2024一橋ロー民法第1問再現答案 | Takaの司法試験やるよやるよブログ

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小問1

1 Cの弁済は有効か。

(1) 474条1項は、「債務の弁済は、第三者もすることができる」と規定する。もっとも、474条2項本文は、「弁済をするについて正当な利益を有する者」でない「第三者」は、「債務者の意思に反して弁済をすることができない」と規定する。

 本件では、Bの弁済はAの意思に反する。また、Bは自己の弁済がAの意思に反することを知っているので、「知らなかったとき」(474条2項但し書)にもあたらない。

(2) では、Bは「正当な利益を有する」「第三者」ということができるか。

ア 474条2項本文の趣旨は、債務者が弁済をしないことにより自己の法律上の地位に影響がある第三者を保護し、第三者弁済を認めることにある。そうだとすれば、「正当な利益を有する」「第三者」とは、債務者が弁済をしないことにより、自己の法律上の地位に影響のある第三者を意味すると考える。

イ CはAとの間で乙建物につき賃貸借契約を締結し、乙建物を賃借している。そして、Bの乙建物に付された抵当権が実行されると、Cは第三取得者に対抗できない結果、乙建物を引き渡さなければならない。そうすると、AがBに弁済しないことにより、Bの抵当権が実行されることは、Cの賃借人という法律上の地位に影響があるといえる。

ウ よって、Cは「正当な利益を有する」「第三者」にあたる。

(3) 以上より、Cの弁済は有効である。

2 では、当該弁済によってCにいかなる法的地位が生ずるか。

 499条によると、「債務者のために弁済をした者は債権者に代位する」。そして、501条1項によると、499条の規定により「債権者に代位した者」は、「債権者が有していた一切の権利を行使することができる」。

 よって、Cは上記弁済により、Aに代位し、Aが有していた抵当権及び被担保債権を取得する。

 

小問2

1 Bによる物上代位権の行使は認められるか。

 AD間の債権譲渡が「払渡し」(372条、304条1項但し書)にあたる場合、CD間の債権譲渡はBによる「差押え」の前にされているので、Bによる物上代位が認められないのではないか問題となる。

2 304条1項但し書の趣旨は、債務者を二重弁済の危険から救済することにある。そして、抵当目的物に抵当権の効力が及ぶことは抵当権の設定登記により確認することができる。よって、304条1項但し書きが抵当権に準用される場合には、債権の譲受人を保護する趣旨はないと考える。そこで、債権譲渡は「払渡し」にはあたらず、抵当権者の差押えと債権譲渡の優劣は、抵当権の設定登記と債権譲渡の確定日付のある通知または承諾の先後によるものと考える。

3 本件では、AB間のBの抵当権の設定登記は、AD間の債権譲渡による確定日付のある通知の前になされている。よって、本件では、Bの差押えはAD間の債権譲渡に優先する。

4 以上より、Bによる物上代位権の行使は認められる。

                                         以上