著者 山口恵以子さん
昭和の古き良き世界を描くことと、
食べ物の描写がとっても素敵です
情感たっぷりに描くため、すぐ世界に引き込まれてしまいます。
他には、
『食堂のおばちゃん』シリーズ
『婚活食堂』シリーズ
『さち子のお助けご飯』
ずっと、拝読してます。
こちらのお話は、昭和30年代の、大手映画会社に、ひょんなことから照明の仕事に就いた男性が主人公です。
この頃は、映画が娯楽の黄金時代。
みんな、頑張れば、良くなるという期待があり、今の時代のような閉塞感はなし。
映画会社は、全員、正職員。
「 お疲れ」という、撮影終了のボーナス。
でも、女性差別、師弟制度、公証の遊郭、人間関係の濃厚さ、
生きやすいことばかりでもない。
昔は良かった、というのは、不平等な時代でも、頑張れば何とかなる、という期待感があったからなのかな、と思います。
そして、映画界の頂点から奈落へ転落する、昭和30年代。
33年には、年間観客動員数11億人強。
35年には、10億人、翌年からは、9億人、7億人、5億人と減り続け、
38年には、半減。
48年には、2億人を割ると、一度も2億人を回復しないまま、現在に至っています。
ちなみに、wikiでは、
『千と千尋の神隠し』が1位で、
動員数が2352万人だそうです。
11億人の数字がいかに化け物か、驚愕の人数
時代は、テレビに移り、今の世の中に繋がっていきます。
私自身、映画に行くのは、ちょっと贅沢な感じがしてしまって
ちょっと待てば、アマプラや、テレビで見れるから。
でも、映画館で、大画面の迫力と音はいいなと思うし、一人で映画に集中して浸れるのは幸せだと思います。
色々と思いは巡り、納得のいくラストでした。
この主人公の人生、最高じゃないか!
よろしければ、ご一読くださいませ。