が転飼場所付近の見取り図を3条1項の許可の申請の添付資料として提出を要求している趣旨は、既存の業者によって養蜂が行われている区域において蜜源の不足が発生しないように配慮したものといえる。そして、法や条令とその趣旨目的を同じにする裁量基準である手引2(1)や6(1)は、蜂群の距離を4km以上離すことを基準としており、既存の養蜂業者の養蜂の利益に不測の損害が生じないようにしている。くわえて、手引6(2)においては、明確に継続飼育している養蜂業者を優先することとしており、既存お養蜂業者の養蜂の利益を考慮することを要求している。このような法の趣旨からすると、法は、詳細に渡り既存の養蜂業者の利益に配慮した規定ぶりになっており、既存の養蜂業者の養蜂の利益を一般公益として保護したものといえる。

(2) 違法な許可がされたにすぎないときには、許可を取り消すことも可能であり、そのような養蜂の利益に重大な損害は生じないようにも思える。しかし、条例3条1項に反した違法な許可がされると、密限の需給のバランスが崩れることは容易に想像でき、既存の養蜂業者の養蜂が困難となることにより、既存の養蜂業者は著しい損害を受けるといえる。また、蜂群というものは自然のものなので、一度数が増えるとその数を減らすということは長い期間を必要とするものということが想定できるので、上記のような損害は回復困難なものといえる。

(3) したがって、法は、転飼が許可されることにより、自己の養蜂の利益に著しい損害を被るおそれのある既存の養蜂業者の養蜂の利益を個々人の個別的利益としても保護した趣旨と考えられる。

(4) X1は、Aの本件予定地から約1.6kmという手引が基準としている距離の内側の場所で養蜂を営む既存業者であり、Aに転飼の許可がされることにより、密限の需給のバランスが崩れ、自己の養蜂の利益に著しい損害を被るおそれのある者といえる。

(5) よって、X1に原告適格が認められる。

2 X2について

(1) X2は、規則5条2項3号が定める、転飼の許可の申請に際し添付することができる手引き6に規定されている蜂群の位置や蜜源の状況に関する実施調査を免除する事前調整報告書に、その調整を行った旨の押印をすることができるC地区の養蜂農業組合の支部長にあたる。法令が支部長にこのような権限を認めている趣旨は、支部長を区域の養蜂業者の養蜂に関する利益の代表者として取り扱っているからであると考えられる。このような利益代表の養蜂の利益は、法1条や8条といった法の目的規定の上記のような趣旨からも保護されるべき利益であると考えられる。したがって、法令は、地区の養蜂農業組合の支部長の当該地区の利益代表としての養蜂に関する利益を一般公益のものとして保護した趣旨と考えられる。

(2) しかし、上記のような法令の定めは抽象的なものであるし、それ以上に支部長に具体的利益を認める趣旨の法令の定めはない。また、違法な許可がされたからといって、支部長は直接的な損害を受けるとはいえない。したがって、法令は、支部長の利益代表としての養蜂の利益を個々人の個別的利益として保護する趣旨ではない。

(3) よって、X2に原告適格は認められない。

設問2

1 本件処分は、Y県知事の裁量の逸脱・濫用にあたり、取消されるべきではないか。

2 本件処分の根拠規定である条例3条1項の要件の一つを定める同条2項1号が、「過剰と認められるとき」という文言を使用したのは、地域の養蜂産業に精通し、地域の特質や養蜂の状況に合わせた専門技術的な判断をすることができる知事にその要件該当性について、要件裁量を与えた趣旨である。

 もっとも、その裁量は無限定のものではなく、裁量の逸脱・濫用があれば、処分は取り消される(行訴法30条)。

3 本件では、手引6(1)に転飼の際の養蜂場の隔離の距離基準が定められている。手引は、上記のとおり、養蜂業者の養蜂の利益に配慮した規定となっているから、法令とその趣旨を同じにするものといえる。手引には、法3条1項の許可の際の距離制限の基準や既存の養蜂業者の優先などが規定されていることから、転飼許可をする際の裁量基準として機能するものであると考える。

 そして、手引には、距離制限として、転飼の許可をするときには、各養蜂場に4kmの乖離を要求しているところ、知事は、本件予定地がX1の養蜂場から1.6kmしか離れていないにも関わらず、Aの転飼を許可しており、裁量基準に反した許可をしているといえる。

4 行政処分の信義則や平等原則から、裁量基準に従わない処分は原則として違法となる。もっとも、本件では、その基準を「著しく過剰」である場合にかぎり許可をしないとしたY県の新基準を設定することについて、例外的に裁量の範囲内といえる個別事情が認められるか否かが問題となる。

 個別事情としては、数年前から、本件条例により転飼を制限して養蜂業者の経営の合理化・効率化を妨げてきたことが原因となり、Y県全体の養蜂業者が減少傾向にあり、しかも高齢化していることが県議会でも問題視されてきたという経緯がある。そして、このような事象が継続すると、Y県の養蜂産業が衰退してしまうことが想像でき、法の趣旨に反する結果になってしまう。

 したがって、上記のような個別事情を考慮して、基準を「著しく過剰」とすることは知事の裁量の範囲内であるといえる。

 そして、樹木医によると、調査の時点でのC地区には密源は十分に存在する。したがって、「著しく過剰」とはいえない。

5 よって、本件処分は適法である。

                                         以上

 

3050文字くらい。

最初に設問1と2を脳内答案構成した時点で書くことがたくさんあると思ったので、文字を小さく書きました。