誰もわるくない | 速報いくのふ☆

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台所の窓から前の通りが見える

 

お昼の仕度をしていたら、

アスファルトの道に一匹の蝉がひっくり返ってギーギージージーと呻いていた

 

あんまり苦しそうなので包丁の手をとめ様子を見に行ってみると、

蝉の頭に一匹のスズメ蜂が吸い付いていた

 

手を出すべきではないのだけど、

思わず横に落ちていた棒でつついたらしかたなさそうにスズメ蜂ははなれた

 

蝉は静かになった

 

だけど起き上がる力がもう残っていないようだ

 

せめて土の上か木の肌まで連れていきたいと、

そっと棒をお腹のあたりへ差し出すと足でつかまってきた

 

ゆっくり持ち上げて、そぉっと花桃の木まで運びたい・・

でも力なく途中のコンクリートの上にぽたりと落ちた

 

今触れると、

攻撃されていると思ってまたギーギージージー暴れるだろう・・

そんなことに最後の力を使ってほしくなかった

そっとしておくしかない・・

 

 

しばらくして気になってまた様子を見に行くと、

蟻に集られていた

蝉はひっくり返ったまま時折ギーギージージーと羽をバタバタさせ抵抗している

 

これが自然なんだ

 

わかっている

 

わたしはどうしてかつい蝉に感傷的だ

 

また手を出してしまう・・

 

お腹のあたりに棒をさしだすと、

つかまってきた

 

ゆっくり木まで、落とさないように運びたい

 

途中の草むらにぽたりと落ちた

 

もう一度手を出すことは、

もう遠慮した

 

ゆっくりゆっくり草むらの影の方へ、止まりそうになりながら歩いていく

 

なんだか悔しくて、

未熟で身勝手な涙があがってくる


蜂だって、蟻だって、蝉だって、私だって、

同じで、

みんなみんな、生きているんだ、

友達なんだ