昭和の漫画は、丁寧で繊細に描けている作家が好きです。
目の輝きや体のライン、色使い、世界観、設定、
文化、政治背景、
濃淡のある話しは、ぐいーっと引き込まれます。
昭和の漫画といっても、小学生のときに買ってた本は
『ドラえもん』、『あさりちゃん』くらいで。
兄が借りてきた漫画を勝手に読んでいました。
その中の、
『風と木の詩』は。
フランスの寮生活、少年達の特別な時期、
愛をかわす繊細な描きかた。
なにかいけないものを読んでいる背徳感と、こんな世界もあるんだという驚きと、綺麗な絵。
引き込まれてしまいました。
それ以来、竹宮恵子さんの本は
『ファラオの墓』
『地球へ‥』
『ウィーン協奏曲』
『私を月まで連れてって!』
『イズァローン伝記』
『紅にほふ』
『エルメスの道』
を拝読しました。
今回は、『少年の名はジルベール』です。
竹宮恵子さんが漫画家になり、上京して、『大泉サロン』を作り、
萩尾望都さんとのアレコレ、
少女漫画黎明期の熱い想いやスランプなど、つまびらかに書いてあります。
まさしく天才である萩尾望都さんに抱く、
葛藤、嫉妬、尊敬、
伝わってきました。
クリエイティブな職業って、比較されるし、やりたいことの実現も現実的に叶わなかったりするし、精神的に追い詰められますね。
私も勿論、萩尾望都さんの作品も読んだし、設定や展開やスケールに感動して、まさしく天才だと思います。
でも、やっぱり、竹宮恵子さんが描く世界の方が、好きなんです。
だから、こちらのエッセイを読んで、竹宮恵子さんの心の葛藤やとりまく現実を知ることができて、ファンとして幸せでした
昭和の少女漫画の黎明期に興味ある方、
女性版『まんが道』に興味がある方、
竹宮恵子さん、萩尾望都さんを知ってる方、
読み物としても、
面白く読めますので、ご一読くださいませ。