最近、経済ニュースや政治の話題でよく耳にする「積極財政」。
「国の借金なんか気にせず、政府がどんどんお金を使って、減税や給付金でみんなの暮らしを豊かにしよう!」という、一見すると夢のような政策です。
日本でも「借金1000兆円なんて気にするな!もっとお金を配れ!」という声が上がると、「なんだ、もっと国が助けてくれればいいんだ!」と期待したくなりますよね。
でも、ちょっと待ってください。
実は、いま世界で一番この「積極財政」をやりきった結果、絶好のチャンスでありながら大ピンチを迎えている国があります。
そう、アメリカです。
コロナ禍以降、国がお金を刷って配りまくったアメリカですが、もしこの「積極財政」の理想を突き詰めると、ここからどうなるのか? なぜ現実には絶対に上手くいかないのか?
専門用語を一切使わずに、その「致命的な欠陥」をサクッと解説します!
積極財政の理想:「景気が良すぎてインフレなら、増税すればいい」
まず、積極財政を推す人たちの基本的なルールをおさらいしましょう。
彼らはこう言います。
「国はお金を使えるだけ使えばいい。だけど、市場にお金が出回りすぎて物価が爆上がり(インフレ)したらマズい。だから、インフレになったら『増税』して、世の中からお金を回収してブレーキを踏めばいいんだ」
シンプルで合理的に聞こえますよね。
いまのアメリカは、まさにこの状態です。国がジャブジャブお金を使った結果、仕事はいっぱいあるし、給料も上がっている。
まさに「積極財政の後始末として、増税のブレーキを踏むべき最高のタイミング」なんです。
しかし、現実はどうでしょう?
アメリカの政治家たちは、誰一人として「増税してブレーキを踏もう」なんて言っていません。
それどころか、「物価が高くてみんな苦しいよね? じゃあ税金を下げてあげるよ!」「もっと政府がお金を配って助けるよ!」と、さらにアクセルを踏み込もうとしています。
ここにあるのが、積極財政の最大の弱点です。
理由:政治家に「増税のブレーキ」は踏めない
なぜ政治家は増税しないのか?
理由は簡単、「選挙に落ちるから」です。
想像してみてください。
「ただでさえマクドナルドのセットが2000円超えて生活が苦しいのに、来月から物価を抑えるために皆さんの消費税と所得税をガッツリ上げますね!」
なんて言う政治家がいたら、あなたはその人に投票しますか?
絶対にしませんよね。一瞬で選挙に大惨敗して、政治生命が終了します。
積極財政という理想論は、「政治家は、景気の良し悪しに合わせて、いつでも冷徹に大増税のブレーキを踏めるロボットのような存在である」という、あり得ない前提の上に成り立っているのです。
現実のヒーロー(悪役?)は「中央銀行」
「じゃあ、政治家がブレーキを踏めないなら、どうやってインフレを止めるの?」
そこで登場するのが、アメリカのFRBや、日本の日銀といった「中央銀行」です。彼らは選挙で選ばれた政治家ではないので、国民に嫌われる決定も下せます。
彼らは増税の代わりに「金利を上げる」という方法で、みんながローンを組みにくくし、世の中の景気に強制的にブレーキをかけます。
当然、住宅ローンが高くなって国民からは不満が出ます。批判の嵐です。
でも、政治家からすれば好都合なんです。
政治家の本音 「いやー、物価が高くてローンも上がって大変ですよね。全部、勝手に金利を上げた中央銀行のせいです。私たちが政権を握ったら、皆さんにお金を配りますからね!」
こうやって、中央銀行に「悪者」になってもらいつつ、自分たちは良い顔をしてアクセルを踏み続ける。これが、いまのアメリカだけでなく、世界中の民主主義国家がずーーっと続けているリアルな仕組みなんです。
まとめ:出す(アクセル)は良い良い、引く(ブレーキ)は怖い
「積極財政」で国がドカンとお金を使うのは、経済に元気を与える特効薬になります。
しかし、それを動かすのは生身の「選挙に勝ちたい政治家」と「1円でも税金を払いたくない有権者」です。
- ⭕ お金を配る・減税する(アクセル)は全員大賛成!
- ❌ 税金を上げる(ブレーキ)は全員大反対!
この人間の本能がある限り、どんなに「いまが増税ブレーキの踏み時」と言えるアメリカのような状態であっても、理想通りに経済をコントロールすることはできません。
経済を見る時は、数字だけでなく「人間の心理や政治のドロドロ感」をセットで見ると理解しやすいとの事ですね。