令和6年予備試験論文式試験刑事実務基礎再現答案 | Takaの司法試験やるよやるよブログ

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設問1

(1) Kらの写真撮影と各半券の押収は逮捕に伴う検証と差押(刑事訴訟法220条1項柱書、同項2号)として許容される。

 本件では、KらがAを逮捕する前に上記の検証と差押をしている。

 逮捕に伴う検証と差押は逮捕手続に着手してからなされることが好ましいが、逮捕の前後に近接している時間であれば、実施可能である。逮捕の現場には証拠物が存在する蓋然性が認められるから、令状主義の例外として逮捕に伴う検証と差押が許容されるという無令状検証・差押の根拠からすれば、時間に若干のずれがあっても、その現場に証拠物が存在する蓋然性は変わらないので、逮捕に近接している時間であれば、逮捕に伴う検証・差押として許容される。

(2) Kが発付を受けたのは、鑑定処分許可状に採血を医師によるものとする記載のあるものである。血液は、身体の中に存在し、体内で作用するものなので、それを採取することにより被疑者の身体に傷害を加えるおそれがある。したがって、強制採血は鑑定処分許可状によるべきである。そして、上記のような傷害のおそれを少なくするために、医師による必要がある。

設問2

(1) 車両のチケットが、Aがレンタカーを借りた後に購入されているという事実は、Aはレンタカーを借りる時点では、レンタカーを返さないという意思を持っていなかったという事実を推認させ、Aの被疑事実である詐欺罪(刑法246条1項)の構成要件である「欺」く行為の故意(刑法38条1項本文)がその時点でAになかった事実を推認させるので、Aに成立するのは詐欺罪でないという推定が働くから。

(2) 1 詐欺罪の成立に積極的に働く事実

・AがVに対し、「これから返しに行く」と申し向けたが、本件車両を返却していないという事実は、AにTレンタカーと契約をした当初から本件車両を返却する意思がなかったことを推認させる。

・AがXに「昔からほしかった車両」と申し向けている事実は、AがTレンタカーと契約をした当初から本件車両を返却する意思がなかったことを推認させる。

2 詐欺罪の成立に消極的に働く事実

・Aが購入した本件フェリーの半券がAが本件車両をレンタルした後に購入されたものであるという事実は、Aに当初は「欺」く行為の故意がなかったことを推認させる。

・Tレンタカーとの契約は、Aが合意した日時に本件車両を返却するという内容も含むものであり、TレンタカーとAとの間に本件車両の返却に関する委託信任関係があったことを推認させる。

・AがVからの再三の催促にかかわらず、本件車両を返却していない事実は、Aに横領(刑法236条1項)の不法領得の意思の認識があったことを推認させる。

・Aが本件車両を長時間占有していることは、横領の構成要件である「他人の物を占有」することにあたる。

3 具体的検討

 確かに、Aは当初から本件車両を返却する意思がなかったということを推認させる事実もあるが、それを否定する事実もあるので、詐欺罪の故意が認められるかは不確かである。他方、上記のように、Aは「他人の物を占有」しているし、Tレンタカーとの間で委託信任関係も存在する。また、Aには不法領得の意思が認められそうな事情も存在する。そうすると、あとはAの故意が立証できれば、Aに横領罪が成立する。

 よって、PはAを横領罪で公判請求した。

(3) 横領罪の既遂時期は不法領得の発現が認められる時点である。そして、横領罪における不法領得の意思とは、他人の物の占有者が、委託の趣旨に背いて、その物につき所有者でなければできないような処分をする意思をいう。

 ㋐の時点では、Aは合意した日時に本件車両を返却していないだけであり、そのようなことは普通に起き得るので、未だ不法領得の意思が発現したとはいえない。㋑の時点では、AはVに対し、「これから返しに行く」と申し向けており、Aが確定的に本件車両を自己のものとする意思であるのか不明確であるため、未だ不法領得の意思が発現したとはいえない。

 ㋒の時点では、Aは本件車両とともに、丙島を立ち去っている。Tレンタカー丙島店が丙島にあることを考えると、当該店舗から貸し出されるレンタカーは丙島での利用を目的としていると考えられる。そして、そのような賃貸による利用の範囲を超えて、本件車両を丙島から外に持ち出すことは、所有者でなければできないような行為といえる。したがって、Aには、Tレンタカーとの委託の趣旨に背いて、本件車両について所有者でなければできないような処分をしたということができ、この時点で不法領得の意思の発現が認められるから、横領罪が既遂になる。

設問3

 裁判官は、刑事訴訟法324条1項が準用する322条1項を検討した。

 AはXに対し、「昔から欲しかった車両だった」と申し向けている事実は、Aが本件車両を自己の物として扱っているという事実を推認させ、Aが不法領得の意思について認識があるという事実を推認させるので、Aに不法領得の意思の故意があった事実を推認させる。そして、上記のとおり、不法領得の意思は横領罪の構成要件のひとつなので、これを認めることはAにとって、「不利益」な事実にあたる。また、Aは友人であるXに対して、なんらの制約もない自由な状況でこの発言をしているから、「任意」になされたものといえる。

設問4

(1) 真実義務の問題がある。もっとも、誠実義務。

(2) 違法行為の助長にあたる。

                                         以上

 

うろ覚えのところが多い。

再現率はよくて、85%くらいだと思う。

多分、80%くらい。

すみません。。